(3)運転線図の描法(直接図法)
ストラール氏の運転線図の描法は、前述の縮尺関係をもって、ある機関車が客貨車を牽引した場合の加速力線図、および線路縦断面図を、第67図(A)および(B)のごとく描き、次の描法によるものである。
いま列車が甲停車場を出発して乙停車場に停車するものとし、これを説明するに、まず発車より10キロメートル/時に達する間を考えると、この平均速度は5キロメートル/時であるから、(A)図において5キロメートル/時に対する加速力の点 a と、原点 O とを結びつける Oa 線を引き、これと並行に(B)図において速度曲線 OA を引くのである。
次に 0キロメートル/時から20キロメートル/時に達する間の速度曲線を描くには、その平均速度15キロメートル/時を取って Ob 線を引き、これと並行に(B)図において速度曲線 AB を、20キロメートル/時の点まで引くのである。
同様な方法で20キロメートル/時から30キロメートル/時、および30キロメートル/時から40キロメートル/時に達するの間の平均速度は、25キロメートル/時および35キロメートル/時であるから、この速度における加速力の点 c と、O および d と O とを結んだ Oc および Od 線と平行に、(B)図において速度曲線 BC および CD を引き、それぞれ30キロメートル/時および40キロメートル/時の点で止める。
かくして D 点においては、列車が40キロメートル/時の初速度を持って、3パーミルの上り勾配を運転する事となる。3パーミルの上り勾配における均衡速度は、(A)図によって72キロメートル/時なることがわかるから、列車は3パーミルの上り勾配では、なお加速する事ができるはずである。
40キロメートル/時と50キロメートル/時との間の平均速度は、45キロメートル/時であるから、(A)図において 3e 線を引き、これと並行に(B)図に速度曲線 DE 線を引けば、列車は50キロメートル/時の速度に達しないうちに、3パーミルの上り勾配の終端に来る。この場合の速度は48キロメートル/時となる。
次に列車は48キロメートル/時の初速度で、10パーミル上り勾配線を運転する事となる。しかるに10パーミル上り勾配における均衡速度は、(A)図より34キロメートル/時なることが知られるから、その後列車は漸次減速するはずである。
48キロメートル/時から40キロメートル/時まで、減速する場合を考えると、その平均速度は44キロメートル/時であるから、(A)図の 10f 線と平行に(B)図に EF 線を引けば、10パーミル上り勾配線の終端で42キロメートル/時の速度となる。
次に列車は平坦線を42キロメートル/時の初速度で進行するが故に、42キロメートル/時と50キロメートル/時との平均速度は、46キロメートル/時であるから、(A)図の Og 線に並行に(B)図に FG 線を引けば、速度46キロメートル/時に達すると共に、平坦線の終端、すなわち下り4パーミルの勾配の始点に達する事となる。
よって46キロメートル/時と50キロメートル/時の平均速度は、48キロメートル/時であるから、これに対する加速力の点 h と -4とを結んだ、-4h に並行 GH 線を引き、50キロメートル/時の点にて止める。
なお列車は加速するから、50キロメートル/時と60キロメートル/時の平均速度である、55キロメートル/時に対する加速力 i と、-4とを結ぶ -4i に並行に HI 線を描けば、56キロメートル/時にて下り4パーミルの勾配の終端、すなわち8パーミル下り勾配の始点に差し掛かる事となる。
それ故 I 点において加減弁を閉塞すれば、列車はこの8パーミル下り勾配を加速しながら走行する事となる。
下り8パーミル勾配の始点の速度は、56キロメートル/時であるから、これから60キロメートル/時までの間の平均速度は、58キロメートル/時となる故、-8j 線と平行に(B)図に IJ 線を引く
次に60キロメートル/時と70キロメートル/時の平均速度である、65キロメートル/時に相当する -8k 線と平行に(B)図に JK 線を描けば、列車は8パーミル下り勾配線の終端に来て、62キロメートル/時となる。
しかるに列車は平坦線に差し掛かるから、その後は減速する事となる。よって62キロメートル/時と60キロメートル/時の平均速度、61キロメートル/時をもって(A)図の Oℓ に並行に(B)図に KL 線を描く。
次に60キロメートル/時と50キロメートル/時との平均速度、55キロメートル/時をもって Om に並行に(B)図に LM 線を描く。かくして力行および惰行の場合の、速度曲線が得られる事となる。
一方、制動曲線を求めるには、後に述べる様に一定な減速度で制動するものとし、乙停車場 T を原点として描く。これが惰行の速度曲線 M と交わる時の速度、すなわちブレーキ使用当時における速度は54キロメートル/時となる。
以上は速度曲線の描法であるが、この速度曲線に対する運転時分を求めるには、(A)図の原点より下方に採れる P 点を基として、前に描いた速度曲線にある OA,AB,BC・・・・・・JK,KL,LM 線等の各区間における平均速度をもって、これ等に相当する所要時分を求めれば良い事となる。
よって前に求めた発車から10キロメートル/時までの、最初の速度曲線が OA であるから、その平均速度である5キロメートル/時の点 a' と結ぶ、直線 Pa' に並行に OA' 線を引き、A より下せる垂線との交点 A' 点で止めれば、OA' の高さは発車より10キロメートル/時までに、加速せられる間に要する時間で、OA の水平距離は、その間に走行する距離である。
次に速度を10キロメートル/時から20キロメートル/時に達する、速度曲線 AB に対する時間は P と、15キロメートル/時の点 b' とを結ぶ、直線 Pb' に並行に A'B' 線を引き、B より下した垂線との交わる点 B' で止めれば、B’の高さは発車後20キロメートル/時に達する間に要する時間で、B 点の水平距離は、その走行距離となる。
同様な方法で、20キロメートル/時から30キロメートル/時に至る、速度曲線 BC に対する時間曲線を求めるには、P と25キロメートル/時の点 C' とを結ぶ、直線 Pc' に並行に B'C' 線を引き、C から下した垂線との交点 C' で止めれば、C' の高さは発車後30キロメートル/時に達する間に要する時間で、C 点の水平距離はその間に走行せる距離となる。
また30キロメートル/時から40キロメートル/時に至る、速度曲線 CD に対する時間曲線も、前と同様な方法で P と35キロメートル/時の点 d' とを結ぶ、直線 Pd' に並行に C'D' 線を引き、D から下した垂線のとの交点 D' で止めれば、所要の時間を求め得らえるのである。
次に DE なる速度曲線は、40キロメートル/時から48キロメートル/時となっているから、その平均速度である44キロメートル/時の点と、P 点とを結ぶ直線 Pe' と平行に D'E' 線を引き、E から下した垂線との交点 E' で止めれば、E' の高さは発車後48キロメートル/時に達する点に要する時間で、D 点の水平距離はその間に走行せる距離である。
以上のごとく、既に描かれた速度曲線の一定量ずつの変化の軌跡に対し、その平均速度に対する点と P 点とを結び付けて、それらの各速度曲線に対する時間曲線を描けば良いわけで、結局 OA',B',・・・・・・K',L',M' なる時間曲線を得られ、これが速度曲線 OAB・・・・・・KLM に対応するものであって、その水平距離は、すなわち走行距離となるわけである。
以上の方法によって、運転時分を求め得られるわけであるが、この場合に力行運転から惰行運転に移る場所、すなわち絶気地点や制動開始の地点が異なったり、あるいは制動方法が異なったりすると、運転時分が異なってくるし、また発車の際の加速の程度によっても異なってくる。
従ってこれらは列車の種類、線路勾配の程度、停車場の配線状態、地方的天候その他の条件を考慮して、適当に定めなければならないのである。
実際に区間の運転時分を査定する場合には、理論的計算によって求めた時分により試験を行い、実際に適応せる時分を定めるものである。
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