80億円投資のジャングリアは苦戦…「一風堂」成功の影で“累積赤字383億円”、クールジャパン機構に囁かれる解散危機
ジャングリアに関わる「刀」にも出資
スパイバー以外にも、危うい案件が目立ちます。2022年には株式会社刀に80億円を出資しました。刀はマーケティングの専門家である森岡毅氏が立ち上げた会社で、自社でのテーマパーク運営に乗り出しました。しかし、「イマーシブ・フォート東京」は2026年2月に閉館。わずか2年での撤退となりました。刀は2025年6月期に13億円を超える赤字を出しています。 鳴り物入りでオープンした「ジャングリア沖縄」は、開業半年の来場者数が65万人。運営会社は来場者数や目標を公開していないものの、美ら海水族館の半分程度で黒字ラインに乗るとされており、年間150万人程度の来場を想定しているようです。しかし、集客には苦戦を強いられています。 30億円を出資した五常・アンド・カンパニーは、上場申請を取り止めました。インド子会社の会計処理に不透明感が高まったため。クールジャパン機構が思うように事が上手く運びません。 そして、同機構には別の問題点も浮上しています。それが公金の還流疑惑です。クールジャパン機構には複数の日本企業が出資をしています。出資した企業の海外進出に必要な事業などに対して、同機構が出資をしていたというのです。つまり、企業が出資した資金が同じ企業に還流しているのではないか、という指摘がなされています。
資金支援以外の具体的な取り組みは?
クールジャパン機構は、官民ファンドの弱点が目立っているような印象を抱かせます。 かねてより、官民ファンドはその存在意義を疑問視する声がありました。官が主導することで投資プロセスの透明性が低く、情報開示が少なくなりがちなのです。公金の還流疑惑はそれが悪い形で表出したと言えるでしょう。 民間の投資ファンドや金融機関が手を出しにくい分野に対して、資金を供給しがちだという問題もあります。クールジャパン機構はスパイバーへの追加出資を2021年9月に行っています。しかし、スパイバーは2020年ごろにクモの糸の大量生産という計画を中止し、たんぱく糸で再起をかけました。 ちょうど同じタイミングで将来の事業価値を担保にするスキームを駆使し、金融機関から巨額の借入をするようになっていました。そうした中で、クールジャパン機構は出資というリスクの高い方法を選択したのです。 官民ファンドが、投資先の支援体制を十分構築できるのかという懸念もあります。もともと、官民ファンドは専門的な人材や目利きが不足しやすいと指摘されています。民間の投資ファンドと比べると給与水準が低くなりがちで、優秀な人材は積極的に入りたがらないからです。