(社説)議員所得公開 透明化へルール見直せ

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 国会議員の毎年の所得は、資産と同じく公開される。地位を利用して不正な蓄財をしていないか、チェックできるようにするためだ。だが、制度発足当初から指摘された「抜け道」は放置され、資産・所得の全体像はつかめぬまま。透明化へ向けたルールの見直しが不可欠だ。

 国会議員の昨年分の所得等報告書が公開された。92年に成立した国会議員資産公開法に基づくもので、給与所得不動産所得譲渡所得などが該当する。ただ、確定申告の対象となるものに限られるため、株に関する収入の多くが記載義務を免れている。確定申告が原則不要の配当金は除かれ、売却益も税金が源泉徴収される特定口座を使えば明らかにしなくていい。

 当選時に株の保有を報告した204人のうち、配当所得や売却益を今回記載していたのは48人(24%)。7割を超す未記載議員の中には、多額の収入が見込まれるケースもある。

 例えば、自民党森山裕選挙対策委員長はITコンサルティング企業などの株を保有し、有価証券報告書を元に計算すると、年間の配当は約4300万円になる。立憲民主党岡田克也幹事長も、父が創業したスーパー大手イオンの株を持ち、配当は約440万円とみられる。

 例外が多く、全体を把握できなければ、チェックの実はあがらない。国会議員の資産の状況などを「国民の不断の監視と批判の下におく」とした公開法の目的との乖離(かいり)は明らかだ。

 公開を逃れる抜け穴があるのは、資産公開も同じだ。議員が実質的に所有する土地や建物でも、家族名義なら記載の義務はない。預貯金は定期性だけで、普通預金は含まれない。美術工芸品などは100万円超で購入したものの点数だけで、贈られたものは対象にならない。

 所得・資産に共通するもうひとつの課題が、報告書の公開のあり方だ。閲覧できるのは東京・永田町の議員会館、衆参各1カ所で、コピーも写真撮影も禁止。国民誰もが自由に利用できる状況にはなく、公開は形だけと言われても仕方あるまい。政治資金収支報告書などと同様、ネットで公開すべきだ。

 公開法は、リクルート事件や東京佐川急便事件による政治不信の高まりを受け、議員立法でつくられた。与野党が一致できるところから始めたことは理解できるが、その後30年間、課題をなおざりにしてきたことは、政治の怠慢というほかない。

 旧文書通信交通滞在費(旧文通費)の使途の公開もたなざらしのままである。「政治とカネ」をめぐる国民の不信を払拭(ふっしょく)するため、与野党が一致して是正に取り組むべき時だ。

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