病院のリフォームに絡む「うその話」特殊詐欺事件相次ぐ 600万円だまし取られたケースも「手口知って」
病院のうそのリフォーム工事に絡む話を巡って、現金をだまし取る特殊詐欺事件が京都府宇治市内で相次いでいる。犯人側はまず不動産業者に接触し、後に被害者となる建築業者の紹介を依頼。親しい人を介して話をすることで、警戒心を解く狙いがあるとみられる。京都府警宇治署は新しい手口として、注意を呼びかける。 手口の流れをイラストで解説 「病院のリフォームを考えている。業者を紹介してもらえないか」 ある不動産業者に4月下旬、市内に実在する病院の職員を名乗る男から電話があった。依頼を受けた業者は、知り合いの工務店の男性(57)=宇治市=に話を持ちかけた。 男性は、知人に教えてもらった携帯番号に連絡。すると男から、工事の前に「病院の代わりに除菌剤を買ってほしい」と求められた。男性は、指定された口座に198万円を振り込んだ。 別のリフォーム関連会社の男性経営者(42)=同=にも、同時期に別の不動産業の知人を介して同様の話が舞い込んだ。消毒液や除菌剤の購入を肩代わりする代金として、23〜24日に計594万円をだまし取られた。 同署には、他にも同じような相談が数件寄せられたという。同一犯の可能性もあるとして、捜査している。 さらに滋賀県内でも同様の手口での被害が3月28日から4月1日にかけてあり、3件で計1千万円が詐取された。 宇治署の生活安全課は、犯人側は不動産業者に紹介された形で被害者に接触していた点を、特徴の一つに挙げる。 「知らない人からいきなり話をされても、疑われる。親しい人からだと話を聞くし、信じてしまうのを利用したのではないか」と、中島雅仁課長は分析する。 被害者自ら犯人に連絡している点も共通する。中島課長は「相手を信じた状態で接触したので、おかしな話が出てきても『だまされている』と思わなかったのでは」とみる。 ◇ 京都府警宇治署の管内(宇治市、久御山町)では今年に入り、特殊詐欺の件数が3倍に、被害額は12倍超に急増している。同署は、お金の話が出てきたら周囲への相談を促すほか、広報や報道を通じて「手口を知ってほしい」とする。 4月末時点での認知件数は30件、被害総額は約2億4700万円に上る。前年同時期比で、件数は20件増、額も2億2千万円以上増えている。 交流サイト(SNS)を通じて投資を持ちかける「SNS型投資詐欺」が12件あった。他にもオレオレ詐欺や、恋愛感情を抱かせる「SNS型ロマンス詐欺」なども確認されている。 急増の一因について同署生活安全課は、アクセスのしやすさを挙げる。宇治市内は複数の鉄道が走り、久御山町も含めて路線バスの運行本数が多い。京都市や大阪からも近い。 「(現金などを受け取るために)被害者の元に行きやすく、逃げやすい」(中島雅仁課長)点が、狙われていると指摘する。 泣き寝入りせずに、被害届を出す人が多いのも一因という。 被害に遭わないために、同課は家族など周囲で「状況を一歩引いて見られる人」への相談を勧める。常に新たな手口が出てきているため、警察の広報や報道をチェックするのも効果的という。 振り込んでしまっても、速やかに口座を凍結して被害金が残っていれば、取り戻せるケースもある。警察への早めの相談を呼びかける。