金利を上げた方が家計は得

——利上げというと、住宅ローン金利が話題になっています。一般の生活者にとっては、金利を上げるのと上げないのとでは、どちらが得なのですか。

佐々木:家計全体の損得勘定で見れば、金利が上がった方が得です。なぜなら、家計全体では住宅ローン残高の4倍以上の預金があるからです。

 もちろん、住宅ローン金利の方が預金金利より上げ幅は大きいかもしれませんが、その差は4倍にはならないでしょう。預金額の方が圧倒的に大きいので、家計全体の金利収入としてはプラスになります。

 さらに、住宅ローンを借りている人は、比較的働き盛りで収入がしっかりある人です。インフレ率が高い経済環境では賃金も上がり、不動産価格も上がりやすい。つまり金利上昇分は、ある程度相殺される面があります。

 一方、住宅ローンのない低所得者層や預金を多く持つ高齢者層・高所得者層はインフレによって預金がどんどん目減りします。そして、消費の主力はこうした預金を持つ人たちです。金利を上げないことで預金が実質的に目減りしていけば、国全体の消費・経済にとってもネガティブだと思います。

——一方で、企業にとって金利上昇は負担になるという見方があります。

佐々木:中小企業が利払い負担で困るという話はありますが、私は少し違うと思います。今の企業倒産の主な原因は、人手不足、インフレ、円安です。

 人手不足にも円安が絡んでいます。円安によって日本の賃金は相対的に低くなっている。地方の中小企業が海外から人を雇うことが難しくなっているのも、円安で日本の賃金が安く見えるからです。

 つまり、人手不足、インフレ、円安という企業倒産の三大要因が、金利を上げないことによって助長されているのです。少なくとも、実質金利がマイナスという世界は脱しないと、全体としてマイナスだと思います。