「令和の子どもは、圧倒的に睡眠不足」医師が警鐘を鳴らす“新型・脳疲労”の恐怖。一見元気そうに見えても危険なワケ…
「うちは毎晩決まった時間に寝かせているから安心」と思っていませんか? 小学生の推奨睡眠時間が9〜12時間であるのに対し、現代の日本の子どもの平均は9時間を割り込んでいます。さらに恐ろしいのは、時間は確保できていても「脳が深く休めていない」子どもが激増しているという事実です。 日本の子ども95%が睡眠不足という衝撃…我が子を「19時消灯」で激変させた元教員が痛感したこと 朝は起きられるし学校にも行ける。一見元気そうに見えても、日中に集中力が続かなかったり、ぼんやりしたりするのは、脳の回復が追いついていない証拠。子どもの脳をジワジワと蝕む「隠れ脳疲労」の正体と、親が見落としがちな睡眠の“質”のチェックポイントを解説します。 ※本記事は、 『子ども脳疲労: 不機嫌・ダラダラの原因は「脳の疲れ」だった』(日本文芸社)の一部を抜粋・再編集したものです。
今の子どもは圧倒的に睡眠不足
<睡眠時間は短縮傾向にある> 最近の子どもは、以前に比べて眠る時間が短くなっています。小学生に推奨されている睡眠時間が9〜12時間であるのに対し、実際の平均睡眠時間は9時間を下回っているのです。多くの家庭で、その状態が当たり前になっています。 睡眠時間が短くなっている背景には、いくつかの要因が重なっています。たとえば、スマホやゲームはその代表例です。少しだけのつもりで触りはじめても、気づけば時間が過ぎてしまいます。動画を一本だけ見るつもりが、次の動画が流れ、やめるタイミングを逃してしまうのもよくあるケースです。また、親の帰宅時間に合わせた生活リズムや、夕方以降まで続く習い事や用事など、大人の都合も睡眠時間の短縮化の一因となっています。 <睡眠不足は日中の様子にあらわれる> 睡眠は、日中に使った脳を回復させるための大切な休息時間です。眠る時間が足りない状態が続くと、脳の回復が追いつきにくくなります。その結果、日中の集中が続かなかったり、切り替えがうまくいかなかったりする場面が増えていきます。 すぐに目に見える不調としてあらわれないことが多いので見逃されやすいですが、 翌日に体調を崩すわけではなくても、元気そうに見えていても、実は余力が少ない状態が続いています。その結果、 集中しにくくなる、ぼんやりする、疲れやすい……そんな形で少しずつあらわれます。 睡眠不足が続くと、気持ちの余裕も保ちにくくなります。ちょっとしたことでイライラしたり、気持ちの切り替えに時間がかかったりするのです。これは性格の問題ではなく、休みが足りていない状態で起きやすい反応といえます。本人が意識してコントロールできるものではないことも少なくありません。 「週末にたくさん寝れば大丈夫」と考える人もいますが、睡眠は一日単位で積み重なっていくものです。平日に不足した分を、週末だけで取り戻すのは難しく、むしろ平日と週末のリズム差が大きくなることで、疲れが抜けにくくなってしまうことさえ考えられます。 睡眠の大切さは、よく知られていることです。それでも実際には、子どもの生活のなかで睡眠時間が後回しになっている場面を多く見てきました。のちほど詳しく説明しますが、子どもの脳にとって睡眠時間の確保は、脳疲労を防ぐうえで欠かせない土台になります。 <睡眠が足りていない子どもは多い> 宿題や習い事、親の生活に合わせた食事や入浴が続き、就寝時刻は少しずつ遅くなっています。その結果、多くの子どもが慢性的な睡眠不足の状態にあります。 また、睡眠時間は取れているのに「実は脳が休めていない」という子どもたちも意外と多いのです。次回、その点について解説します。
〈著者プロフィール〉成田 奈緒子(なりた なおこ)
小児科医・医学博士・脳科学者。発達脳科学を専門とし、子どもの睡眠や生活リズムと脳の発達の関係を長年研究。医療現場で多くの親子と向き合うなかで、子どもの不調の背景には睡眠不足や過干渉など家庭環境の影響が大きいことに着目する。脳の発達段階に即した子育てのあり方を提唱し、講演・執筆活動を通じて広く発信。親子支援事業・子育て科学アクシスを主宰し、保護者向け講座や教育支援にも力を注いでいる。著書に『誤解だらけの子育て』(扶桑社)、『子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する』(PHP 研究所)、共著に『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB クリエイティブ)などがある。
with class