藤井聡太棋聖がストレート防衛 初獲得から無敗の7連覇達成、服部慎一郎七段を退け大山康晴十五世名人に並ぶ
将棋のヒューリック杯第97期棋聖戦五番勝負第3局が7月1日、静岡県沼津市の「沼津御用邸東附属邸第1学問所」で行われ、藤井聡太棋聖(竜王、名人、王位、棋王、王将、23)が挑戦者の服部慎一郎七段(26)を87手で破り、開幕から無傷の3連勝でストレート防衛を果たした。この勝利で藤井棋聖は棋聖戦7連覇を達成し、故・大山康晴十五世名人が持つ大記録に肩を並べた。 【映像】藤井棋聖が選び話題となった「ようかんアイス」 角換わりの出だしから、後手の服部七段が右玉を採用した本局。長い駒組みを経て、藤井棋聖が自陣に角を打って仕掛けていく展開となった。服部七段は用意の作戦を用いて自身のペースで進めていると見られていたが、戦いが始まると藤井棋聖が相手の攻めを巧みに誘い込んで主導権を掌握。中盤戦から一気に流れを引き寄せた。後がない服部七段も果敢に挑んでいったが、先手の藤井棋聖は盤上の駒がまさに“全軍躍動”する圧巻の働きを見せる。一切の隙を与えない盤石の指し回しで挑戦者を退け、シリーズをストレートで決着させた。 勝利した藤井棋聖は、「全体的にこちらが細い攻めをつなげていけるかという将棋で、激しい変化も多く、全体的に判断に悩む局面が多かった」と一局を総括。一方、敗れた服部七段は「角換わりなら右玉でいこうと思っていた。自然に指したつもりだったが、どこで崩したか今のところはわかっていない」とコメント。初のタイトル戦を3連敗で終え、「初めてということもあり、貴重な経験だった。力不足だったと感じている。また来期頑張りたい」とリベンジを誓っていた。 藤井棋聖にとって棋聖位は、2020年に渡辺明棋聖(当時)から将棋界史上最年少となる17歳11カ月で奪取した初タイトル。以後、渡辺明九段、永瀬拓矢九段、佐々木大地七段、山崎隆之九段、杉本和陽六段という並み居る強敵を破って防衛を重ねてきた。すでに通算5期で与えられる「永世棋聖」の資格も保持している。 今回の7連覇達成により、1962年度後期の第1期から1965年度後期の第7期までと、1974年度前期の第24期から1977年度前期の第30期までの2回にわたり7連覇を達成した大山十五世名人と肩を並べた。なお、棋聖戦の歴代最高連覇記録は、2008年の第79期から2017年の第88期まで羽生善治九段が達成した10連覇となっている。 藤井棋聖は、「シリーズ通して集中して指すことできた。結果にも繋がったことは嬉しく思う」とコメント。大山十五世名人の記録に並んだことについては、「あまり意識はしていなかったが、光栄なこと」とし、「連覇は途切れてしまうと難しいので、少しでも長く続けられるように来期に向けて取り組んでいきたい」と話し、さらなる前進を見据えた。 見事なストレート防衛を飾った藤井棋聖だが、息つく間もなく次なる戦いが始まる。中2日で迎える7月4日には、同学年の伊藤匠二冠(叡王、王座、23)が挑戦者となる「伊藤園お~いお茶杯第67期王位戦七番勝負」が静岡県浜松市の「浜松八幡宮楠倶楽部」で開幕する。王位戦でも同じく防衛7連覇を目指すことになるが、藤井棋聖はこれまで保持していた全八冠のうち叡王、王座の2つのタイトルを伊藤二冠に奪取されており、この七番勝負は絶対に譲れない宿命の対決となる。 タイトル防衛戦が続く過酷な日程の中でも、藤井棋聖は2026年度を9勝0敗と無敗で突き進んでおり、圧倒的な勢いそのままに次なる強敵の挑戦を迎えることとなる。“真夏の七番勝負”と称される王位戦では、果たしてどのような戦いを見せるのか。大記録を打ち立てた若き絶対王者の戦いぶりから、引き続き目が離せない。 ◆藤井 聡太(ふじい・そうた) 2002年7月19日、愛知県瀬戸市出身。中学2年生時の2016年10月に史上最年少で四段昇段、史上5人目の中学生棋士となる。2020年度の第91期棋聖戦でタイトル初挑戦、17歳11カ月で最年少タイトルホルダーとなった。以降獲得と防衛を重ねて、竜王5期、名人4期、叡王3期、王位6期、王座2期、棋聖7期、棋王4期、王将5期、の通算36期。永世竜王、永世王位、永世棋聖の資格保持者。棋戦優勝は14回。2023年10月には第71期王座戦五番勝負を制し、前人未踏の「八冠独占」を達成した。現在保持しているタイトル数は6冠。通算成績は455勝96敗、勝率は.826。趣味は鉄道、チェス。 (ABEMA/将棋チャンネルより)