「国旗損壊罪法案」―提案者である国民民主と参政が衆院本会議での採決に欠席すると発表
衆院議院運営委員会の山口俊一委員長は29日の理事会で、国旗損壊罪法案を30日の本会議で採決すると職権で決めた。ところが、同法案の共同提出者である国民民主党と参政党が、なんと、国旗損壊罪法案を採決する30日の衆院本会議に欠席するとの考えを示したのである。
【速報】国民民主、参政が国旗損壊法案採決に欠席へ
国民民主党の古川元久国対委員長と参政党の安藤裕幹事長は29日、日本国旗損壊罪法案を採決する30日の衆院本会議に欠席する考えを示した。両党は与党と共に共同提出に加わった。
2026年06月29日 19時17分 共同通信「47NEWS」
- 国旗損壊罪法案採決予定の本会議、共同提出者の国民民主党と参政党が欠席へ(TBS NEWS DIG)
国旗損壊罪法案は、自由民主党、日本維新の会、国民民主党、参政党の4党によって共同提出されたものである。法案の提出者が、自ら提出した法案の採決の場を欠席するなどということは、極めて無責任な異常事態である。このような迷走は、本法案がいかに脆弱な論理と党利党略の政治的思惑のみで作られたものであるかを如実に物語っている。欠席の詳細な理由は明らかではないが、次のように推測されるのである。
まず、国民民主党の動きを振り返れば、その足並みの乱れは法案提出前から明白であった。同党の玉木雄一郎代表は当初、自民党の案に対し、立法事実(立法の必要性)がない、罪となる範囲があいまいだと指摘し、このままの条文なら賛成しかねると批判していた。ところがその後、与党側から現実に事案が発生していなくとも将来に向けて国旗損壊を抑止するための「予防的立法事実」はあるとの説明を受け、これを受け入れる形で突如として共同提出に加わったのである。
玉木代表は、表現の自由の観点からの修正を勝ち取ったと成果をアピールしたが、そもそも将来の犯罪を予防するためという抽象的な予測だけで単純に刑罰を新設することは許されない。予測する犯罪の明確な形と事前に刑罰を使ってまで抑止するほどの重大性が検討されなければならず、さもないと予測的立法は市民の自由の不当な侵害を招く極めて危うい論理となる。結局、党内で論理的整合性の取れないまま政局的な判断で相乗りした結果、世論や専門家からの厳しい検証に耐えきれなくなり、採決を欠席するという無様な決定に至ったのではないかと推察される。
もう一方の参政党は、もともと「日本国国章棄損罪」の創設を内容とする刑法改正案を参議院に単独提出するなど、国旗損壊の処罰化に積極的であった。参政党の当初案は、「日本に侮辱を加える目的」の存在を要件とし、国家の象徴に対する国民の敬意を刑罰によって強制することにあった。しかし、4党の共同提出へと至る過程で、法案は憲法上の表現の自由との抵触を避ける体裁を取り繕うため、「侮辱目的」という主観的要件が外され、「人に著しく不快または嫌悪の情を催させるような方法」という曖昧な外形的基準に変更された。また、民族派団体からも「(国旗は)法律で決めるような安っぽいものではない」との批判が上がる中、参政党が当初想定していた「国家の威信を守る」というイデオロギー的理念から法案が大きく離れ、妥協の産物に成り下がったことに不満を抱くことになったのではないか。
要するに、国旗損壊罪法案は、その出発点から決定的な論理的破綻を抱えていたのである。推進派は外国国章損壊罪との比較論を出発点にしたが、法益論を無視して日本国旗と外国国旗とを単純に同列に扱おうとしたことに無理があった。立法の必要性も保護法益も曖昧なまま、高市首相の強い意向(悲願)と、保守層に向けた政治的アピールのために「国旗」が利用されたのである。
法案の共同提出者が採決を欠席するという異常な事態は、この法案が真面目に採決に付すに値しない欠陥法案であることを提出者自らが証明したようなものである。国旗損壊罪法案は、もはや成立の正当性を完全に喪失しており、直ちに廃案とされるべきである。(了)