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2020年9月の記事

2020年9月30日 (水)

機関車の構造及理論:中巻(その134)タイヤ(3)

(2)タイヤ焼き嵌(やきば)め法

 タイヤを輪心に嵌入(かんにゅう:はめ込む)するには、タイヤの内径を輪心の外径の1000分の1だけ小さくし、タイヤを炉で300度くらいに過熱して膨張せしめ輪心に嵌入し、その冷却による収縮力によって輪心に圧着せしめるものである。

 この場合、輪心の外径とタイヤの内径との差をシュリンケージ(shrinkage:焼き嵌め代)と称し、鉄道省では車輪直径の大小を問わず直径の1000分の1と定められているが、直径の大きな輪心は割合に弱いから、焼き嵌めの際縮みやすいのも一因となり、タイヤ弛緩の多いのは直径の大きなものに多いという実績になって表れている。

 米国式の様に車輪の直径によって焼き嵌め代を変えたのが良いとも言われた時代もあったが、最近では輪心も余程丈夫なものとなったから、上記の傾向は少なくなった様である。従って焼き嵌め代は現在もなお在来の通りである。

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 参考のために、各権威者の提唱する輪心の直径と焼き嵌め代との関係を図示すると次の通りであって、鉄道省ではドイツ国有鉄道と同じ方法を採っているが、米国鉄道協会および英国Moore氏の提唱する方式は、輪心の直径が大きくなるに従って焼き嵌め代を増大することが図から窺われるのである。

 タイヤを過熱する炉には木炭、重油および電気炉等の種類があるが、平等に赤熱(せきねつ)する点では電気炉が優れており、多数焼き嵌めするところでは経済上の点で重油炉が一等である。焼き嵌めの過熱温度は鋼の性質上伸びの最も多い温度で、しかも止輪槌打ち作業に対し伸びが少ない温度、すなわち300度以下で焼き嵌め得る程度の温度が最も好ましい。ふつう焼き嵌め代1000分の1位では150度内外で焼き嵌める事ができる。

 現行の焼き嵌め代1000分の1ではタイヤの緊締力は約2.2トン/平方センチメートル位のものである。またタイヤ弛緩のため焼き嵌め直しするとか、他の機関車から取り外したタイヤを流用する場合等焼き嵌め代の足りない時は、輪心とタイヤとの間に厚さ1~3ミリの薄い鉄板を挿入してタイヤの緊張力を増加する方法が採られている。

 このライナーの使用は運転上からは好ましくないが、経済を主眼とする修繕上やむを得ず実施されているが、締め直しタイヤは弛緩し易いのみでなく裂損も多いので、全厚さを2ミリ以下として全周にわたって挿入し、2枚重ねてライナーを使用する締め直し修繕は禁止されている。

 

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2020年9月29日 (火)

機関車の構造及理論:中巻(その133)タイヤ(2)

(1)タイヤ踏面に勾配を付ける理由

 機関車が曲線路を進行する時は、遠心力の作用で車輪は外側レールの方に偏寄し、その中心位置を軌間の中心より外方に移すのである。曲線における外側レールは内側レールよりも半径が大きいから、その周囲も従って長い。故に同じ直径の車輪が通過するとすれば、その内側車輪は後方に、外側車輪は前方に滑走しなければならぬ。

 しかし踏面にはその幅の外側の径を小さく内側の径を少し大きくする様に、勾配(フランジ寄りを100分の5の勾配とし、外側寄りの一部を100分の10の勾配にしてある)が付けてあるから、曲線の外側レールに対するタイヤは、直径の大きな踏面で回転し、内側レールに対しては直径の小さな踏面で回転するから、車輪は円滑に曲線を通過することができるのである。

 また線路の直線部分においては、両側の車輪はタイヤ踏面の勾配によって、互いに線路中心に向かってすべり込もうとするから、車輪は常に軌道上の正位を保ち、機関車の左右動を軽減し、フランジとレールとの摩擦を避けて車輪の走りを軽快ならしめ、且つフランジの摩耗を軽減する事ができる。

 またタイヤ踏面の摩耗はフランジに接した付近に多いものであるが、踏面に勾配があれば同一摩耗量に対し段付きの程度が軽減され、削正を要する寿命が延びる。現在踏面の摩耗凹み量は3ミリ位を限度としている。

 

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2020年9月28日 (月)

機関車の構造及理論:中巻(その132)タイヤ(1)

5.タイヤ

 タイヤは抗張力75キロ/平方ミリ以上の炭素鋼(STY80)で作られ、輪心に取り付けられた時の断面は第115図の様な形状であって、内側に車輪を誘導するフランジを有し、直線路運転には軌道の正位に車輪を置くため、また曲線路運転にはその通過を円滑ならしめるため、タイヤ踏面には勾配を付し、従ってタイヤの径を内外違えている。

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 また、踏面とフランジとの付根は円滑な曲線状を成している。タイヤの幅は曲線通過の場合、片側のタイヤ・フランジがレールと接着しても他側の踏面がなおレールの上に十分乗っているだけの大きさに作られ、またその厚さは摩耗その他による数回の削正に耐える程度である。

P155

 6輪以上の車輪を連結する場合、その中間の車輪の横動を容易ならしめるため、特にフランジを無くしてその幅を大きくしたもの(フランジ・レス・・・符号Tp)も例外としてあるが、現在ではほとんど用いられない。すなわち、かかる必要のある車輪に対しては特にフランジの厚さを薄くするようにしている。現在使用されている基本タイヤを、一覧表にすると前表の通りである。

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 なお、鉄道省におけるタイヤ形状の基本図は第117図のごとくである。

 

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2020年9月27日 (日)

機関車の構造及理論:中巻(その131)輪 心(2)

 輪心は一見頑丈そのものの様であるが、使用しているとだんだん楕円化して来ることがある。

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 第112図は仙鉄工作部において、2120形式機関車の第一動輪につき調査した実状を図表に現したものであって、クランクピンおよび釣合錘を含む直径方向に長軸楕円化している。ことに輪心の変形はタイヤの弛緩破損の主因となるので、最近新製されたC57,C58,D51形式は箱形輪心と称する強度の大なるものを使用している。これらの使用成績は日浅くして判然としないが、現在のところ良好と認められ今後も一般新製車に採用される模様である。

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 軸箱受金に接するボスの内面には10数本の止ネジで厚さ5ないし10ミリ位の圧延鋼板(SS41)、または砲金板の当金をボスに取り付けられたものがある。これをボス当金(ハブライナー)と称し、最近では動輪はもちろん、台車車輪にも取り付けられている。これは摺動摩擦に対する条件を良好にするのと、ボス面摩擦の際取替えに備えたものである。

 

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2020年9月26日 (土)

機関車の構造及理論:中巻(その130)輪 心(1)

4.輪 心

 錬鉄や鋳鉄で作られた輪心はほとんど跡を絶ち、今日ではもっぱら鋳鋼製が使用されている。輪心はボス、スポーク、リムおよび釣合錘等それぞれその厚さの違った各部から成立しているから、鋳造の際局部的に冷却の遅速を生じ収縮もまた不平均となる。

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 スポークとリムとの付根、特に釣合錘の箇所のリムに亀裂を生ずることがあるのはこれがためで、たとえ鋳造の際に亀裂の発生はないにしても、運転中しばしば起こる事例は遠くその源を鋳造に発しているとみなしても良い。故に輪心の鋳造は急冷を避け、極めて徐々に冷却せしめて不等の収縮をなるべく少なくするよう一般に留意されている。

 釣合錘の内部に鉛を填充した中空の釣合錘があるが、これは輪心各部の厚さを平均して急冷による収縮差を除かんとするものである。また、リムを一部切断して鋳造の際の収縮を自由にしてその亀裂を防ぐこともある。

 

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2020年9月25日 (金)

機関車の構造及理論:中巻(その129)車 輪

3.車 輪

 機関車の車輪は動輪、先輪、従輪および炭水車車輪の4つに分けられるが、動輪は他の三者といく分構造を異にしている。

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 動輪を構成するものは車軸、輪心、タイヤ、釣合錘(つりあいおもり:カウンターウェイト)およびクランクピンの5部分で、輪心は通常鋳鋼(SC41)で作られ、ボス、スポークおよびリムの3部より成り、往復および回転部分の重量をバランスする釣合錘は、スポークの一部と同一体になっているが、輪心と同一鋳物の場合と、その外形の一部をスポークと同一体とし内部を中空としてこれに鉛を填充し、被(おおい)を鋲打ちするものとある。タイヤは炭素鋼(STY80)で輪心のリムに焼き嵌(ば)めされ、且つ止めネジ等で取り付けられていることもある。車軸およびクランクピンは共に良質の鍛鋼(SF54)で作られており、いずれも輪心に水圧機械をもって圧入されている。

 台車および炭水車車輪はその直径はずっと小さいが、前述の動輪からクランクピンと釣合錘とを取り除いたものと思えばよい。ただ動輪と異なっているのは車軸のジャーナル部分(軸頚:じくけい)が、車輪の外側に在る点である。

 

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2020年9月24日 (木)

機関車の構造及理論:中巻(その128)動輪の回転する理由

2.動輪の回転する理由

 シリンダーに蒸気が入ってピストンを押せば車輪は回転するのであるが、この回転運動を生じ、機関車の進行を起こす力の関係に付き述べてみよう。

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 最もわかりやすくするためにクランクピンが車軸の真上にある場合を考えるに、第109図のごとくシリンダーに入った蒸気圧力はピストンをPなる力で前方へ押すと同時に、同一の力でシリンダー後蓋をも圧する。故にこれらの力は、片側はピストン、主連棒、クランクピンに伝わり、他の一方は台枠を介して車軸に伝わり、車輪はテコの理によって、レールとタイヤとの接点を瞬間的回転の中心とし次の力で回転することになる。

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 P =ピストンならびにシリンダー後蓋に作用する蒸気総圧力。ただし、主連棒等の傾斜およびその他により損失は無いものと考える
 R =車輪の半径
 r =クランク半径

 次にクランクピンが車軸の直下にある場合を考えるに、前述と同じ理によってピストンはクランクピンを押し、シリンダーは台枠を経て軸箱を引くから車輪はレールとの接点を瞬間的回転の中心として、次の力で回転する。

P151

 これらの関係を換言すると、クランクピンが車軸の水平中心線より高い場合はクランクピンの力で動輪が回転し、またクランクピンが下半部にある場合は、台枠より伝って来て車軸に発生した力で回転を成すことになる。

 

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2020年9月23日 (水)

機関車の構造及理論:中巻(その127)車輪を用いる理由

第10章 車輪および車軸

1.車輪を用いる理由

 ひとり機関車のみならず車両と名の付くものは全て車輪および車軸を用いている。なぜ車輪が使用されるのか、換言すれば車輪を用いる効果はどういうものであるかを簡単に説明しよう。

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 今、第108図の様にある重量(W)の物体をある距離(ℓ)だけ運ぶのに、車輪を用いない場合と用いた場合とについて、その要する仕事量を比較してみると次の通りである。

 車輪を用いない場合の仕事量は、物体の重量に床面の摩擦係数を乗じたるものと、運ぶ距離との積である。

 E =μWℓ
 E =車輪を用いない場合の水平に動かす仕事量
 W =物体の重量
   μ=物体と床面との間の摩擦係数
 ℓ =距離

 この場合の仕事の大きさは床面の状態によって非常に相違し、床に鉄板を敷き油でも塗ると両者の摩擦係数は著しく減じ、従ってその仕事量も軽減する。

 しかるに車輪を用いた場合は車輪が床面上にて回転し滑らないから、車軸と受金との間の摩擦のみが車両を動かす抵抗となる。摩擦はその重量に車軸と受金間の摩擦係数を乗じたものとなり仕事量は次の通りとなる。

 E' =車輪を用いた場合の水平に動かす仕事量
 μ' =車軸と受金との間の摩擦係数
 d  =車軸径
 D  =車輪径
 ℓ =距離

P149

 両者の仕事量を比較すると次の通りである。

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 機関車ではDとdの比は6~9位であって、客貨車ではこの割合は10位になっている。また物体と床面との摩擦係数(μ)は、床を鉄板とし物体の下面を鉄張りとして、なおかつ0.15以下にはならないが、車軸と受金の間の摩擦係数(μ')は、給油を良好にすれば0.015位にする事は容易である。故に

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位であって、車輪を用いた場合は用いない場合よりも、はるかに小さい仕事で済むことがわかる。

 

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2020年9月22日 (火)

機関車の構造及理論:中巻(その126)連結棒肘接手の効用

10.連結棒肘(ナックル)接手の効用

 いま仮に6輪連結以上の機関車の片側の連結棒を1本のものにしたとするならば、線路の凹凸、レールの継目または勾配の変化箇所等では動輪踏面が水平線上にないから、連結棒は大きな屈曲作用を受ける事になる。また、タイヤの摩耗が不同でその直径に差を生じた場合、あるいはまた線路上の障害物その他のため1つの動輪が跳ね上がる場合にも、共に連結棒クランクピンにより上下の方向に曲げ作用を受ける事となる。

 これらの結果は言うまでもなく連結棒およびクランクピンの屈曲損傷を招来するものとみてよい。故にこれが未然の防止装置として、6輪連結以上の場合には2本以上の連結棒を用い、棒の接手は必ず肘ピンで継ぎ、各棒の上下方向における曲がりを許容するのである。

 しかしてこの肘接手にも特に二又部を長く伸ばし(長肘接手)2本の肘ピンを用いたものと、二又部が短く1本の肘ピンによるものとあるが、前者は動輪軸に横動遊間を設けたものに用いるもので、二又部分が肘ピンを中心としてテコの作用をして連結棒の横振れを矯正し、後者は特に横動遊間の設けがない動輪に使用されている。しかしもっぱら長肘接手は肘部に疵を生じ易いので現在ではほとんど普通の接手に改造された。

 

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2020年9月21日 (月)

機関車の構造及理論:中巻(その125)連結棒ブッシュの止装置

9.連結棒ブッシュの止装置

 ブッシュは普通その外径を枠の内径より1000分の1内外大きく作り、その直径10ミリにつき0.8ないし1トンの圧力をもって圧入されているのであるから、枠とブッシュとはかなり頑丈に接着しているわけであるが、使用するに従って弛緩を来たす事がある。

 連結棒ブッシュ弛緩の原因は、動輪の左右動のためブッシュ横面を打つこと、クランクピンの偏耗によりブッシュ内径が楕円化され衝撃を受けること、枠およびブッシュの肉が薄過ぎること、ブッシュにツバが無いこと等が挙げられている。すなわち連結棒ブッシュは、主連棒受金の様に簡単には取り扱われないのであるから、その弛緩防止には特に注意する必要がある。

 ブッシュが弛緩しても回転または脱出しないための止装置としては、サイホン管、押ボルト、キーおよびテーパーピンの種類があって、これらの1種または2種を同時に使用するもので、その大体を図示すると第107図の通りである。しかしていずれの止装置も相当効果はあるが、サイホン管を利用するものは工作上簡単であるから、これとキーを併用するものが現在最も多く採用されているのである。

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 連結棒ブッシュの発熱を防止し、且つその摩耗をも減少せしむる目的で浮ブッシュ(フローティング・ブッシュ)が車両研究会で研究された。これは普通のブッシュ(固定ブッシュ)とクランクピンとの間に、厚さ10ミリ程度の緩い遊びのあるブッシュを入れたもので、そのブッシュは油回りを良くするため、周囲にたくさんの穴が開けてある。

 従来のものではブッシュとピンとの間のみで摩擦を生ずるのであるが、浮ブッシュにおいてはピンと浮ブッシュおよび浮ブッシュと固定ブッシュとの間において摩擦を生ずるので、発熱ならびに摩耗防止に有効なものである。しかし実際に使用された結果は遊間が多くなりやすく、また加工が精密にいかないと具合が良くない。すなわちクランクピンや固定ブッシュに歪みがあると、せっかくの浮ブッシュが両者間にあって円滑なる働きをしない事になる。

 なお、車両研究会では主連棒受金および連結棒ブッシュの代わりに、ローラーベアリングを使用する案もあるが、まだ試験するに至っていない。しかし満鉄等においては浮ブッシュおよびローラーベアリング共すでに高速機関車の一部に実用されている。

 

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2020年9月20日 (日)

機関車の構造及理論:中巻(その124)連結棒端部の強さと受金の大きさ

8.連結棒端部の強さと受金の大きさ

 連結棒端部は第107図の様に単体ストラップ形をしているのが通例であって、その上下および水平方向に受ける力の作用は、主連棒の場合と全く同様であるから再びここに説明する煩を避けるが、この場合にはピストン上に作用する蒸気総圧力(P)に代わるに、棒に関連する連結動輪を滑らす力(P₀)を用いれば良いわけである。

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 受金の強さも主連棒について述べたと同様に計算されるが、ただ異なっているのはベアリングの許し圧力を主連棒太端のそれよりも小さく採ることで、これは連結棒のブッシュは全て圧入し、サイホン管およびキー等でこれをストラップに固定してあり、ブッシュの調整できざるため自然クランクピンとの隙間も増大するまで使用され、且つ発熱した場合の修理も困難であるからその受圧面積を許す限り大きくして単位面積上に受ける圧力を少なくし、もって日常保守の便宜を期するのが主なる理由である。同じクランクピン上にあって、主連棒太端が連結棒受金よりも多く帯熱する一つの原因はここにもある。

 なお、特に横動遊間を持たせた車輪に対する連結棒ブッシュには、必ずこれに等しいかあるいはそれ以上のクランクピンに対し横動遊間を付けなければならぬ。

 

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2020年9月19日 (土)

機関車の構造及理論:中巻(その123)連結棒の大きさと受ける力

7.連結棒の大きさと受ける力

(1)引張および圧縮に対する強さ

 連結棒の断面の大きさは、その受ける力の種類と大きさにより定めることは主連棒の場合と同様であるが、ピストン面に働く圧力による引張および圧縮の交互の2力は、主連棒の場合よりはるかに小さいのである。例えば4輪連結ならば約2分の1、6輪連結ならば3分の1位の見当であるが、もし主動輪が滑走せんとする時は、間髪を入れないで連結動輪をも滑走するもので、滑走すればそれ以上の力は作用しないのであるから、この場合連結棒の受ける力はピストン面に働く力の何分の一というのではなく、その連結棒の受持ちの動輪を滑走せしむる力(すなわち連結棒に掛かる力)を採ればよいわけである。

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 動輪を滑走せしむる力P₀は第106図において見る様に次の式で表わされる。

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 P₀=動輪を滑走せしむる力、すなわち連結棒に作用する最大圧力(キロ)
 μ =粘着係数
 W =動輪の重量(キロ)
   S =ピストン行程(センチメートル)
 D =動輪の直径(センチメートル)

 摩擦係数μは大きく採るのが安全であるから、

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とすれば、

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となる。

 しかして連結棒の強さの公式は主連棒の強さの項に述べたもののうち、Pに代わるにP₀をもってするほかは全く同様である。

(2)遠心力に対する強さ

 次に遠心力に対する強さについて考えると、連結棒は両端とも確実に回転するから、その遠心力による曲げ作用は主連棒の場合よりも大きく、主連棒の場合の2倍となり中央部分において最大となるのである。この遠心力に対する強さも主連棒の部で述べたところを参照せられたい。

(3)支柱としての強さ

 連結棒はまた主連棒と同様、支柱としての強さを要するのであるが、実際力の作用を受ける状態は主連棒の場合と同じであって、求める式(ゴールドン・ランキン氏の式)にも変わりはないが、連結棒は前述の通りピストン圧力を受けないから、これに代わるに動輪を滑走せしめる力をもってすることが相違している主点である。故に主連棒の部に述べたところを参照されたい。

 

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2020年9月18日 (金)

機関車の構造及理論:中巻(その122)連結棒

6.連結棒

 連結棒は主動輪のクランクピンと、他の動輪のクランクピンとを連結する棒であって、その材質は普通鍛鋼(SF54)を用い、重量軽減のため断面I形にしたものも多いが、古い小形の機関車では矩形(長方形)断面のものもある。棒の断面はその受ける力の関係上、主連棒と同様に中央を両端部分よりいく分大きくしたものもあるが、工作に相当手数を要するため全長を通じて同一断面としたものが多い。

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 棒の両端は円形単体に作られ、砲金(または鋳鉄)のブッシュを水圧あるいは油圧のブッシング・プレスで圧入し、サイホン管、押しボルトまたはキー等をもってその弛緩脱出を防いでいる。また6輪連結以上の機関車では、片側に2個以上の連結棒を要するから、その接手を第105図の様に一端を二又(フォークエンド)とし、他の連結棒の一端のアイエンド(延長部)をその間に挿入して肘(ナックル)ピンをもって連結している。

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 ブッシュの摺動面に給油するためには、ストラップに作り出しの油壷があるが、肘ピンの部分はさほど大きな回転力が作用するわけでもないから、単に棒に油穴を設けてあるものもあるが、最近作られる機関車には第105図の様に特にこの部分にも作り出しの油壷を設けて給油方法を講じている。

 

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2020年9月17日 (木)

機関車の構造及理論:中巻(その121)主連棒受金の調整

5.主連棒受金の調整

 主動輪のクランクピンが完全な円筒形である場合、すなわち新製または削正したときは、ピストン・クリアランスを見るのに都合のよい死点を選んで先に太端(ビッグエンド)を、次に細端(スモールエンド)の受金を調整すれば良いのであるが、時日が経つに従ってクランクピンは1回転中の受圧力を異にするため、暫時楕円化するから、その調整すべきクランクピンの位置を誤らない様にしなければならぬ。

 蒸気締切は仕業の状態によって一様ではないが、まず30%以内の場合が多いと考えられるをもって、ピストンに作用する蒸気はクランクピンが死点より約4分の1円周の手前で締切られるから、機関車が前進運転する場合、クランクピンおよびクロスヘッドピンの摩耗は、ピストンの前進行程においては後部死点から上方約4分の1円周まで、後進行程においては前部死点から下方約4分の1円周まではその度合い大きく、従って摩耗も大で、のち漸次その度を減少するから摩耗の少ない箇所、すなわち円周の上半では前方45度、下半部では後方45度の付近において調整するのがよい。

 しかして調整の度合いはなかなか難しいのであるが、大体において大形機関車では両手で漸(ようや)く太端を動かし得る程度に、小形機関車は両手で軽く動かし得る程度にするのが良い。

 しかしてこの場合には、概ね主連棒の長さに変化を来たすから、ピストン・クリアランスを調査しなければならない。


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