この後、釣った獲物は美味しくいただいた
……何番煎じか分からないテンプレなシチュエーションだとはわかっている。でも書きたかった!!つか、これを基に今度また夢もの書く予定だけど一回読みきりタイプのくさひぐくさをかきたったんじゃあああああああああああああああ!!普段は消極的な日車がじらされて日下部の狙い通りの事を言わされる話は良いと思うんです!!癖です!!ドツボです!!夢もの目的で普段から日参、ブクマされてる人が多い中シリーズにキャラだけの話を混ぜ込んで申し訳ないけど、IF世界線のお兄さんは間違いなく此のシチュエーションがあったら万札だして買うから!!ってことで混ぜたよ!!上下どっちか明言してないのでタグが沢山になってるけど!!どっちだったとしても筆者は嬉しいし楽しいから許してほしい!!はああああああああああああ、受け攻め両方できる推し達が愛おしい!!日下部ー!!おおれだーーー!!原作後、日車の世話焼いて最終的にルームシェアしててくれえええええええええええ!!
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日下部篤也の釣り
日下部篤也の趣味は釣りである。
任務も教職の仕事もないオフの日、趣味にだけ費やせるだけの時間がある時にだけとなってしまうが海や釣り堀へ行っては、ひなが一日釣りを楽しむのを好んだ。
海でうまい魚を手に入れるのもいい。釣果がなくとも、無心で釣り糸を垂らしているのもいい。顔見知りの釣り好きと示し合わせて出かけるのも沖釣りに行くのだって日頃から血生臭く面倒な任務ばかりの日下部としてはいい気分転換になるので好ましい。
ただ、時には大物を狙いたいとか狙った獲物を手に入れる為に少しだけ頑張ってみたいと欲を出してみたくなるのが男という生き物である。
日下部は最近ご無沙汰になった釣りをするのなら、大物がいいなぁと連勤で疲弊した脳味噌が常日頃抑え込んでいる欲求の蓋を抉じ開けてしまったばっかりに。
「……やるか」
この仕事が終わったら釣りをしよう。日下部は口の中にある飴玉を嚙み砕き、現着した廃墟へと一人乗り込んだのであった。
その殺伐とした目つきと低く唸るような呟き声に近くで帳を下ろしていた補助監督は自分も殺されるんじゃないかと勝手にビビりだしたのも無理らしからぬ事であった。
獲物を手に入れたいのなら、先ずは釣りをする時間を狙わなければならない。
朝夕マズメが狙い時のように、今回の獲物が釣り場に来る時刻を狙う。
任務を終えて、車で送迎されている最中に個人用スマホに入れておいたスケジュールアプリを見れば、実に運が良い。
日下部の明日からのオフと獲物が釣り場に来る頃合いがかぶっている。
報告書を書くだけなら家でも出来るし、担当している教え子たちは皆任務で出払っているから授業もない。
待機する必要はないが、どうせする事がないなら昨日やり損ねたテストの採点やら済ませておくかとも思ったが、この絶好のタイミングを逃してたまるものか。
日下部は補助監督に家から一番近いスーパーあたりで下ろしてもらい直帰する旨を伝えた。
次に大事なのは餌である。釣り餌は獲物が好むものがいい。
そして今日は奇しくも金曜日である。日下部は獲物が喜びそうなものを頭の中で思い浮かべてスーパーの籠に次々にぶち込んでいった。
どうせ向こうがいらなければ自分が消費すればいい。ついでに自分の食べたいものも入れていく。
補助監督に頼んで下ろしてもらったスーパーのいいところは日下部の好物のとろタク巻きが置いてあることである。
ただ、釣るなら上等のえさを用意しないとな。そう思いながら給料日にしか買わないだろう鯛の刺身を選ぶ。
エビで鯛を釣るとは聞くが、今回は鯛で獲物を釣るである。
鯛を美味しく加工する為に大葉や白ゴマも欠かせない。ついでに切れかけた調味料や今夜の釣りのおともに欠かせないからと缶ビールを一ケースも追加する。
普段なら質素で慎ましい生活を送る日下部は今回の釣りだけは思い切りやってやることにした。
なんせ数か月ぶりの大物狙いである。完全装備で挑んでやらあと帰りにドラッグストアに立ち寄り、家に置いてあるものが足らなくならないようにした。
家についたのは補助監督と別れて一時間後。
都内ではそこそこお高い2LDKの部屋は同居人と話し合って選んだ新しい日下部の住処である。
買い込んだものをそれぞれの置き場に移し、埃っぽくなった体をシャワーで綺麗に洗い流す。ついでとばかりに風呂掃除をして、同居人が帰る時間に合わせていつでも湯が張れる状態にしておく。自分は半ドンにしたが向こうは今頃、任務で埼玉あたりに行っている筈だ。
日帰りで帰れなくはない距離かつ互いに休みが久々に被ることを考えたらまっすぐに帰ってくるだろう。
ついでに誘い込んどくかと、日下部はスマホのメッセージアプリで『今日の夕飯は鯛のごま漬け』と送り付けてやれば直ぐに既読が付き、帰宅予定時間を送り返された。それににんまりと口元が上がってしまうのは狙った獲物の活動時間が確定したからである。
後は只管にえさの準備である。
買ってきた鯛の刺身に醤油とみりんを煮立たせて白ゴマと混ぜた調味液で付け込む。大葉は軸を切って千切りにしておくだけでいい。
後は十分に吸水した米を炊飯器でタイマーセットしておく。獲物が来る頃には炊き立ての白飯の完成である。副菜は作り置きがまだ残っているから其方を使う。
暮らし始めてから、きんぴらごぼうやカボチャの煮つけなど作り置きできる副菜を何点か常備するようにしてたがお互いに忙しくてなかなか消費が出来なかったのを今夜のうちにまとめて使ってしまう算段である。その分、新しいのを作る為の食材だって買い込んである。
明日は家事も仕事も何も考えずに楽しむ為ならば労力は惜しむなんて選択は今の日下部にはない。
所謂ランナーズハイってやつであった。
其れに欠かせないのが酒の肴。あたり目やウズラの卵、チーたら、甘いものも好んでいるからとスティックタイプのチョコ菓子なんかも用意しておく。
酒は缶ビールを冷蔵庫に冷やしておくだけ。今回のコンセプトは金曜の気楽な飲みである。
真面目過ぎて仕事ばっかりになりやすい獲物が好む『してはいけないと思い込んでいた事』には、自堕落な宅飲みが混ざっているのを日下部は把握済みだ。
獲物の習性を学び、それを利用するのも釣りを成功させる大事なことなのである。
必要なものは用意した。
後は餌を垂らして獲物がかかるのを待つだけである。
その為に、日下部は寝間着代わりに使っているシャツとスウェットパンツ姿でリビングのソファに寝転ぶとテレビを無作為につけておく。
今どき流行りのアイドルやタレントなんかは興味もないが、一人でいると偶に人の声が欲しくなる事がある。
そんな音を子守歌代わりに目を閉じれば一気に眠気が襲ってくる。其の心地よい微睡に意識を持っていかれかけていると獲物が部屋に入ってくる音がした。
「ただいま……日下部?」
此処は寝たふり一択である。
何より日下部も疲れているので動くのも億劫になってきたので、獲物が手洗いうがいをしてリビングに来るのを待つことにした。
眼を閉じてていても音で大体向こうが近づいてきてるかどうかは分かるものである。
同居人であり、今回の獲物、恋人の日車の足音が近づいているのもだ。
寝ていると思われる日下部に配慮して、音をなるべく殺して近づいてきた相手からのアクションを待つだけ。
釣り竿につけた餌を獲物が口にするのを待つのと一緒。ただ待っていればいい。
「寝てるのか」
「……」
「テレビも電気もつけっぱなしとは感心しないが……お疲れ様、篤也」
疲労しているのは向こうも同じだろうに。
日車はそっと日下部の額や頬を撫ぜてから、慎重に日下部の上に身を乗り出してくる。
そして、狙い通り互いのかさついた唇が重なる感触を日下部は感じ取った。
「篤也、起きてくれ」
「ん……寛見」
「すまない。疲れているのは分かっているが、その状態だと風邪をひく」
「あー……すまねえ。今何時だ?」
「九時前だな」
「そっか。風呂、入ったか」
「未だだな」
寝ぼけたふりをしたまま、普段通りの会話をする。
普段から奥手すぎて全くもって自分からしてくれることのないツレナイ恋人を釣る為の作戦は今回もうまくいったようだ。
寝起き半分の振りで、そのまま日車が自分にしたのと同じ額や頬に口づけしていく。
「飯にすっか?それとも風呂か?」
「……この手の選択で交際している相手同士だとよくあるものだが」
「ん?」
「君がいい、と言ったらどうなる?」
日下部の本日の釣果は狙い通りの大物一本釣りとなった。