ガッチャン ヒュー
お皿を割った音でも、冷たい北風の音でもありません。
この擬声語は、私が算数の導入期に使っている言葉。
今年も、卒園間近の年長さん達の「就学準備体験講座」で、頻繁に使っています。
「足し算の意味」、「引き算の意味」の学習場面です。
どうして、こんな言葉を使うのか・・・・・というわけは、あとにします。
この時期、就学前のお子さんをお持ちのお母さん方が、我が子に
「平仮名」と「計算」を、一生懸命教えていらっしゃる姿を目にしますので、そのことについて先ず一言。
*「平仮名」を、書いて覚えさせたい。
*簡単な足し算、引き算をできるようにしたい。
気持はわかるんですが、これは、要注意
小学校に通い始める子供の目線で考えてみましょう。
平仮名も、数字や「+」・「-」も、子供達が初めて本格的に出会う「記号」です。
「記号」は、ある物を、別の簡単な形式で表現したもの。
大人は、記号を、その形式だけで取り扱うことに慣れていますが、年長さん達は違います。
初めて出会うのです。
ですから、記号の背景にある「記号の持つ表情」が大切です。
例えば、
「は」という文字を伝える時。
*「は」は、「ハ」と読むのよ。さあ、5回書いてみましょうね。
ではなく、
*「は」を、3回続けて言ってみましょう。「ハ・ハ・ハ」。
じゃあ、「ひ」は・・・「ヒ・ヒ・ヒ」。
「ふ」は・・・「フ・フ・フ」・・・・・・
すると、子供も気付きます。
そうです。
「はひふへほ」は、まるで、笑い声を集めた「行」なんです。
*鼻をつまんで「まみむめも」を言ってみましょう。
*舌を指で押さえたまま「たちつてと」を言ってみましょう。
「平仮名」という記号の持つ「表情」は、まさに「音の響き方」です。
書いて覚えることも必要ですが、
それ以上に、音と文字の関係を楽しむことを、もっと大切にして欲しいと思うのです。
では、足し算・引き算の「表情」ってなんでしょう?
二つあります。
数字の持つ「表情」
私は、「紙芝居」もどきの教具を使っています。
「足し算紙芝居」を一つだけ、ご紹介すると・・・
そして、紙芝居のストーリーに登場する「金魚」の数が、「数字」という記号に変身するのです。
ですから、この紙芝居では「4」も「1」も「5」も、「金魚」の数という「表情」を持っているのです。
犬、みかん、アイスクリーム・・・・・無数にありますから、それらの具体的な物の「具体性」を捨象してしまった物、
つまり、数だけを表した「教具」が必要になります。
それが「半具体物」と呼ばれる教具です。
教科書に掲載された、チョコレート片のような「タイル」が、
その「半具体物」にあたります。(左の写真は「東京書籍」版)
教科書が入手できたら、是非一度ご覧になってみて下さい。
「+」と「-」という記号の持つ「表情」
「+」と「-」の「表情」って何でしょう
私は、四則演算を「数に働きかける人間行動」と理解することが、とても大切だと考えています。
つまり、
「+」・・・金魚と金魚を、同じ「金魚鉢に一緒に入れる」とか、
お皿にあったミカンに、さらにミカンを「足して乗せる」とか。
「-」・・・始めにあったイチゴから、いくつかを「食べてしまう」とか、
電線にとまっていたツバメのうちの何羽かが「飛んでいってしまう」とか。
これらは、子供達が生活の中で沢山体験してきていることです。
日常の生活で体験している「人間行動」が、「+」「-」という記号の「表情」と言えるでしょう。
そこで、「入れる」・「足して乗せる」や、「食べてしまう」・「飛んでいってしまう」などの「人間行動」を、
一括して表現する「学習活動」が必要になってきます。
それが、「操作」です。
私は、上で紹介した「半具体物」として、立方体の「キューブ」を使っています。
キューブで、足し算・引き算の「操作」をするのです。
例えば、このキューブで「3+2」の操作をすると・・・
ここで、「3と2を・・・ガッチャン」という言葉を掛けます。
足し算操作のイメージを言語化していくのです。
また、キューブで「5-2」の操作をすると・・・
「5」の中から、「2」を取り去る操作です。
ここでは、「5から2を・・・ヒュー」という言葉を掛けます。
引き算操作のイメージを言語化していくのです。
(ご家庭で「操作」される場合、キューブの代わりに、おはじきのような物でも良いと思います。)
さて、先週の授業では、
「紙芝居」を考えたあと、私が口頭で言った計算式を、一問ずつプリントに書き、
それからキューブを操作して、答えを記入させました。
予定の時間が来たので、
数問が終わったところで「今日は、これで終わります」と言った途端、
「いやだあ、もっとやりたい
」
子供達から一斉に、嬉しいブーイングが起きました。
やはり、「記号」の「表情」を大切にして、活動的な学習をしていくことは、とっても大切なんですね。
だから、単純な足し算・引き算の計算が、楽しく感じられたのでしょう。
そしてまた、毎回、新しい友達と一緒に学習できることが、その楽しさを倍増しているようです。
今週から私の教室も新年度。
「学び合いの学習」「活動的な学習」を一層深化させていこうと思います。
HP:URL http://www.yoshida-kyoushitsu.jp/
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