アメリカで進む「部族化」…「職場の同僚は青ばかりで孤独なんだ」「娘と移民政策の話をした途端にケンカになる」
配信
トランプの米国 建国250年<3>
6月下旬、中西部ウィスコンシン州マディソン郊外のロッジ。保守的な考えを持つ男女が集まるワークショップが開かれていた。 【写真】トランプ氏の不倫相手とされる元ポルノ女優
「赤はこちら。紫はあちらね」。講師のメリーアン・コルターさん(69)に促され、12人の参加者は「赤」5人、「紫」7人に分かれた。2大政党制が定着する米国では党のカラーにちなみ、共和党支持者は「赤」、民主党支持者は「青」と呼ばれる。「紫」は中間を意味する。
語り合うのは肩身の狭い近況だ。「民主党支持の娘と移民政策の話をした途端にケンカになる」「対人関係がうまく続かない」――。赤裸々に話す参加者にコルターさんが諭すように語る。「保守だと表明しなくていい。意見を押しつけてはダメ」。参加者らは熱心にペンを走らせた。
政治の二極化が進む米国。共和、民主の支持層が反目し、知り合いや身内同士ですら言葉を交わさない。同じ価値観や属性を持つ人が排他的な集団を作り、異なる意見を排除する状態は「部族化」とも呼ばれる。
「赤」のマイク・ヒーリーさん(60)は「職場の同僚は『青』ばかりで孤独なんだ」と苦笑いした。20代の娘2人は民主党支持で家庭内で政治の話はしない。「黙るのが一番。仕事も家庭も失いたくない」
「紫」のブライアン・ドプケさん(72)は民主党支持を隠して参加した。家族や親族はほぼ共和党員で「居場所がない」。「『赤』の考えは全く理解できない」と打ち明けた。
1831~32年、新興国の米国を旅したフランスの思想家アレクシ・ド・トクヴィルは地域の将来を活発に議論する人々の姿に驚く。著書では「社会の統治に関与し、論ずることは、米国人の最大の仕事であり、いわば唯一の楽しみである」と分析。米国に民主主義の可能性を見いだした。
トクヴィルが見た米国は、意見が異なればSNSでは激しく非難し合うが、対面での議論は避け、極力交わらない今の米国とは似ても似つかない。コルターさんは「建国250年の節目に、互いに意見をぶつけ合える民主主義の基本に立ち戻るべきだ」と語る。
- 265
- 339
- 122