「エゴ出すな」発言は解釈違い…堂安律「2対1でも抜けるなら行く。僕はエゴを捨てたわけではない」
背番号10を背負い、ゲームキャプテンも務めたワールドカップを、日本代表MF堂安律(フランクフルト)は「後悔はしていない」とまとめた。北中米W杯決勝トーナメント1回戦でブラジルに敗れた翌日、ホテルで取材に応じた28歳は、優勝を本気で掲げた日本代表の歩みを「1mmでも1%でも近づけた」と振り返った。 【写真】「可愛さW杯クラス」「足の先まで…」朝ドラ女優が日本代表2ndユニ姿を披露 堂安は今大会、全4試合に先発出場。日本はグループリーグを突破したが、ブラジル戦はMF佐野海舟のゴールで先制しながら1-2で逆転負け。悲願の決勝トーナメント初戦突破とはならなかったが、堂安はそれでも大会全体を通じた手応えを語る。 「勝ち点1が欲しい時に勝ち点1を取れて、勝ち点3が欲しい時に勝ち点3を取れる。強豪国相手に苦しみながらでも最低限の仕事をすることが、当たり前のようにできるようになった」。堂安はそこに、日本サッカーの成長を見た。 「3試合を通して勝ち点4以上を取るというノルマを達成できるようになったのは、今までになかった日本代表の戦い方だと思う。1試合に一喜一憂しなくなった日本代表。それは成長かなと思う」 今大会は吉田麻也、南野拓実がサポート役として帯同し、長友佑都も5大会連続の大舞台に立った。堂安は「麻也くん、拓実くん、長友さんが前の代表から引き継いできたもの、大会を通して感じたことを伝えてくれたおかげ」と、経験の継承にも意味を見出す。チームは大会前から優勝を公言してきたが結果はベスト32。それでも堂安は、その目標設定自体に価値があったと強調する。 「本気で目指したからこそ、1mmでも1%でも近づけたと確信している。本気で目指さないと成長はない。全選手、全コーチングスタッフ、代表に携わる全員が同じ目標を向いて突っ走ったことで、4年前よりは手応えのある大会だったと思う」 自身の立場も4年前とは大きく変わった。背番号10を託され、試合によってはキャプテンマークも巻いた。だからこそ大会中は簡単に口にできない葛藤もあったという。 「自分がやるべきことと、いたい自分、堂安律という自分なりの理想像と、今できること。葛藤はありました」。それでも、胸を張れる部分はある。「後悔はしていない。自分のできる範囲で勝つための貢献をしようという意味では、やれることはやった。だからこそ試合後に力不足ですと言ったのは、やれることをやった上での敗退なので」。大会中には、自身の“エゴ”をめぐる言葉も注目された。堂安はその真意について、ピッチ上で個を消すことではなかったと説明する。 「僕は点を取りに行っていたし、ゴールに向かっていた。それを犠牲にして守っていることが、エゴを捨てているみたいなことではない。チームのためにエゴを出すことはすごく大事だし、それをエゴとは呼ばないと思う」 求めていたのは、チームを乱さない振る舞いだった。「僕が『エゴを出すなら大会が終わってからにしてくれ』と言ったのは、ほとんどオフ・ザ・ピッチのこと。チームのことを考えて行動することを言っている」。その上で、「オン・ザ・ピッチで自分が行けると思って、2対1でも抜けるなら行った方がいい。僕はエゴを捨てたわけではない。それほど牙は抜かれていない」と言い切った。 7年間をともに歩んできた森保一監督への思いも強い。堂安にとって、A代表で知る監督は森保監督だけだ。 「すごい人です。本当に偉大な人。安易に歴代の日本代表監督と比べることはできないですけど、僕の中では歴代最高の監督だと思います」 長い時間をかけて育てられた自覚があるからこそ、勝利で応えたかった。「時間をかけて育ててもらったし、だからこそ一緒に勝ちたかった。勝たせてあげたいというよりも、一緒にもう少し成長していく過程を見たかった」。優勝を本気で目指した大会は、またも決勝トーナメント初戦で終わった。 ただ、堂安は日本代表が積み上げたものまで否定しない。「日本サッカーは過程の途中にある」。背番号10として、ゲームキャプテンとして全4試合を戦った大会は、次に進むための現在地を示すものにもなった。