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ウクライナにスウェーデンがグリペン戦闘機を供与、中古のC/D型は2027年にも納入予定

軍事/生き物ライター
ウクライナ大統領府の発表よりウクライナのゼレンスキー大統領とスウェーデンのクリステション首相の共同記者会見

 5月28日にスウェーデンのウプサラ空軍基地で、ウクライナとスウェーデンがグリペン戦闘機の購入を含む防衛協定に合意したことを、訪問しているウクライナのゼレンスキー大統領と出迎えたスウェーデンのクリステション首相が共同記者会見で発表しました。

グリペン戦闘機36機の売却と供与(弾薬と訓練を含む)

  • グリペンE/F戦闘機20機をウクライナに売却する(新型機の新造)
  • グリペンC/D戦闘機16機をウクライナに供与する(旧型機の中古)

※グリペンE/Fは新型機。E型は単座でF型は複座。

※グリペンC/Dは旧型機。C型は単座でD型は複座。

 ゼレンスキー大統領は記者会見で「今後10カ月以内に最初のグリペン戦闘機を受領できると期待している」と発言していますが、これはスウェーデン空軍が保有する旧型のグリペンC/Dの中古機の供与を指しています。ウクライナ向けの新造になるグリペンE/Fの納入は2030年以降になります。なおスウェーデン自身も現行保有機のグリペンC/D供与で空いた穴を自国向けのグリペンE/F新造で埋める方針を発表しています。

 スウェーデン自身はグリペンF(複座型)をこれまで調達してきませんでしたが、ウクライナに相当数のグリペンD(複座型)を引き渡すので、自国向けの練習用の複座型を補充する必要が生じたと見られます。

スウェーデンのウクライナ向け第22支援パッケージ

  • グリペンE/Fの売却:最大20機
  • グリペンC/Dの供与:1個飛行隊、最大16機(IRIS-T、AMRAAM、METEORなどの高性能弾薬を含む)
  • 弾薬の調達
  • 電子戦(EW)装備の調達
  • ウクライナの長距離攻撃能力への支援
  • イノベーションへの取り組みと産業界との連携
  • 国際協力への寄付
  • 民間防衛への支援
  • スウェーデン国防研究所(FOI)からの支援

※総額:252億スウェーデンクローナ(約4340億円)

※出典:スウェーデン政府

 このグリペン戦闘機の購入費用は先月に承認されたウクライナに対する900億ユーロ(16兆7000億円)の欧州支援パッケージのうちから約25億ユーロ(約4640億円)を充当する予定です。戦闘機そのものだけではなくパイロットの訓練やミサイル等の弾薬も費用に含まれています。

 なお2025年10月22日にウクライナとスウェーデンから発表された最初のグリペン購入に関する基本合意書(Letter of Intent : 意向趣意書)ではグリペンを100~150機購入する方針とあり、今回発表のグリペン36機(E/F型×20機、C/D型×16機)はその第一弾ということになります。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は記者会見でグリペンがロシアのКАБ(誘導爆弾の略語で、ここでは特に滑空誘導爆弾を指す)による攻撃に対する防御で役に立つと述べています。つまり滑空誘導爆弾の投下母機であるロシア軍の戦闘爆撃機を追い払う運用を想定しています。グリペンの長射程空対空ミサイル「ミーティア(METEOR)」に期待しているのでしょう。滑空誘導爆弾の射程は100km以下ですが、ミーティア空対空ミサイルは200km近い射程を持ちます。

MBDA社よりグリペンから発射されるミーティア空対空ミサイルのイメージ絵
MBDA社よりグリペンから発射されるミーティア空対空ミサイルのイメージ絵

※ミーティアはダクテッド・ロケットを採用している。固体燃料推進剤は酸化剤が不足した燃料リッチな状態であり、外部からの空気の導入によって酸素を供給し燃焼する。これにより通常のロケット推進よりも燃焼時間が長くなるので射程が伸びる。ただし空気吸入口が空気抵抗発生源となるので、推進剤の燃焼が止まった後の滑空状態では速度が失われるのが早く機動性が損なわれやすい。

関連記事:ウクライナがスウェーデン製グリペン戦闘機100~150機を購入する計画、合意書に署名(2025年10月23日)

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軍事/生き物ライター

弾道ミサイル防衛、極超音速兵器、無人兵器(ドローン)、ロシア-ウクライナ戦争など、ニュースによく出る最新の軍事的なテーマに付いて兵器を中心に解説を行っています。

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