最下位から巻き返しを期す中日の「救世主」になれるか? ロマン砲卒業間近、27歳外野手に期待したくなるこれだけの「理由」
球界きっての“ロマン砲”が卒業の時を迎えつつある。中日の大卒5年目スラッガー・鵜飼航丞である。 【動画】期待するに決まってるだろ!鵜飼がロッテ戦で放ったグランドスラムをチェック 駒澤大から2021年ドラフト2位で入団した鵜飼は、地元・名古屋出身。新人から4本塁打を放ち、飛躍が期待されたが、その後は鳴かず飛ばず。24年と25年は2シーズン続けて一軍での本塁打はゼロだった。 「“ロマン砲”と呼ばれるのを卒業します」と宣言したのは、今年の沖縄春季キャンプでのことだった。第2クールに入った2月7日、朝の声出し要員に指名された鵜飼はこう話したと伝えられている。 「入団から3年、立浪前監督をフリー打撃でだまし、昨年は井上監督をフリー打撃でだまし、ファンの方もお腹いっぱいだと思います」 本人も、もどかしい状況を痛いほど理解していたのだ。1999年生まれの27歳。気づけばもう、若手と呼ばれるには歳をとっていた。打球を飛ばす能力は球界トップクラスで、あの中田翔氏を驚かせたほど。タイミングの取り方だけがなかなか掴めず、相手に差し込まれてしまう場面が続いた。 今季は上記の声出しに代表されるように、危機感が例年と違っていた。キャンプ、オープン戦でも本塁打を重ね、結果を出していった。周囲のアドバイスにも耳を傾け、打てるボールだけを追いかけた。苦手な外野守備でも積極的な打球処理が増えた。 雌伏の時を経て、鵜飼の才能が開花寸前まで迫っている。4月14日に一軍登録されると、初スタメンの18日に甲子園球場で今季初アーチ。これが3シーズンぶりの一発となった。その後も出場機会で結果を残し、交流戦までに3本塁打。打数は少ないものの、打率は3割を超えた。 一つの試金石となるのが交流戦だった。パ・リーグの投手は力強い速球と鋭い変化球を持つ者が多い。これに対応できればいけるかもしれない──。 全日程を終了した今、鵜飼は賭けに勝った。本塁打を2本放ち、12打点はチームトップの数字。特に最終週が圧巻で、6月10日のロッテ戦(ZOZOマリン)では満塁弾を含む3安打5打点の大暴れ。13日の日本ハム(エスコンF)では9回2死から起死回生の同点打、交流戦最終戦となった翌日の試合でも2安打2打点の活躍を見せ、チームの勝利に貢献した。 自らが“ロマン砲”卒業ラインと決めたのは「2桁本塁打」。現状、シーズン通算で5本塁打なので、半分までは来た。残り80試合ほどで5本なので、良いペースではあるが、夏場の連戦は体力勝負になるはず。そして、相手のマークも厳しくなることが予想される。 チームは借金19と苦しむ。それでも鵜飼の打棒には救世主と期待できる非凡なものを感じさせる。これからも困難はどんどん押し寄せてくるだろうが、持ち前のパワーと朗らかさでシーズンを乗り切ってもらいたい。 [文:尾張はじめ]
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