公開情報でみる「内閣衛星情報センター」
はじめに
現在の内調を国家情報局へと格上げする「国家情報会議設置法」が国会に提出されて以来、国内の情報機関に関する関心が高まっています。
日本の情報機関としては、内閣官房の内閣情報調査室(内調)のほか、外務省の国際情報統括官組織、防衛省情報本部、公安調査庁、警察庁警備局などの「情報コミュニティー省庁」が、それぞれの分野での情報収集・分析活動を行っています。
現在、内閣直属の情報機関でございます内閣情報調査室を始め、警察庁、防衛省、外務省、公安調査庁といった情報コミュニティー各省庁が、内閣の下に相互に緊密な連携を保ちつつインテリジェンス活動に当たっておるところでございます。
国家情報局や対外情報庁の設置、スパイ防止法の制定に関する議論が取り沙汰される中で、メディアやSNSでも全くといっていいほど言及されていないのが「内閣衛星情報センター(CSICE : Cabinet Satellite Intelligence Cener)」でしょう。
内閣衛星情報センターとは
内閣衛星情報センターとは、平たく言えば、偵察衛星を運用し、得られた情報を分析する組織でしょう。
平成10年8月の北朝鮮によるミサイル「テポドン」の発射を契機に、米国の衛星情報に依存している態勢が問題視され、同年12月の閣議において、情報収集衛星の導入が決定されました。
平成15年に光学、レーダーそれぞれの1号機がH-2A 5号機により打ち上げられ、H-2A1 6号機の打ち上げ失敗による衛星の喪失などがありながらも、令和6年現在、光学衛星4機、レーダ衛星5機、データ中継衛星1機の計10機を運用しています。
外交・防衛等の安全保障及び大規模災害等への対応等の危機管理のために必要な情報の収集を主な目的として、情報収集衛星を導入する
我が国の安全の確保、大規模災害への対応その他の内閣の重要政策に関する画像情報の収集を目的とする人工衛星(以下「情報収集衛星」という。)に関すること。
情報収集衛星により得られる画像情報の分析その他の調査に関すること。 情報収集衛星以外の人工衛星の利用その他の手段により得られる画像情報の収集及び分析その他 の調査に関すること。
内閣衛星情報センターの組織
内閣衛星情報センターは、内閣情報調査室の組織として、内閣情報官の下に置かれ、組織体制は所長、次長以下、管理部、分析部、技術部がある中央センター(東京都)と、副センター(茨城 県)及び北受信管制局(北海道)・南受信管制局(鹿児島県)から構成されています。
より具体的には、総務・会計・予算・国会対応のほか撮像計画作成までを行う管理部、撮影した衛星画像を分析し報告書を作成する分析部、開発・打ち上げ・管制・最新の技術動向を調査する技術部、衛星との通信や中央センターのバックアップとしての役割を有する副センター、衛星とデータを相互に通信するためのアンテナが設置され、衛生の管制や状態の確認を行ったり、アンテナ自体の維持管理(健全性確認、部品交換など)を行っている北受信管制局、南受信管制局が置かれています。
各部門の事務に関する詳細は「内閣衛星情報センター組織規則」に定められています。
第四条 管理部においては、センターに関し次に掲げる事務をつかさどる。
一 センターの所掌事務に関する総合調整に関すること。
二 職員の人事、厚生及び教養訓練に関すること。
三 予算、決算及び会計に関すること。
四 行政財産及び物品の管理に関すること。
五 公印の保管に関すること。
六 公文書類の接受、発送及び保存に関すること。
七 広報に関すること。
八 センターの所掌事務一般に係る基本的事項の企画に関すること。
九 情報収集衛星により得られる画像情報(以下「情報収集衛星画像情報」という。)の収集に係る計画の作成及び運用の管理に関すること(技術部の所掌に属するものを除く。)。
十 前号に掲げるもののほか、情報収集衛星に関すること(技術部及び総括開発官の所掌に属するものを除く。)。
十一 情報収集衛星以外の人工衛星の利用その他の手段により得られる画像情報(以下「その他の画像情報」という。)の収集に関すること(技術部の所掌に属するものを除く。)。
十二 情報収集衛星画像情報その他の情報の管理に関すること。
十三 前各号に掲げるもののほか、センターの所掌事務で他の所掌に属しないものに関すること。
第九条 分析部においては、情報収集衛星画像情報及びその他の画像情報の分析その他の調査に関する事務をつかさどる(管理部の所掌に属するものを除く。)。
第十三条 技術部においては、次に掲げる事務をつかさどる。
一 情報収集衛星及びこれに関連する設備(以下「情報収集衛星システム」という。)の開発整備計画に関すること。
二 情報収集衛星システムに係る技術の調査及び研究並びに技術情報の利用に関すること。
三 情報収集衛星の制御並びに状態及び軌道の監視(以下「情報収集衛星管制」という。)に関すること。
四 情報収集衛星画像情報の受信に関すること。
五 情報収集衛星システムの管理及び改善並びに情報収集衛星画像情報及びその他の画像情報の処理(以下「画像処理」という。)に関すること。
第十九条 センターに、副センター並びに北受信管制局及び南受信管制局を置く。
2 副センターは、茨城県行方市に置く。
3 北受信管制局は、北海道苫小牧市に置く。
4 南受信管制局は、鹿児島県阿久根市に置く。
第二十条 副センターにおいては、次に掲げる事務をつかさどる。
一 副センターにおける庶務に関すること。
二 副センターにおける施設の管理に関すること。
三 副センターの設備を用いた情報収集衛星画像情報その他の情報の管理に関すること。
四 副センターの設備を用いた情報収集衛星との通信に関すること。
五 副センターの設備を用いた情報収集衛星画像情報の処理に関すること。
六 副センターの設備を用いた情報収集衛星画像情報及びその他の画像情報の分析その他の調査に関すること。
第二十一条 受信管制局においては、次に掲げる事務をつかさどる。
一 受信管制局における庶務に関すること。
二 受信管制局における施設の管理に関すること。
三 受信管制局の設備を用いた情報収集衛星との通信に関すること。
内閣衛星情報センターの人員
一般に、情報機関の職員数は非公開のことが多い。しかし、日本の情報機関の職員数は国会答弁で説明されていることが多く、国会会議録検索システムなどで調べることができます。
これによると、内閣衛星情報センターの人数は、定員で240名程度、併任者なども含めた実員で380名程度と考えられます。
内閣情報調査室、内調と呼称しておりますけれども、本年四月一日現在における定員でございますが、内調本室が二百六十八名、内調に設置されております内閣衛星情報センターが二百三十八名となっておりまして、合計五百六名となってございます。
内閣衛星情報センターは、内閣情報官をトップとする内閣情報調査室に 設置されており、所長、次長の下、中央センター、副センター、北受信管制 局及び南受信管制局が置かれている。職員数につき、令和5年度は実員382 人となっている。また、情報収集衛星の予算は、近年では、概ね800億円 となっている。
参考までに、他の情報機関の職員数も紹介します。
情報本部は、各種情報を収集、集約し、国際軍事情勢等、我が国の安全保障に関わる動向分析等を行う組織であります。
我が国の防衛を全うする観点から、軍事動向を常時継続的に情報収集することは不可欠であり、それに必要な情報本部の定員として、令和七年度においては約二千六百七十名を確保しておるところであります。
警察庁警備局の定員につきましては、本年四月一日現在で五百七十三人となっているところでございます。
公安調査庁の令和七年度定員は千八百三十人となっております。
外務省国際情報統括官組織の令和七年度の定員は八十四名でございます。
内閣衛星情報センターの特定秘密
衆議院の情報監視審査会は、政府による特定秘密の指定、解除、適正評価の実施状況に関して審査しています。この審査会の報告書を読むと、各機関がどのような情報を特定秘密に指定しているかを垣間見ることができる。
引用した報告書では、内閣衛星情報センターと内閣情報調査室をまとめて報告しています。
内閣情報調査室では、令和5年末時点で106件の特定秘密を指定している。 令和5年中に新たに指定した特定秘密は、内閣衛星情報センターの収集分析対象及び識別能力関係で指定した1件、情報収集衛星の撮像可能な地理的範囲関係で指定した1件、外国の政府等との情報協力関係で指定した2件、人的情報収集関係で指定した2件及び情報収集衛星の暗号関係で指定した2件の計8件である。 同年中に指定の有効期間の満了時期を迎えた特定秘密は8件である。 8件全てについて、指定の対象情報に係る諸情勢は少なくとも5年以内に変化することはないと判断し、指定の有効期間を5年延長した。指定の有効期間を満了したものはない。同年中に特定秘密の指定を解除・一部解除したものはない。また、指定書及び指定管理簿の記載を変更したものは8件であり、指定の有効期間の追記、有効期間の満了年月日などの変更を行った。 内閣官房における適性評価は、国家安全保障局及び事態対処・危機管理担当を含め、内閣情報調査室が一括して実施している。内閣官房では、 令和5年中に内閣官房の職員等に対して 511 件、適合事業者の従業者に対して256件、計767件の適性評価を実施した。 適性評価の対象者による不同意については1件、同意の取り下げ及び苦情の申出はいずれも0件であった。
内閣衛星情報センターが指定した特定秘密は、「内閣衛星情報センターの収集分析対象及び識別能力」、「情報収集衛星の撮像可能な地理的範囲」、「情報収集衛星の暗号関係」であると考えられます。
次の記事では、内閣衛星情報センターの各施設について紹介予定


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