読者からの質問「駒崎さん! 一体、その行動力、どこからくるの?」2021年6月1日

  • 電子版連載【駒崎弘樹の「半径5メートルから社会を変える」】〈4〉

 新型コロナウイルス感染症の影響が続く中で、子どもたちを取り巻く環境には、どのような変化があったのか――。
  
 連載「駒崎弘樹の『半径5メートルから社会を変える』」では、認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんに、さまざまな社会課題について聞きます。
 読者の皆さまと一緒に、身近なところから社会を変えていく方法を考えていきたいと思います。
 今回は読者からメールで寄せられた質問を駒崎さんにぶつけてみました。テーマは、こちら! 
 「駒崎さんに聞きたい! 一体、その行動力はどこからくるんですか?」

  
 ※取り上げてほしいテーマを募集します。記事の最後に記載したメールアドレス宛てにお送りください。
  

■教師からも目を付けられていた子ども時代

 ――さまざまな社会課題の解決にアクティブに挑戦されている駒崎さんですが、その行動力はどこからくるのでしょうか。

 駒崎 僕は子どもの頃は、今で言うところの「発達障害」のある子どもでした。教室の中でじっとしていられず、教師からは目を付けられていましたし、自分のこだわりに集中するあまり、周囲とズレを感じたこともあります。子どもながらに生きづらさのようなものを抱えていたように思います。

 でも大人になって、社会起業家として活動するようになってからは、そんな自身の特徴も、すごく生かされています。「じっとしていられない」は「挑戦を止めない」に、「こだわりに集中する」は「目標に向けてまっしぐらに進む」に変わりました。その意味で、僕の場合、自身の“特性”がポジティブな才能として発揮されたといえるのかもしれません。

 ――そう考えると、“自分が輝ける場所”を探していくことが大事なようにも感じます。

 駒崎 そうですね。今、生きづらさのようなものや、周囲とのズレを感じていたとしても、自身の特性が強みに変わる領域や場所がきっとあると、私は思います。そういった自分を生かせる領域を見つけるためにも、若い世代はぜひ、失敗なんかにめげず、いろんなことに挑戦してみてほしいですね。

■“この人が大変な状況に置かれている”が行動の始まり

 ――でも、失敗すると正直、へこみます(笑い)。駒崎さん自身も、社会課題の解決に向けてはさまざまな障壁もあると思います。それでも諦めずに行動し続けるためには、どうすればいいのでしょうか?

 駒崎 僕がいつも心に置いていることは、「現場を大事にする」です。社会問題というと、すごく大きな話に聞こえるかもしれません。しかし、“大文字”(国家など)の社会課題を解決しなければという考えだけで行動していると、つらいことやうまくいかないことがあった時に、そこでくじけてしまい、“仕方ないか”と断念してしまいそうになるんです。

 しかし、“この人がつらい思いをしている”とか“この人は大変な状況に置かれている”などと、顔が見えて体温を感じられれば、目の前の一人の苦しみとして捉え、臨場感をもって課題に向き合うことができます。そうなれば、自身に芽生えた思いも容易には消えない。

 僕の場合、“あの人のつらさをそのままにしておいていいのか”と思うと、そんなことは絶対にできないし、自身の行動を後押ししてくれます。だからこそ、実際に課題に直面している当事者や、つらい思いをしている子どもと、リアルに会うことを大事にしています。それがあるから僕自身、何があっても奮い立つことができ、どんな波風が立ってもくじけずに進んでいけるのだと思います。

 ――連載のタイトルにある通り、まさに「半径5メートルから社会を変える」ということが大事ですね。

 駒崎 一般名詞でなく、固有名詞で考えることです。いくら社会正義を掲げてみたところで、「つらい思いをしている○○さん」という固有名詞が不在だと、どうしてもリアリティーが欠落しがちです。本質は、現場からの視線でなければ見えてはきません。その意味で“半径5メートル”で感じ取ることができる“リアル”に身を置くことが大切です。

■「具体→抽象→具体」の視点の流れ

 ――それは「抽象的」なことよりも、「具体的」なことに目を向けることで力が出るということでしょうか。

 駒崎 もちろん、「抽象的なこと」で頑張れる人もいると思いますが、抽象的な概念の向こう側にある「具体的で肌触りのある感覚」を持つことが大事だと感じています。

 例えば、不登校問題では、いきなり社会の課題である不登校を解決したいとスタートするのではなく、“目の前にいる不登校の子どもをどうにかしたい”という具体的な思いから始まります。
 そして、当事者が抱える困り事は何なのか、どうしていけばいいのかと具体的に考えていく。そういった一つ一つの課題を深掘りしていった先に、不登校という現象が「抽象化」されていきます。そして、現場に戻って解決策を考えていく。そのように「具体→抽象→具体」の視点の流れが大事だと思います。

■親子の笑顔をさまたげる社会問題を解決する

 ――社会の課題解決に向けて活動されているフローレンスの職場は、常に活気にあふれているように感じます。
 (※フローレンスについて知りたい方は、こちらの公式サイトへ)

 駒崎 単に忙しい、ということもあるとは思います(笑い)。ただ、フローレンスで働くスタッフは問題意識を持って集まってくれた人たちばかりです。自分自身が何かしら社会課題の当事者としてつらい経験をしたことがあったり、あるいは、身近にそういった当事者の存在がいて、その課題を解決したいと考えていたり。

 そんな具体(現実の問題)をリアルに感じた人たちが、フローレンスのドアをノックして集ってくれています。決して高いブランド力があるわけではなく、待遇がすごく良いわけでもありません。それでも、ある種の使命感を持ってフローレンスに集ってくれた人たちには、それぞれに、それだけ頑張れる理由があるのだと思います。

 “親子の笑顔を妨げる社会問題を解決する”――それが私たちフローレンスが掲げている使命です。そのもとに集まってくれたスタッフたちと、これからも目の前の一人を起点に行動し続けていきたいと思います。

 

 ●最後までお読みいただき、ありがとうございます。ご感想、取り上げてほしいテーマなど、ぜひお寄せください。
 youth@seikyo-np.jp

 

 

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