米ノートルダム大教授 パトリック・デニーン氏
7月4日に建国250年を迎える米国。その国家の背骨ともいえる自由主義は失敗したのだ――そう説くのが、米国のポスト・リベラル思潮を先導する政治学者で、J・D・バンス副大統領の思想的支柱とも目されるパトリック・デニーン氏だ。初来日を機に応じた単独インタビューで語った、トランプ政権の背後にある米国思想の地殻変動とは。
米国社会や保守陣営に何が起きているのか、「トランプ後」に向けたバンス氏への期待とは、初訪問した日本で感じたポスト・リベラルの可能性とは。記事後半には、デニーン氏と対談した政治学者・宇野重規さんが日本への示唆を語るインタビューも掲載しています。
左派も右派も「まるで共犯」
――2018年の著書「リベラリズムはなぜ失敗したのか」は大きな反響を呼びました。いわゆる左派リベラルに限らない「自由主義」の失敗を論じていますが、どういうことでしょうか。
「自由主義が危機に瀕(ひん)しているのは、その理念を実現できなかったからではありません。むしろ、完全に成功したからこそ失敗したのです」
「過去数十年間、米国の左右両派は、まるで共犯関係にあるかのように『個人の解放』を推し進めてきました。左派は社会や文化の面で、右派は経済の面で。それぞれ、伝統や地域共同体のくびきから、個人を切り離すことを優先課題としました」
「民主、共和の両党が自由主義を訴え、米国民には事実上、それ以外の選択肢がありませんでした。その結果、かつて健全だった中産階級や地域社会は破壊され、歩いて生活できる安全な街はぜいたく品となり、私たちは、歴史上最も孤独な社会を生きています」
――あなたの批判の対象は、現代の自由主義にとどまりません。米国では、保守もリベラルも「自分たちのほうが建国の(自由主義の)理念に近い」と争うのが常道だと、私たちは理解してきましたが。
「ご指摘の通り、米国の政治論争は通常、建国期の解釈をめぐる争いとして展開されることが多い。しかし、私はもっとさかのぼる必要があると考えています」
「人間観そのもの」を見直す必要が
「米国の自由主義は、177…
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- 小熊英二歴史社会学者視点
主張はわかるけれど、気になったことは二点。 ①こういう穏健保守思想が『緊急時はガラスを割れ』という(「過激」とも聞こえる)主張とどう結びつき、かつそれはどういうことを意味するのか、 ②「失われた共同体の徳を認めるべきだ」という思想が共同
2026年7月3日 22:00 - 津田正太郎慶応義塾大学教授・メディアコム研究所視点
この記事を読んで、共感する部分と、難しいなと思う部分の両方があります。 一つは、文化的な習慣や価値観に対して個人の選択を尊重するという意味での「リベラル」は、「いかに生きるべきか」を人びとに提示するのが苦手だという文章を最近書いたことにあ
2026年7月4日 01:34