2.回転伝達装置
速度計元軸の回転運動は、ふつうクランクピンまたは従輪軸等からその運動を取るのであって、第292図はこのギア装置を示すものである。
図において返りクランク(6)の回転運動は(5)の回転腕を介し、第1歯車箱の小形歯車を回転せしめ、大形傘歯車により回転数を落とし、自在接手(9)を介し、再び第2歯車箱により回転数を落とし、回転棒(3)に、回転棒は元軸に回転運動を伝えるのであって、機関車の車輪直径に応じた歯車比の傘歯車を組合わせる構造となっている。
指針は元軸毎分1回転に付き毎時1キロの速度を示す構造となっている。故に毎分1回転して1時間に1キロ走行する動輪直径(換言すると60回転して1キロ走行する動輪直径)ならば、傘歯車で回転数を落とす必要は全然ないわけである。
ところが実際においては動輪直径がそれよりも小さく、1キロ走行するに60回転よりも多く回転するために、傘歯車で回転数をとして元軸の回転に合わせる必要が起こるのである。
仮に1回転5メートルの動輪直径があったとすれば、1キロ走行するに要する回転数は、1000メートル÷5=200回転であるから、これを60回転に合わせるためには 200÷60=3.33 すなわち 3.33分の1 に回転を落とす必要があり、これを2組の傘歯車で落とすのであるから、傘歯車1組における歯車比は
歯車比 x分の1 とすれば
すなわち 1.82分の1 とすれば良い。しかしながら時としては同一歯車比のもの2組を用いず、異なったものを組合わせて使用する事もある。
しかして動輪直径は漸次摩耗するものであるから、その摩耗に応じて歯車比の異なったものを変えるべきであるが、それは繁雑であり、速度計自体も実用的には左程の精密さを必要としないから、動輪直径が40~70ミリ位摩耗(タイヤ厚さとしては20~35ミリ摩耗)せる場合に、正確なる速度を指示するよう歯車比が決められている。
故に正確なる速度計と言えども、タイヤの厚薄によりある程度の誤差は免れ難いもので、この誤差は直径の小なるものほど大きいわけである。
従来はもっぱら動輪から回転を取っていたが、空転などの際、速度計に悪影響を及ぼすので、最近の新製機関車はいずれも従輪から回転を取っている。従輪は動輪に比し直径が小さいから、タイヤの厚薄による誤差が多くなる欠点は免れない。
従輪より回転を取るものは、回転伝達装置として軸端に1本のノックをクランクのごとく突出せしめ、これによってウォーム・ギアを回転するもので、ウォームは二重ネジになっており、13枚のウォーム歯車に噛み合って速度計の元軸を回転する装置になっている。
現在使用されている車輪直径、歯車比および誤差等は前表のごとくであり、なおこの歯車比から逆算して、正しい速度を示す場合の動輪直径を算出し、同表に示し参考とした。
(計算例)
動輪直径1750ミリの場合の歯車比は 1:3.114、毎時1キロの速度を指示させるためには、元軸を毎分1回転の速さで回す必要がある。すなわち速度を毎分に直すと
1000メートル÷60=16.667メートルとなり
Dπ×3.114=16.667 の式が成り立つので、
この式から動輪直径 Dを求めれば良い。
すなわちこの歯車比に相応する動輪直径は1703ミリで、この場合に正しい速度を指示することがわかる。
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