幸せはどうすれば買える?時間とお金を正しく使って毎日を満たす科学的アプローチ
8歳ほどの頃、大人が決まって口にする「大きくなったら何になりたい?」という質問に、私は「幸せになりたい!」と答えました。 大人たちはクスリと笑うだけで、それ以上深く聞いてくることはありませんでした。 しかし後になって、母は私をそばに呼び寄せ、「幸せは、私たちのような普通の人間がいつでも完璧にコントロールできるものではないのよ」と言い聞かせたのです。 母が伝えたかったのは、幸せは「物書き(当時の私が将来の夢としてよく答えていた職業です)」になることのように、あらかじめ計画を立てて努力すれば手に入るような、現実的なものではないということでした。 また、幸せはお店で買えるものでも、大学などの高等教育機関で得られるものでも、あるいは地位とセットで手に入るものでもないという現実を、私に心構えさせるためでもありました。 母の助言は非常に賢明なものでしたが、近年の科学の進歩は、彼女の考えが完全に正しかったわけではないことを証明しています。 最近発表された「世界幸福度報告書(World Happiness Report)」や数多くの臨床研究が示しているのは、日々の幸福度を高めるために計画を立て、投資し、実行に移すことは十分に可能であるという事実です。 そのためには、時間とお金をいかに効果的に使うかを知るだけで十分なのです。 それでは、科学的な視点から、日々の満足度を高めるためにどこへ投資すべきか、具体的なアプローチを見ていきましょう。
「光」を効果的に取り込む
「季節性感情障害(SAD)」が初めて正式に提唱されたのは1980年代半ばのことです。 もっとも、冬特有のどんよりとした憂鬱を経験したことがある方なら、「科学者がこの病名を見つけ、これほど的確な名前を付けるまでに、なぜこれほど時間がかかったのだろう」と不思議に思ったに違いありません。 SADは通常、1年のうちで寒い時期に気分が晴れない状態が続く場合に診断されます。 研究者によると、冬の間に日照時間が短くなったり、日光を浴びる機会が減ったりすると、脳に化学的な影響が及び、抑うつ症状が引き起こされたり、睡眠に関わるホルモン「メラトニン」の分泌が増加したりする可能性があるそうです。 そのため、SADの抑うつ症状を和らげる目的で、光療法ライトが長年処方されてきました。 毎朝少なくとも30分間、2500〜1万ルクスの高照度光療法ライトの近くに座ることで、SAD患者の抑うつ症状が改善し、抗うつ薬の効果が高まり、睡眠がサポートされることが証明されています。 しかし、光の恩恵を受けられるのは、SADの症状がある人や、暗くどんよりとした冬の時期だけではありません。いくつかの研究により、光は大うつ病性障害や周産期(妊娠中・産後)うつ病の症状を和らげるのにも効果的であることが分かっています。 さらに、薬の効果を高め、寝付きを良くするというメリットもあります。 光への投資方法 もしSADに心当たりがあるなら、冬の暗い時期やその後の体調管理のために、光療法ボックス(ライトボックス)の購入を検討してみてはいかがでしょうか。これによって概日リズム(体内時計)を整えることができます。 これらのライトボックスの価格は、約5000円から2万円強まで幅があります。 ライトの明るさは2500〜1万ルクスまでさまざまですが、ルクス数が高いほど、ライトの前で過ごす時間は短くて済みます。 つまり、1万ルクスの明るさがあるライトを選んだほうが、朝の30分間で十分な効果を得られるため、より賢い選択と言えます。 自分に治療用ライトが必要かどうかわからない場合は、代わりに「サンライズ目覚まし時計(光目覚まし時計)」を試してみるのも一案です。こちらは、安いものでは5000円程度から購入できます。 これは、朝に大音量のアラームで無理やり叩き起こすのではなく、指定した時間に少しずつ光を放つことで、穏やかな目覚めを促してくれます。 明るい光が脳に起床のタイミングを知らせるため、睡眠と起床のサイクルが整いやすくなり、同時に朝の貴重な光の供給源にもなってくれます。