「神武天皇のY染色体」という言い方が流行っている。元をたどると三笠宮寛仁親王殿下が昔、週刊誌で語られた内容らしいが、「男系」という「概念」と「Y染色体」という概念は別であることを強く述べたい。男系とは「遺伝子」という概念ではなく「文化継承」という概念であることを今日は説明したい。
Y染色体とは、父から息子に伝わり、「交差」といってほかの部分と一切交わらないまま遺伝子配列の独自性を保つ。
そして、ごくたまに「変異」して、それが「ハプログループ」と呼ばれる「種類」にわかれている。
実は、このY染色体の「移動経路」と「語族」の経路がほぼ一致していることが近年発見された。
オランダ人学者のジョージ・ヴァン・ドリーム博士らの研究で明らかにされたのじゃが、
Y染色体ハプログループと、人の「言葉」というものは、原則セットで移動しており、
「Y染色体と無関係の言葉」というのは、
パキスタン北部のパルティ語とハンガリー語の僅か二例だった(これは母親の言葉を継承していた)
つまり、人類は歴史的に、「父親から言葉を学習する」ということを繰り返していることが示唆されている。
父親の話す言葉を子供が話す、ということがずっと繰り替えされていたならば、
言葉は「文化・宗教・歴史」そのものだよな。
これらは言語と切り話されせることなく必ず言語によって伝わっている。
つまり、「男系」という概念は「Y染色体を継承しているから」ということではなく、「文化を継承してているから」という、より高次元の概念であることがわかる。
言い換えれば、男系が外国由来であると、言語・宗教・文化慣習、あらゆるものが「外国由来」となるわけだ。
ここに「天皇の男系男子」という意味がある。
そう、天皇とは日本人の歴史文化を未来につなぐ「大いなる容器」なのだ。
これは別に日本に限った話ではない。
例えば、イギリスの王位は議会によって決定されているが、その議会を構成した「貴族」たちは、男系男子で爵位を相続している。今もな。
イラングランド貴族なんか、1295年設立のヘイスティング男爵、1299年設立のド・クリフォード男爵など、
王家よりもはるかに古い家柄揃いで、「男系男子」の継承で現在も「貴族」となっている。(アイルランド貴族の一部には女系相続というルールの貴族もある)
それどころかイギリス政府の官職も「男系男子」で継承している。ノーフォーク公爵の「軍務伯」とかな。
つまり、「男系」とは、言語であり、貴族の社会慣習といった「地位・価値観」そのものの継承を保証する概念だと言える。
そういえば、ワシが嫁いだ時な、夫と、義兄・義弟・義父らと食事したとき、たまたま同じ店に同級生がいて、声かけられて、ワシはふと椅子から立ち上がってしまったんじゃ。
そしたら、夫・義兄・義弟・義父、全員が0.1秒で立ち上がったわけ。
「えっ」と思ったが、ああ、ゲストの女性が立ち上がったら、こちらも立ち上がることが「礼節」なんだ、安易に立ち上がってはマズイ・・とワシは学んだ。
こうした「細部の生活慣習」も「慣習」であるため「男系」という概念に内包されるわけじゃな。
そう、Y染色体というのは、広範囲な「男系」という概念の一部に科学的事実として確かに存続するが、「男系」そのものを意味しない。
つまり、天皇が天皇の地位にある限り、それは万世一系の証明となるわけだ。文化と歴史と慣習を男系継承したからこそ天皇なんだからな。
ここで、ワシら戦後日本人が「王」というものについて、甚だしい勘違いしていることを指摘したい。
欧州の「王」というものはリヒテンシュタインを除き、「議会」によって、その「王」としての地位を与えられている。
なんでかっていうと、欧州の王は「貴族の中から選ばれたリーダー」であるから、貴族とか司祭の支援で「王」になっているわけ。王だけでは王になれないの。
だから、王の在り方である継承法も、議会が決めるわけ。
何なら結婚さえも議会が決めるわけ。
オランダ憲法は、「王・女王の結婚は議会の決議を経た者に限る」と書いてある。
誰と結婚するか国会議員がきめるわけよ。現代でも。
これは「弱い王権」だからなんだな。
ジョン・ロックの統治二論にはこんなくだりがある。
「各人が自然状態を離れ、一つの共同体を形成することに同意したとき、その共同体は一つの政治団体となる」
つまり、「王様」と「人民による政治団体」ならば、どちらが歴史的に先なのかという議論で、
ロックは「政治団体が先にあり、その政治団体の決定によって国王という地位が出来たのだから、政治団体が上位」と考え、これが日本にも輸入されたわけだ。
でもな、そんな「政治団体」ってさ、まあ原始時代に無かったとはいえないけど、めちゃくちゃ弱くて王様なんかとても生み出せなかったと思うぞ?
例えば日本には、1918年に武者小路実篤がつくった「新しい村」という共同体がある。みんなが協力して生活する、まさにロックの言う「人の団体=政治団体」だな。
でも設立から100年経って、また現存するが、組織員は数名なんだよな。
反対に、同時期イギリスで1919年に設立されたビーティー伯爵家とか、アイヴァー伯爵家など「連合王国貴族」は、
現在も当主がいて、バリバリに発展し、成立当初より親族の数は多い。
つまり、「人民が集まった団体」は、明らかに勢力が弱く、
一方で、「父親が貴族となり妻を迎えて子孫をつくる」という「人類の在り方」では、明らかに後者が強いと思うぞ。
ここで、ロバート・フィルマーの「パトリアーカ」がでてくる。
「国王は人民の団体がつくりだした? とんでもない。父親が最初の国王であり、子孫代々の相続を繰り返して王権となったんだ。王権は相続財産だ」と説明する。
ジョン・ロックの「契約によって王は成立した」と、ロバートフィルマーの「相続によって王は成立した」という二つの考え方がある中、
日本の天皇はどちらかの?
天皇が天皇の地位を築くにあたり、なんか、欧州みたいにほかの貴族とか司祭の協力を得たか?
議会で天皇の地位が作られたか?
全く逆だよな。
貴族の地位を授けたのも天皇、なんなら幕府の正統性を与えたのも天皇(征夷大将軍への任官)、司祭(神主)の地位も天皇の認証、
っていうが議会自体が天皇の創作物じゃ(国会開設の詔)。
そう。欧州と日本の天皇は「カスリもしない」わけじゃ。
あらゆる法源が天皇といっても差し支えない。
憲法に効力をもたせたのが天皇なんだから。憲法をさ、天皇がつくった議会で改正決議して、天皇が公布して日本国憲法が「憲法としての効力」をもったわけだ。
さて今日、皇室典範改正案が「立法府の総意」としてまとまった。もちろん言いたいことは沢山ある。
ただ、「女性皇族と旧皇族の結婚」という目的を果たすには、最短距離なのではないかと思っている。
30年後に見直しも規定された。果たして男系男子は増えているのか。
これが正しいのか、そうでなかったのか、吟味をするためには、ワシら国民が「天皇とは何か」を正しく理解していないと、吟味すらできないからな。
欧州王室(議会で王権を創造)と、日本皇室(天皇が議会を創造)は全く違う。
このあたりを錯誤することなく正しい知識と慣習で、皇室を守っていきたい!
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