【大恐竜展】頭突き恐竜のルーツ初公開 新種「ザヴァケファレ」化石

2026/06/30 11:45

発掘時のザヴァケファレの化石(提供:モンゴル科学アカデミー古生物学研究所、岡山理科大、県立博物館)

 県立博物館(会津若松市)で7月11日から始まる企画展「大恐竜展 新発見の堅頭竜類ザヴァケファレ」では、同館の吉田純輝学芸員らが発見した新種の恐竜など世界最新の恐竜研究のほか、県内の恐竜研究について学ぶことができる。吉田学芸員の寄稿で、5回にわたり同展の魅力に迫る。

 県立博物館・吉田純輝学芸員寄稿

 皆さんは「頭突き恐竜」を知っていますか? 図鑑や映画などで、丸く膨らんだ頭をぶつけ合う恐竜を見たことがある人もいるでしょう。この仲間は「堅頭竜類(けんとうりゅうるい)」と呼ばれます。しかし実は、千種以上が見つかっている恐竜の中でも、堅頭竜類は20種にも満たないほどしか知られていない、とても珍しい恐竜グループです。

 そんな謎だらけの頭突き恐竜の歴史を大きく解明した発見が、2025年に発表されました。それが、私たち国際チームが発見した、新種の恐竜「ザヴァケファレ・リンポチェ」です。

 19年のモンゴルで、私の大学院時代の先輩であった現地研究者チンゾリグ博士と行ったゴビ砂漠調査の初日で、博士は崖から飛び出していた大きな丸いものに気が付きました。それは、堅頭竜類の大きく膨らんだ頭の化石でした。私たちは発見した当初から大発見であると確信しました。なぜならこの化石はこれまで発見された堅頭竜類の中で最も古く、約1億1000万年前のモンゴルに生息していたからです。発掘後、私たち研究者チームは、この恐竜化石が新種であり、頭突き恐竜の祖先に近い姿を残している貴重な化石と考えて、「ドーム頭の起源かつ尊いもの」という意味を込め「ザヴァケファレ・リンポチェ」と名付けました。

 これまで、頭突き恐竜の丸いドーム頭は白亜紀の後半になって進化したと考えられていました。しかし白亜紀前期から発見されたザヴァケファレには、すでに立派なドーム頭があり、この特徴がこれまでの記録よりも1400万年以上も早く誕生していたことが分かったのです。

 さらに面白いのは、その成長の仕方でした。ザヴァケファレは、堅頭竜類ではとても珍しく、ほぼ全身の骨が化石として残っており、年齢をより正確に推定できました。私たちは脚の骨の断面を顕微鏡で調べ、木の年輪のような「成長線」を数えました。その結果、ザヴァケファレはまだ子どもで、少なくとも2歳ほどだったことが分かりました。そして、その若い個体にはすでに立派なドーム頭ができていたのです。これまで堅頭竜類では、大人になるとドーム頭ができ、異性を巡るアピールに使われていたと考えられてきました。ところが、ザヴァケファレは子どもの頃からドームが発達しています。では、このドーム頭、何に使っていたのでしょうか? 私たちが現在取り組んでいる最新のザヴァケファレ研究については大恐竜展に行けば分かるかもしれません。

 この夏、県立博物館で開催される「大恐竜展」では、このザヴァケファレの化石が世界で初めて公開されます。約1億年前に生きていた”頭突き恐竜のルーツ”が、はるばるモンゴルから日本へやって来て、本物の化石ならではの迫力や感動を味わえる貴重な機会です。この夏はぜひ大恐竜展へ足を運び、世界最古の頭突き恐竜が教えてくれる「進化の秘密」をのぞいてみてください。

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よしだ・じゅんき 東京都出身。北海道大理学部地球惑星科学科卒、同大大学院で博士号取得。ピナコサウルスののどの骨の化石、新種の頭突き恐竜ザヴァケファレ・リンポチェの化石など世界初の発見を相次いで発表。34歳。

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 「大恐竜展」 県政150周年・県立博物館開館40周年記念特別展。前売り券は公式オンラインチケット、ローソンチケット、チケットぴあ、JRE MALLチケットなどで販売。県立博物館では取り扱っていない。

 料金は平日が一般・大学生1500円、高校生800円、小中学生400円、土、日曜日、祝日、指定日が一般・大学生1700円、高校生1000円、小中学生500円。9月23日まで。展覧会ウェブサイトに講演会情報など掲載中。

 福島民友新聞社、県立博物館、福島中央テレビでつくる実行委員会の主催、JA共済連福島、東北電力福島支店、ふくしま未来研究会、エフコム、グリーセス、第一印刷の協賛。問い合わせは福島民友新聞社事業部(電話024・523・1334、平日午前10時~午後4時)へ。

詳しくはこちら→ 大恐竜展

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