2季連続V逸の早大・小宮山悟監督 「自主性に任せることに対しての限界」と語った真意とは…育成論、指導論に迫る「野球導」
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アマチュア野球界の指導者が持つ育成論、指導論に迫るインタビュー「野球導」。第4回は早大・小宮山悟監督(60)。今春リーグ戦では勝ち点1の5位に終わり、「自主性に任せることに対しての限界」という言葉を残した。2019年からチームを率いる指揮官に、「自主性に任せる―」と語った真意や現在のチームの課題と取り組み、プロ・アマ球界を知る立場から考える自主性の理想を聞いた。(取材・構成=小島 和之) 【写真】立大のマネジャーだったサンデー晋吾の美人娘 卒業後は“日本ハム”入団 今春リーグ戦を5位で終えた早大。24年春から3連覇を果たすも、昨秋から2季連続のV逸となった。小宮山監督は優勝の可能性が消えた明大戦後、「自主性に任せることに対しての限界みたいなものはちょっと感じている」と語った。その真意とは何だったのか。 「強かった時代が終わり、勝てない時期が続くことを世の中は低迷期と言う。(昨秋)低迷期の入り口にいることを理解しているか?というところから、このチームは始まった。この春に思うようにならなかったら低迷期に突入だと自覚を促し、取り組ませた結果が惨敗。これ以上ない状況だったにもかかわらず、うまくチームを作ることができなかった。ここが(選手に)委ねてやる限界かな、と」 4月に死去した元監督の野村徹さんからは、「チームが目指すところにたどり着く手伝いをするのが監督の仕事」と厳命された。教えを守り3連覇に導いたが、この偉業による弊害もあったと指揮官はみている。 「『こうしてやれば勝てるはずだ』という3連覇の余韻は、チームの中で相当蔓延(まんえん)していたんじゃないのかなと思う。他大学と違い(1軍=A、2軍=Bの)差が激しいので、Aの選手は安心しきっている感じがあった。(先輩が)やっていた姿をまねているんだろうけど、真剣味や危機感が足りない感じには見受けられた。そうしてしまったこちらの責任でもあります」 現状打破のため、すぐに動き出した。V逸後、主将、副将ら幹部選手との話し合いで敗因を追及した。 「なぜこの成績なのかを理解できているかを確認しました。彼らの答えは『実力がない。そもそもが勝負にならなかった』。こちらからは、『本気で勝ちたいならば、はたから見たらやりすぎなんじゃないかというぐらいのことをやる』と宣言をして、彼らは『覚悟を決めてやります』と」 着手したのは1軍を脅かす存在を生み出すこと。Bから立候補者をAの練習に参加させ、指揮官がリーグ戦で実力不足と判断した選手はBに合流させた。 「1軍よりも2軍に奮起を促さなければいけない。(3連覇中の)Bは新チームとなったタイミングでAに入るにはどうしたら…という雰囲気があった。Aに立候補した選手には張り切ってやってもらうが、無理だと判断したら1日で落としていく。そのつもりで覚悟してやれと伝えてある」 プロ、アマ球界を知る指揮官が考える、自主性の理想型とは何なのか。 「学生たちに伝えているのは自律という言葉。早稲田のユニホームを着て神宮の舞台に立ち、勝利のために全てを犠牲にする。その精神で取り組むことができるかどうかが、最初に来る判断基準です。チームが目指す方向に向けて、学生がどうするかを考えながらやることが理想。それができて自主性なんです」 そう考えた時に、今のチームには足りないものがある。 「目指すところがぼやけている感じ。そこにたどり着くまでに、それぞれがどうすればいいのかを甘く考えているところがある。実力のないチームが、どうすればいいのかを本当に理解できているんだろうか…と。“自主性の限界”というのは、そこに大人が介入しなきゃいけないと判断したということ。それを教えなきゃいけない」 秋までの期間は、選手の覚悟を試す時間にもなる。 「あと一回、あと一本をどれだけ妥協せずに超えられるか。ヘトヘトになるまでノックを受けて、本人がもう無理だと感じた時に『それでいいのか?』と意思確認をしてあげる。その時に『まだ頑張る』となるのか、そこで終わるのか。体が動かなくなるまでやるものだと思っているし、超えられないぐらいまで付き合います。『子供じゃないんだから』という言葉をよく使いますが、できる、できないは大した問題ではなく、やるか、やらないか。それぞれがチームに貢献できるものがあるはずなので、目指すところはそこだという話はしています」 暑く、厳しい夏が始まる。その先に描く、秋の理想型とは―。 「他大学は低迷期に突入したという判断をされているでしょう。それを覆すような見違える姿が理想。ただ、実力不足のチームが実力のある連中と伍(ご)して戦うには力をつけるしかない。本当はあってはならないのかもしれないが、夏には大人が地獄の淵まで連れて行ってあげるつもり。選手それぞれが地獄の淵を味わって、そこでたくましさを得てもらいたい」 取材後記 取材終盤、小宮山監督に「秋のキーマンは誰か」と尋ねると、今春開幕戦で「1番・中堅」を託した阿部葉太外野手(1年=横浜)の名を挙げた。「本人が自覚して変わらなければいけないという判断のもと、変わろうとしてくれたらいける」と期待を寄せた。 2月に左太ももなどを肉離れした影響もあり、11試合で打率1割8分6厘。それでも、指揮官はあえて助言をしなかった。「まずは何も言わずにやらせてみて、結果が伴わなかった。それで変わらなきゃいけないという判断をしたと思う。そうなると素直にいろんなものが入っていく」。狙い通り、6月の新人戦では打撃フォームを試行錯誤する阿部の姿があった。 悩む姿を見守りながら願うことがある。「しっくりこないと努力を諦めて、自分のやりたい形に戻す可能性がある。そうではなく、理屈を理解した上で『こうしなきゃいけない』ということを、きちんと実践できるかが勝負」。この苦しみが飛躍の糧となることを、指揮官は信じている。(小島 和之) ◆小宮山 悟(こみやま・さとる)1965年9月15日、千葉・柏市生まれ。60歳。芝浦工大柏から2浪して早大に進学し、リーグ戦通算20勝10敗。89年のドラフト1位でロッテに入団。97年に最優秀防御率のタイトルを獲得した。99年オフに横浜(現DeNA)に移籍。2002年にFAで米大リーグ・メッツに移籍したが未勝利で帰国。1年間の浪人生活を経て、04年にロッテ復帰。09年限りで現役を引退した。19年1月から早大監督に就任。日米通算117勝144敗。右投右打。
報知新聞社
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