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2022年1月の記事

2022年1月31日 (月)

機関車の構造及理論:下巻(その241)制輪子圧力:制動筒の減圧量から制動筒圧力を求める方法(機関車の場合)

4.制動筒の減圧量から制動筒圧力を求める方法

(1)機関車の場合

 自動制動弁を用いて制動管の減圧を行うと、分配先の釣合ピストンは制動位置を採って、圧力空気室内の空気を作用空気室および作用筒へ送る。

 圧力空気室の容積は、作用室および作用空気筒の容積の2.5倍に設計されてあるから、圧力空気室の減圧量の2.5倍の圧力が、作用空気室および作用筒にできる事になり、これと同圧力の制動筒圧力が、作用ピストンおよび作用弁の作用によって生ずるから、結局、制動管減圧量の2.5倍の制動筒圧力ができる事となる。

 よってこれらの関係は次のごとく表わされる。

P385

  P =制動筒圧力(キログラム/平方センチメートル)ゲージ圧力

  r =制動管減圧量(キログラム/平方センチメートル)

 この式によれば、制動管の減圧量を増加すれば、制動筒圧力はそれに比例して増加する事を示しているが、これは無制限に大きくなるものではなく、その限度は圧力空気室、作用空気室および作用筒の圧力が等しくなった場合であって、今その最大減圧量を ro とすれば

  減圧後の圧力空気室の圧力=制動管所定圧力-ro = 5 - ro

  作用空気室および作用筒内に生じた圧力(すなわち制動筒圧力)= 2.5 ro

 圧力空気室および作用部の圧力が釣合うためには、この両者が相等しいはずであるから

P386

 すなわち約1.4キログラム/平方センチメートルの制動管減圧量が、常用制動の時の最高制動筒圧力となるので、これ以上に減圧を成しても無駄に制動管内の圧力空気を捨てるのみで、制輪子圧力を増すには何らの効果も無いのである。

 非常制動に付いては、圧力空気室の空気は作用空気室へ進入せず、作用筒へのみ膨張するから、その釣合圧力は4.5キログラム/平方センチメートルとなり、これに等しい制動筒圧力ができる事となる。

 

724p385
724p386

 

2022年1月30日 (日)

機関車の構造及理論:下巻(その240)制輪子圧力:空気の圧力及び容積の変化に関する基礎知識(2)

【 例1 】

 補助空気溜内の圧力が、圧力計で5キログラム/平方センチメートルを示したとき、この圧力を大気圧まで膨張せしめれば、その容積はいかほどになるか。

【 解 】

 膨張前の絶対圧力 

   P₁ = 5 +1 = 6 キログラム/平方センチメートル

 膨張前の容積、すなわち補助空気溜容積

   V₁ + 1 (補助空気溜の容積を1とする)

 膨張後の絶対圧力

   P₂ = 1 キログラム/平方センチメートル

 膨張後の容積(求める答え)を V₂ とすれば

   P₁V₁ = P₂V₂

   6 × 1 = 1 × V₂

 故に V₂ = 6 すなわち補助空気溜容積の6倍になる。


【 例2 】

 元空気溜内の圧力を8キログラム/平方センチメートル(ゲージ圧力)に満たすために、必要な大気圧力の空気量を求めよ。

 ただし元空気溜の総容積を0.4立方メートルとする。

【 解 】

 圧縮後の絶対圧力= 8 + 1 = 9 キログラム/平方センチメートル

 圧縮後の容積= 0.4 立法メートル

 圧縮前の絶対圧力= 1 + 0 = 1 キログラム/平方センチメートル

 圧縮前の容積= V₂(求めんとする答え)

   P₁V₁ = P₂V₂

   9 × 0.4 = 1 × V₂

 故に

P384_20220109110301

 すなわち大気中の空気3.6立方メートルを、0.4立方メートルの元空気溜内へ圧縮すれば、その圧力はゲージ圧力で8キログラム/平方センチメートルを示す。


 それ故、前述の圧力と容積との関係より、空気ブレーキにおいては次のごとく言うことができる。

 『ある空気溜内の圧力を、r キログラム/平方センチメートルだけ減圧するために、この空気溜より取り出すべき空気量は、この空気溜の r 倍の容積を満たす大気圧力の容積に等しい。

 また逆にこの空気溜内の圧力を、r キログラム/平方センチメートルだけ高めるために、この空気溜内へ押し込むべき空気量も、同じくこの空気溜の r 倍の容積を充たす大気圧力の空気容積に等しい。

 以上の関係は、空気溜内の圧力の大きさには無関係で、圧力の増減あるいは減少にのみ関係がある。』

 以上の関係を式で示すと

 『ある空気溜の圧力を、r キログラム/平方センチメートル増減するに要する空気容積(大気圧力の空気容積に換算して)= r × 空気溜容積』


【 例1 】

 制動管の所定圧力が5キログラム/平方センチメートルの場合と、これを6キログラム/平方センチメートルに高めた場合とで、1キログラム/平方センチメートル減圧により、補助空気溜から制動筒内へ流れ込む空気量に相違があるか、またその空気量はいかほどか。

【 解 】

 いずれも同様であって、ちょうどこの補助空気溜と同容量を充たす大気圧力の空気量に等しい。従って全制動の場合を除き、制動筒圧力は制動管の所定圧力には無関係である。


【 例2 】

 元空気溜に8キログラム/平方センチメートルの圧力を持った場合は、6.5キログラム/平方センチメートルの圧力の場合に比し、いかほど多くの空気量が入っているか。

【 解 】

 元空気溜の1.5倍( 8-6.5=1.5 )の容積を満たす、大気圧力の空気量に等しいだけ多く持っている。

 

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724p385

2022年1月29日 (土)

機関車の構造及理論:下巻(その239)制輪子圧力:空気の圧力及び容積の変化に関する基礎知識(1)

3.空気の圧力および容積の変化に関する基礎知識

 すでに第2編において気体の膨張および圧縮の特性に付いて述べたが、なお本編においては圧力空気に関係する分を重ねて述べる事としよう。

 一般に空気を圧縮すれば圧力が上昇し、同時にその温度も高くなる。空気圧縮機はこの一例である。

 また反対に空気が膨張すればその圧力は降下し、同時にその温度も低くなる。

 空気ブレーキで列車の制動を行うと、機関車では元空気溜、また客貨車では補助空気溜内の空気が制動筒に進入して膨張するから、以上述べた一般的法則に従い、その圧力は降下し、同時にその温度も低くなるわけであるが、この場合は温度の変化を考えないのが普通であって、その理由は

(1)元空気溜または補助空気溜内に貯えられている空気も、最初空気圧縮機で圧縮された時は、はなはだ高温度であったが、冷却管、元空気溜内にある間に十分その温度は低下して、大気温度とほぼ等しくなっている。

(2)制動手配により元空気溜または補助空気溜から、制動筒に進入した空気は膨張のため、その温度は瞬間的に空気溜内の空気の温度以下、すなわち大気温度以下に低下するはずであるが、制動筒は大気中に晒されているから、間もなく大気温度まで高められる。

 すなわち空気が元空気溜または補助空気溜内にあるときも、また制動筒へ進入した後においても、その温度は大気温度に等しいと考えられるから、結局温度の変化は考慮しなくとも良いのである。

 空気圧縮機のごとく、空気が短時間に高圧に圧縮される場合を除き、空気の圧力はその容積の変化のみによって求めることができる。かくのごとく圧力および容積の変化ある前後で、その温度に相違のない場合は、既に述べたるごとく等温変化と言うのである。

 従って等温変化における空気の圧力と容積との関係は、次のごとく言い得られる。

 『圧縮前の絶対圧力とその容積の相乗積は、圧縮後の絶対圧力とその容積との相乗積に等しい』

 また逆に

 『膨張前の絶対圧力とその容積との相乗積は、膨張後の絶対圧力とその容積との相乗積に等しい』

 今この関係を式で示すと

  P₁V₁ = P₂V₂

   P₁ =圧縮(または膨張)前の絶対圧力

   V₁ =圧縮(または膨張)前の容積

   P₂ =圧縮(または膨張)後の絶対圧力

   V₂ =圧縮(または膨張)後の容積

 この場合 P₁ および P₂ ならびに V₁ および V₂ の単位は P₁ と P₂ の単位、V₁ と V₂ の単位とがそれぞれ同じならば、いかなる単位を使用しても差し支えない。

 

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2022年1月28日 (金)

機関車の構造及理論:下巻(その238)制輪子圧力:空気ブレーキの制輪子圧力

2.空気ブレーキの制輪子圧力

 空気ブレーキは、ピストン面に加わる空気圧力がピストン押棒に伝わり、これが原動力となって、順次テコの作用により制輪子を圧するもので、その制輪子圧力の計算は原動力が異なるだけで、制動装置の差異によりいく分異なるが、大体は前項の手ブレーキにおいて説明せるものと同様である。

83_20220106221601

 今

  P =制動筒ピストン面1平方センチメートル当たりに働く有効圧力(キログラム/平方センチメートル)

  F =全ピストン圧力(キログラム)

  D =制動筒の直径(センチメートル)

  η =伝導効率(小数にて)

  ℓ₁ =制動腕(長腕)の長さ(センチメートル)

  ℓ₂ =制動腕(短腕)の長さ(センチメートル)

  ℓ₃ =制輪子釣の長さ(センチメートル)

  ℓ₄ =制輪子釣受ピンと制輪子間の距離(センチメートル)

  P =制輪子圧力(キログラム)

とすれば、全ピストン圧力 F は、ピストンの全面積に P を掛ければ良いから

P381

 また制動倍率を手ブレーキの場合と同様なものとすれば、制輪子圧力 P は次のごとくなる。

P381_20220106221701

 これに手ブレーキと同様、伝導効率を考慮に入れると

P382_20220106221801

となる。

 次に上式の制輪子圧力 P は、何によって変化するかを研究する必要がある。

 手ブレーキの場合においては手力であるが、空気ブレーキの場合は圧縮空気によるものである。しかして空気による場合は制動管の減圧量、従って制動筒圧力によって非常に変化するものである。以下これらに付いて述べる事とする。

 

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2022年1月27日 (木)

機関車の構造及理論:下巻(その237)制輪子圧力:手ブレーキの制輪子圧力

第2章 制輪子圧力

1.手ブレーキの制輪子圧力

 手ブレーキの原動力は、ハンドルに加えた手力が、ハンドルを回転することにより、テコの一端を向上し、これがテコの作用によって制輪子圧力は増加するものである。

 今

  P =手動力(キログラム)

  r =ハンドルの半径(センチメートル)

  F =ガジオン(Gudgeon)の上昇力(キログラム)

  m =ネジの刻み(センチメートル)

  η =ネジまたは歯車等の合成伝導効率(小数にて)

  ℓ₁ =制動腕(長腕)の長さ(センチメートル)

  ℓ₂ =制動腕(短腕)の長さ(センチメートル)

  ℓ₃ =制輪子釣の長さ(センチメートル)

  ℓ₄ =制輪子釣受ピンと制輪子間の距離(センチメートル)

  P =制輪子圧力(キログラム)

とすれば、ハンドルを1回転することによって成される仕事量は P×2πr キログラムセンチメートルで、これはブレーキのガジオン G が F なる力で、ネジの刻み m だけ動いた仕事量 Fm キログラムセンチメートルに等しいはずである。

 従って

P378

 しかるにテコの理によって

P378_20220105221401

 また

P378_20220105221402

 従って

P378_20220105221501

 これにネジ、歯車等の合成伝導効率を考慮に入れると

P379_20220105221501

となる。

82_20220105221601

 手ブレーキにおいてはネジによって力を伝えるため、その摩擦によって奪われる力は非常に大きく、普通その効率は50%以下に下がり、これをハンドルのツバの摩擦、歯車の摩擦、装置各部のピン等の摩擦を考えるときは、その合成伝導効率は既述のごとく25%程度に低下するものである。

 なお上式の P は手力であるから、人によって差があるばかりでなく、ハンドルの位置による体の姿勢等によっても支配せられて、一律には伝えないが、ふつう計算としては30キログラムとみるのが妥当である。

 次表はC10形式機関車、および各種炭水車の制輪子圧力その他を求めたものである。

P379c10


【 例 】

 20立方メートル炭水車の制輪子圧力を求めよ。

 ただし

  手動力 P =75キログラム

  ハンドルの半径 r =235ミリ

  ネジの刻み m =9.5ミリ

  合成伝導効率 η =0.25 ℓ₁ =570ミリ ℓ₂ =260ミリ ℓ₃ =515ミリ ℓ₄ =235ミリ

 制動軸4軸で、この他に100ミリ:295ミリの釣合梁を使用している。

【 解 】

P380_20220105221701

 

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2022年1月26日 (水)

機関車の構造及理論:下巻(その236)ブレーキの概念

第7編 列車制動

第1章 ブレーキの概念

 列車を運転するに当たっては、牽引力と相まってこれを停止せしむる力が必要である。すなわち定められた時間で運転する場合に、目的の停車場に停車することが必要なばかりでなく、何時いかなる場合に際しても、自由に、確実に、迅速に停止せしめる事ができ、あるいはまた運転の途中において、定められてある種々の制限速度を超過しない様に、速度の調整を自由自在に成し得る力が必要である。

 第4編において述べた列車抵抗等は、皆列車の進行を阻み、ついにはこれを停止せしめる作用を有し、また砂盛線、車止に付随する勾配線等も、車両の停止を目的とするものではあるが、これらのものは停止地点を任意に定める事ができないばかりでなく、速度の調節も自由に成し得ない。

 従ってこれらの目的を完全に遂行せしめるためには、ブレーキを列車自身に装置する必要が起こって来る。

 ブレーキに付いては、既に中巻第2編において詳述したところであるが、これを最も効果的ならしめるには、その機構を十分に知り、機能の許す範囲内において任意の地点で、しかも任意にその速度を調節して、最も安全に制動する方法を講ずることが必要である。

 

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2022年1月25日 (火)

機関車の構造及理論:下巻(その235)機関車の最大許容速度

第3章 機関車の最大許容速度

 機関車は種々な理由によって、その運転速度を制限されるものである。例えば下り勾配における制限、曲線路における制限、ならびに車両の構造による制限等もこの部類に属するが、これらはいずれも運転規程において定められた制限で、列車としての制限速度である。

 このうち車両の構造による制限は、前述のごとくボギー客車にありては95キロメートル/時、その他の客車に対しては75キロメートル/時、貨車にありては65キロメートル/時と定められているが、機関車自体の構造による制限速度に付いては、同規程に定めたものがない。

 その理由は機関車は各々形式によって、その構造がはなはだしく相違しているので、客貨車のごとく一律に制限を設けることが不可能なためである。

 機関車の構造による速度制限としては、従来発表せられているものは種々あるが、要するに動輪直径または動輪の回転数から定めたものである。実際においては、その他機関車によって相違する因子もあるので、適切なる速度を求めんとするには実際運転における機関車の状態、および乗り心地等から定むべきである。

  以下、各国において提唱されている機関車の速度制限内容を示せば、次の通りである。

(1)米国の方法

 動輪直径をインチで示し、直径1インチをもって1マイル/時の速度とするもので、この方法によれば、動輪直径60インチのものは、最大許容速度が60マイル/時となる。

(2)英国の方法

 動輪直径をフィートで示し、直径1フィートをもって10マイル/時の速度とするもので、この方法によれば、動輪直径60インチのものは5フィートであるから、最大許容速度は50マイル/時である。

(3)ドイツ機械学会提案の方法

 動輪1分間の回転数を360回転としたものであるが、我が国のごとき狭軌鉄道に対しては、300回転位が適当とせられる。これより最大許容速度と動輪直径との関係を求めれば

P375

  V =最大許容速度(キロメートル/時)

  D =動輪直径(メートル)

 この方法によって直径1750ミリ、すなわち D =1.75メートルのものの最大許容速度は

P375_20220102185201

となる。

(4)ドイツ鉄道連合会の方法

 この方法は前の方法に比し仔細に考慮されたもので、連結軸数およびその配置、ならびにシリンダーの位置等により動輪1分間の回転数を定めたもので、次表の通りである。

P375_20220102185401
P376

 動輪回転数から速度を求めるには

P375_20220102185301

  V =最大許容速度(キロメートル/時)

  n =動輪1分間の回転数(次表より求める)

  D =動輪直径(メートル)

 以上の4方法中、相互に相当の開きのあるのは、許容範囲の定め方に相違のあるためである。次表は以上の4方法により求めた、我が国有鉄道の代表的機関車の最大許容速度を比較したものである。

P376_20220102185401

 

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2022年1月24日 (月)

機関車の構造及理論:下巻(その234)列車運転時分の計算方法:運転線図の描法に対する必要事項(5)

(5)計画時分に対する割増程度

 運転線図の描法によって求めた運転時分は、理論的のものであるから、平素の運転としてはいく分延長して、適当なる余裕を持たせることも必要である。

 しかし機関車の牽引力は缶の蒸気量に対する因子、すなわち燃料の発熱量、燃焼率および蒸発熱量等は一定値として扱っているが、実際運転に当たっては、地方的に相当開きがあることは免れ難いわけであるから、線路状況による焚火の難易、地方的天候、気温の差異および使用石炭等を考慮して、適当なる査定を成すべきで、一率に幾%増しとかすることは妥当ではない様に考える。

 もっとも機関車付替え駅における進出区間、ならびに給水駅および終端駅の進入区間に対しては、火床整理または停止位置の合致等の技術的立場からみて、適当な時分を加算する必要がある。

 なお新線開業等の区間に対しては路盤軟弱等の点から、計算時分の10%程度位の割増をすることが望ましい。

 

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2022年1月23日 (日)

機関車の構造及理論:下巻(その233)列車運転時分の計算方法:運転線図の描法に対する必要事項(4)

(4)制限速度に対する割引程度

 機関車の牽引力と列車抵抗とが合理的であれば、力行運転では実際速度と計画速度とは合致するから、加減弁を絞るとか締切を早めること等によって、比較的簡単に制限速度を守る事ができるが、惰行運転中において制限速度を守るためには、ブレーキ取扱い方の技量に待たねばならないので、実際速度と計画速度とはなかなか合致することが困難である。

 ことに長い下り勾配等で繰り返し制動法による場合は、速度の変化が10キロメートル/時に及ぶこともある。

 また実際問題として、速度計の指度差や速度計なき場合における観測の誤差等のため、実際速度と5キロメートル/時程度に開きがあることが見受けられるから、運転線図の描法に当たっては、安全にして且つ余裕のある作業を乗務員に与えしめる目的で、速度制御の容易な場所と、しからざる場所とに区別して、それぞれ適当な割引をすれば良い。

 従って転轍器、曲線、下り勾配および車両の種類による制限速度は、これを厳守するのに容易でないから安全のために、所定速度より5キロメートル/時低下せるものをもってする事が妥当と考える。

 ただし上り勾配線等に介在する曲線の制限速度に対しては、速度を超過する機会が少ないから、2~3キロメートル/時減程度でも何ら差し支えない。

 

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2022年1月22日 (土)

機関車の構造及理論:下巻(その232)列車運転時分の計算方法:運転線図の描法に対する必要事項(3)

(3)停車場の通過速度

 列車が停車場を通過する場合、特別な制限速度は現行規程で明示されてないから、組成車両の種類による運転取扱心得第64条に規定せられたものによって良いわけである。

 しかし単線区間の多くの停車場においては、ほとんど転轍器が介在するから、そこに付帯する曲線に対する規程上の速度制限を受けるか、さもなければ通票の受授等に対して、適当なる通過速度の制限を付する必要がある。

 よって停車場の通過速度として単線区間においては、通表受授のために受ける制限速度は55キロメートル/時とし、その他現行運転取扱心得または保線関係の点より指示せられたるものの他は、所定の描法をもってした方が良い。

 なお運転取扱心得に示されたる各種の制限速度に付いては、第1編において詳述するが、参考までに組成車両の種類による制限速度、曲線による制限速度、および転轍器の制限速度を次に示した。

【 組成車両の種類により制限速度 】

1.ボギー客車または特に指定する貨車をもって組成する列車、およびボギー客車と特に指定する貨車とをもって組成する列車
 
   95キロメートル/時

2.4輪客車または4輪客車とボギー客車とをもって組成する列車

   75キロメートル/時

3.前号の列車に特に指定する貨車を連結するとき

   75キロメートル/時

4.貨車または貨車と客車とをもって組成する列車
 (ただし貨車中には特に指定せる貨車のみの場合を含まざるものとする)

   65キロメートル/時

P372
P372_20220101145301

 

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624p372

2022年1月21日 (金)

機関車の構造及理論:下巻(その231)列車運転時分の計算方法:運転線図の描法に対する必要事項(2)

(2)停車の際における減速度

 停車に際しての減速度は制動開始速度、編成車両の多少、制動軸数割合ならびに旅客および貨物列車の別、あるいはブレーキ使用当時における線路勾配状況、その他によって変化するものである。

 一般に列車制動の場合の減速度は、制動距離等を算出する場合に用いる恒定減速率を指すのではなく、空走時間を含んだ全制動時間と、制動速度から言うときの減速率によって定めるから、列車編成の状態によっては同一減圧量でも、相当差異があることを考えなければならないし、また機関車の操縦上の点と、列車運転の経済と言う点からも、適当な数値を定めることが大切である。

 運転線図の描法を成す際、使用する制動曲線は進入停車場の転轍機の制限速度や、制動開始前の線路勾配の状態、あるいは列車の種類によって繰り返し制動、または追加制動等を必要とする場合があるが、これらの場合にも一様な減速度を与える事は困難であるが、標準としては次の数値が妥当と考える。

P371_20211231173901

 

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2022年1月20日 (木)

機関車の構造及理論:下巻(その230)列車運転時分の計算方法:運転線図の描法に対する必要事項(1)

4.運転線図の描法に対する必要事項

(1)発車の際における加速度

 加速度の大小が、燃料の消費に影響することは当然であるが、これは牽引重量と操縦方法との、両方面から決めなければならない問題である。

 加速度の程度を決めるには、牽き出しに際して起こる衝動と、空転ならびに強通風によって火床が攪乱されること等を考慮する必要がある。従って加速力線図から直接求めることは、実情に合致しない様である。

 この理由は、臨界速度までの加速度は、蒸気締切が最大となるシリンダー牽引力によるか、あるいは粘着力による理論上の最大牽引力によるものであるが、実際操縦に当たっては、発車当時は空転あるいは衝動を防止する意味から、加減弁を徐々に開くとか、発車直後、蒸気締切を徐々に短縮するとかのため、臨界速度まで性能だけの加速度を全部利用できないからである。

 上述の理由から、発車の際の加速度は理論と実際から、実用上の標準数値を大体次のごとく採ることが良いと考える。

 速度種類          加速度(キロメートル/時/秒)

  旅客甲 ( C51形式にて300トン牽引 ) 0.55

  旅客乙 ( C51形式にて400トン牽引 ) 0.45

  旅客乙 ( C51形式にて500トン牽引 ) 0.35

  混 合                 0.30

  貨物甲 ( D50形式にて700トン牽引 ) 0.35
 
  貨物乙 ( D50形式にて800トン牽引 ) 0.25

  貨物丙 ( D50形式にて950~1000トン牽引 ) 0.15

 (注)加速度は発車後1分までの平均値を示すものとする。

 

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2022年1月19日 (水)

機関車の構造及理論:下巻(その229)列車運転時分の計算方法:運転線図の描法(間接描法)フェルテー氏の方法(2)

【 描法の証明 】

81_20211231145401

 いま符号〔 〕内の数字は、ミリを単位とする図表上の長さとし、第81図(A)(B)における速度 V、勾配 I(あるいは加速力)、運転時間 T および距離 L の縮尺を次のごとくする。

 (A)図において、速度1キロメートル/時を v₀ ミリで示し、勾配1パーミル(または加速力1キログラム/トン)を i ミリで示す。

 (B)図において、速度1キロメートル/時を v ミリで示し、距離1キロメートルを ℓ ミリで示し、時間1分を t ミリで示す。

 しかるときは

 (A)図において

P366

 (B)図において

P366_20211231145701

 (A)図における三角形 P₁Of と(B)図における三角形 a₅da₆ とは、三辺が各々平行であるから、この2つの三角形は相似形を成す。従って次の関係が成立つはずである。

P367_20211231145801

 a₅d は速度の増加〔 ⊿V 〕を示し、a₅d は時間の増加〔 ⊿T 〕を、また fO は列車の加速力〔 I 〕を示し、また P₁O は50ミリの長さである。

 故に

P367_20211231145802

 すなわち

P367_20211231145901

 故に

P367_20211231145902

 v、i および t は前述の描法において説明したる縮尺、すなわち

   v =1ミリ、 i =10ミリ、 t =10ミリ

であるから、これを前式に代入すれば

P367_20211231150001

 以上の証明を力学上から考察すると

P367_20211231150002

となり、これが単位はキログラム、メートル、秒である。

 回転部分の影響を直進部分の6%とし、列車重量1トンに付いて考えると

P367_20211231150101

 従って

P367_20211231150102

 これを1分間における速度増加に直すときは

P367_20211231150201

 また

P367_20211231150202

 ただし ⊿v は速度の増加を(メートル/秒)単位で、また ⊿V は(キロメートル/時)の単位で示したものである。

 故に

P368
P368_20211231150301

 以上の(196)式は図面上の縮尺関係から、また(197)式は力学上より求めたもので、この両式は全く同一の結果に到達するから、前記の描法が正しいことがわかる。

 次に距離時間曲線に対しても、速度時間曲線の場合と同一方法をもって、これを証明することができる。

 すなわち(B)図において三角形 P₄Oh と、三角形 b₅gb₆ とは相似形となるから

P368_20211231150302

 しかるに

  b₆g =〔 ⊿L 〕  b₅g =〔 ⊿T 〕

  hO は平均速度で〔 Vm 〕とし

  P₄O =60ミリ

 故に


P368_20211231151501

 従って

P368_20211231151601

 故に


P368_20211231151602

 v、t、ℓ は前述の描法において証明したる縮尺、すなわち

  v =1ミリ、 t =10ミリ、 ℓ =10ミリ

であるから、これを前式に代入すれば

P368_20211231151901
P368_20211231151902

は1分間の距離の増加であるから、当然

P368_20211231152001

となるわけである。従って前記の描法が正しいことがわかる。

 以上の尺度 v、ℓ、t、vo、i、P₁O および P₄O の値は、その目的に応じある程度まで任意に採ることができる。

 すなわち以上の証明に従って、次の関係を知ることができる。

P369_20211231152101

 また

P369_20211231152102

 ただし x は回転部分の影響による加速度の割合を示す。

 故に

P369_20211231152103

 また

P369_20211231152201

 故に

P369_20211231152202

 すなわち、以上の(198)(199)両式を満足するような v、i、v0、ℓ、t、P₁O および P₄O の値を決定すれば良い事となる。

 

623p364_20211231140401
623p366_20211231134801
623p367
623p368
624p369



2022年1月18日 (火)

機関車の構造及理論:下巻(その228)列車運転時分の計算方法:運転線図の描法(間接描法)フェルテー氏の方法(1)

3.フェルテー氏の方法

 この方法は、速度時間および距離時間曲線を求めるもので、第81図(A)における加速力線図は、勾配1パーミルを10ミリ、速度1キロメートル/時を1ミリとして描いたものである。

 第81図(B)は、縦軸に距離および速度を、横軸に時間を採り、距離1キロメートルを10ミリ、速度1キロメートル/時を1ミリ、時間1分時を10ミリとするものである。

 第81図における運転線図の描き方は、ストラール氏の方法と同様に、一定の大きさの速度の変化を考え、その平均速度に対する加速力から加速度を求めるものである。

81_20211229111401

 以上の加速度を求めるために、(A)図において横軸に沿い、左方に原点より50ミリの箇所に P₁ 点を採り、また距離線を求めるために、(B)点において原点より60ミリの箇所に P₄ 点を採る。

 いま発車より速度10キロメートル/時までの平均速度を採ると、5キロメートル/時であるから、この速度に相当する加速力は(A)図において B₁5 に相当する。よって B₁ 点から水平線を引き、これが縦軸と交わる点と P₁ 点とを結ぶ直線に、並行に(B)図の原点から速度線 Oa₁ を引き、a₁ 点を速度10キロメートル/時の点で止める。

 これに対する距離線を求めるには(B)図で P₄5 を結び、この線に並行に Ob₁ を引き、a₁ から下した垂線との交点 b₁ にて止めればよい。

 以後、同一の方法を繰り返しながら、速度線上に a₂,a₃,a₄,a₅,a₆,a₇ を、距離線上に b₂,b₃,b₄,b₅,b₆,b₇ を求める。

 しかるに列車は b₇ で8パーミル上り勾配の始点に達し、このときの速度は a₇ 点で67キロメートル/時となる。しかるに8パーミル上り勾配線上における列車の均衡速度は、47キロメートル/時であるから、以後列車は減速を成すはずである。

 (A)図において縦軸上の8より水平に、左方50ミリの箇所に P₂ の点を採り、また一方6キロメートル/時から60キロメートル/時までの、平均63.5キロメートル/時に相当する点 B₈ から左方に水平線を引き、縦軸と交わる点を求め、この点と P₂ 点とを結ぶ直線に、並行に(B)図において a₇a₈ を引き速度線を求める。これに相当する距離線は、P₄63.5 に並行に b₇b₈ を引けば、これを求めることができる。

 以後、同一方法を繰り返し速度および距離線を求め、a₁₃ および b₁₃ に達したとき、蒸気を遮断し惰行運転を始めるものと仮定する。

 惰行線を求めるには(A)図において、横軸の下に列車重量1トン当たりの走行抵抗と、速度との関係を描く必要がある。

 速度75キロメートル/時と65キロメートル/時の平均速度は、70キロメートル/時であるから、(A)図において走行抵抗の曲線上に B₁₄ を求め、この点から左方に水平線を引き縦軸と交わる点を求めて、この点と P₁ とを結ぶ直線に並行に(B)図に a₁₃a₁₄ の線を求めるのである。a₁₄ の点は制動を開始する速度で、65キロメートル/時に相当する。

 次に a₁₃a₁₄ 間の平均速度は70キロメートル/時であるから、これに相当する距離線 b₁₃b₁₄ は、P₄70 に並行に引けばこれを求めることができる。制動時間の減速度を1キロメートル/時/秒とすると、これに対する時間は1分8秒を要するから、a₁₄a₁₅ は1分8秒の間隔でこれを引けば良い。

 またブレーキ使用中の平均速度は、制動開始の速度が65キロメートル/時であるから、その2分の1を採り32.5キロメートル/時となる故、この速度に相当する距離は P₄32.5に並行に b₁₄b₁₅ を引けばこれを求められる。

 かようにして求めた AB 停車場間の運転時分は、約12.5分となる。

 

623p363
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2022年1月17日 (月)

機関車の構造及理論:下巻(その227)列車運転時分の計算方法:運転線図の描法(間接描法)ストラール氏の描法に対する証明

(5)ストラール氏の描法に対する証明

68_20211226113201

 いま符号〔 〕内の数字は、ミリを単位とする図上の長さとし、第68図(A)および(B)における速度 V、勾配 I(あるいは加速力)、運転時間 T および距離 L の縮尺を次の通りとする。

 第68図(A)において、速度1キロメートル/時を Vo ミリで示し、勾配1パーミル(または加速力1キログラム/トン)を i ミリで示す。

 第68図(B)において、速度1キロメートル/時を v ミリで示し、距離1キロメートルを ℓ ミリで示し、時間1分を t ミリで示すときは

 第68図(A)において

P360_20211226113301

 第68図(B)において

P360_20211226113302

 (A)図における三角形 8ct と(B)図の三角形 BCT とを考えるに、この2つの三角形は、3辺がそれぞれ平行であるから相似形である。それ故

P361

 CT は速度の増加〔 ⊿V 〕、BT は距離の増加〔 ⊿L 〕、ct は加速力〔 I 〕、8t は速度〔 V 〕であるから

P361_20211226113401

 故に

P361_20211226113501

 次に以上の関係を、別途力学上より考察するときは

P361_20211226113502

(単位はメートル/秒/秒である)、回転部分の影響を直進部分の6%とし、列車重量1トンについて考えれば

P361_20211226113601

 これを1分間の速度増加に直すときは

P361_20211226113602

 ただし ⊿v は速度の増加を(メートル/秒)単位で、また ⊿V は(キロメートル/時)の単位で示したものである。

 故に

P361_20211226113701

 上式の分母子に ⊿L を乗じて


P361_20211226113801
P361_20211226113901

は1分間の距離の増加であるから

P361_20211226113902

に等しい。

 故に

P361_20211226114001

 故に(191)式と(192)式とを比較するに、左辺はいずれも

P362

であるから、その右辺はそれぞれ等しい。それ故

P362_20211226114101

となる様に i、Vo、ℓ および v の長さを定めれば良いことになる。すなわち

P362_20211226114102

の条件が図面上の寸法を定めるに必要である。

 次に時間曲線に対しても、速度曲線の場合と同様で、(A)図における三角形 OPc' と(B)図における三角形 RB'C' とは、三辺がそれぞれ平行であるから相似形であって、

P362_20211226114103

の関係がある。

P362_20211226114201

であるから

P362_20211226114301

 故に

P362_20211226114302

 しかるに

P362_20211226114401

は1分間における距離の増加であるから、当然

P362_20211226114402

となるべきものである。

 すなわち

P362_20211226114501

 故に

P362_20211226114502

となる様に vo、t、OP および ℓ の寸法を定めれば良いのである。

 換言すれば、以上求めた2式(193)および(195)を満足する様な、各縮尺の寸法を採用すれば、この描法を用いることができる。この2式を再記すれば

P362_20211226114601

 なおこの式を解くに当たり、2つの式に対し未知数が6つあるから、4つに対してはある適当な値を与えねばならぬ。

 国有鉄道の線路縦断面図は20ミリが1キロメートルであるから、速度曲線の距離の縮尺を20ミリを1キロメートルとして、各寸法を求めてみるに

P363

が便利であることは前述の通りであるから、この値を(193)式に代入して i の寸法を求めれば

P363_20211226114701

 (195)式に以上求めた値を代入して、OP の長さを求めれば

P363_20211226114702

 

 

622p341_20211226111701
622p360_20211226111101
622p361
622p362
622p363

2022年1月16日 (日)

機関車の構造及理論:下巻(その226)列車運転時分の計算方法:運転線図の描法(間接描法)実際描法

(ロ)実際描法

 (イ)によって求めた第71~80図のごとき速度時間線図を準備しておき、別にこれを写し取ることのできるような方眼紙、またはその他の紙に、第67図(B)図の様に停車場の位置、勾配および曲線等を記入し、これらの区分点から垂線を立てた線路縦断面図を作り、これに速度時間線図の速度および時間を写し取るのである。

67_20211222191201

 いま第67図の線路縦断面図により、速度および時間曲線の求め方を説明すれば、まず速度時間線図を動かない様にピンで止めるか、またその他の方法を採り、その上に線路縦断面図を置いて、甲停車場の O 点を速度時間曲線の原点に合致せしめ、上下両図の横軸を精確に一致せしめる。ここで初めて平坦の速度曲線 OD および、時間曲線の OD' を写し取る。

 次に上下両図の横軸を一致せしめたまま、線路縦断面図を左右に動かして、3パーミル上り勾配の速度曲線と、D 点とが一致する点を見出し、速度曲線の DE を写し取り、これに対する時間は、その速度曲線に対する時間曲線が、2つの垂線 DD' および EE' に挟まれたる部分の高さに等しいから、2垂線との交点を求め、この交点を結ぶ直線に並行に、時間曲線 D'E' を写し取ることができる。

 次に10パーミル上り勾配の場合も同様にして、両横軸を一致せしめつつ線路縦断面図を左右に動かし、10パーミル上り勾配の速度曲線と E 点とが一致する点で止め、速度曲線 EF を写し取り、この速度曲線に対する10パーミル上り勾配の時間曲線と、2つの垂線 EE' と FF' との交点を求め、この交点を結ぶ直線に並行に E'F' を引くのである。

 以下、全く同様な方法を繰り返すことによって、速度曲線 OABC・・・・・・および時間曲線 OA'B'C'・・・・・・が描かれるわけである。

 最後に停車場から逆に制動曲線を引き、前述の方法で制動速度の点 M で止め、この点から惰行線図の速度曲線を、逆に L の方向に向かって引き I で止める。それ故この I 点は絶気点であって、これまでに要した時間は I' となる。

 よって IJ、JK、KL および LM 等に対する時間は、前述の方法と同じ様にして求め、これらを加算すれば TT' は所要の運転時間(分)となるのである。

 しかしながら実際においては、運転線図の描法に対して相当熟練すれば、自ずから絶気点は見当が付くのであるから、前述の絶気点 I を適当に定め、この点に惰行線図の速度曲線を合わせ、制動曲線と交わる点まで描き、時間曲線はやはり前と同じ方法によって求める方法を用いる。

71c51300
72c51400
73c51520
74d50350
75d50800
76d501000
77c51300
78c51520
79d50330
80d50800

 

622p337_20211222190101
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622p360

 

2022年1月15日 (土)

機関車の構造及理論:下巻(その225)列車運転時分の計算方法:運転線図の描法(間接描法)準備描法(3)

(3)制動線図の描法

 制動線図の描法は、列車がその制動中に一様な減速度を持つものとして、次の理論から減速力を求めて、この減速力曲線から描くのである。

 今

   F =減速力(キログラム/トン)

   A =減速度(キロメートル/時/秒)

とすれば、第4編第6章で述べたごとく

   F =30A

と成し得るから、これを既に述べた適当な縮尺によって描くことができるわけである。

70_20211220230101

 例えば旅客列車の制動による減速度が、1キロメートル/時/秒なるものと仮定すれば、前記の速度時間曲線の描法における縮尺として、これを表すために第70図(A)において OQ の値を 30A=30×1=30キログラム/トンの減速力、すなわち30パーミルの勾配として OP の値を、第68図または第69図(A)における長さと等しく取って、その速度時間曲線を描けば良いはずである。

 それ故、いま1キログラム/トンの減速力(または1パーミルの勾配)を、前に述べた力行および惰行曲線の描法で示した例をもってすれば、その大きさは6ミリであるから、6×30=180ミリの大きさを OQ の長さとし、且つ OP の大きさは既に述べたごとく 30ミリに取って、加速力に対する速度時間曲線と同一なる描法をもって、これを求め得られるのである。

 まず速度が10キロメートル/時より、停車するまでにおける平均速度は5キロメートル/時であるから、第70図(A)における Qa' 線と平行に第70図(B)に OA 線を引き、10キロメートル/時の速度の点において止め、(A)図の Pa に並行に(B)図へ OA' 線を引き、A より上げた垂直線との交点 A' 点を求めれば、前者はその速度曲線にして、後者はそれに対する時間曲線を示す事となり、その水平距離はその場合の走行距離となる。同様にして

 Ob' に並行に AB を 且つ Pb に並行に A'B' を引き

 Oc' に並行に BC を 且つ Pc に並行に B'C' を引き

 Od' に並行に CD を 且つ Pd に並行に C'D' を引き

等を繰り返して描くときは、ここに速度曲線として OAB・・・・・・GH と、それに対応する所要の時間曲線として OA'B'・・・・・・G'H' を得られる。

 かようにして(B)図のごとき制動による速度曲線と時間曲線とを描き、滑らかな曲線で結ぶ時は(B)図のごとき制動線図が得られる。

 

622p346
622p347

2022年1月14日 (金)

機関車の構造及理論:下巻(その224)列車運転時分の計算方法:運転線図の描法(間接描法)準備描法(2)

(2)惰行線図の描法

 列車が惰行運転を成す場合の速度時間線図を描くには、加速力線図に示した走行抵抗の曲線、すなわち減速力の曲線を使用するのであって、第69図の(A)および(B)はその描法を示せるものである。

69_20211220183201

 いま上り勾配8パーミルにおける走行抵抗、すなわち減速力は、8パーミル上り勾配に対する値よりもはなはだしく下方にあるから、惰行運転の場合は列車は急激に減速するはずである。

 列車速度が90キロメートル/時から80キロメートル/時に減速するときは、この平均速度は85キロメートル/時であるから、(A)図においてその場合の減速力曲線の点 h と、上り勾配8パーミルに対する点を結んだ 8h 直線に並行に、(B)図の速度90キロメートル/時を示す点より 90H₁ を引き、80キロメートル/時の位置に止めればその場合の速度曲線となり、これに対応する時間は力行運転の場合と同様な方法をもって、(A)図の時間原点 P と速度85キロメートル/時の点 h' と結んだ直線と平行に、(B)図において OH₂ 線を引き H₁ から下した垂線と H₂ で交わらしめれば、OH₂ は該速度曲線に対応する時間曲線となる。

 以下順次同様な方法を繰り返して行えば、速度曲線として 90H₁G₁・・・・・・B₁A₁ および、それに対応する時間曲線 OH₂G₂・・・・・・B₂A₂ を描き得られる。

 次に下り勾配8パーミルにおいては、(A)図を見る事によって知られる様に、その減速力曲線は8パーミル下り勾配に対する値より全て上位にあるから、列車は漸次加速するわけである。

 いま列車速度が10キロメートル/時より20キロメートル/時に加速する場合をみると、その平均速度が15キロメートル/時であるから、(A)図の下り勾配8パーミルに対する点と走行抵抗曲線、すなわち減速力曲線の点 a とを結んだ -8a に並行に、(B)図の 10キロメートル/時の速度を示す点から直線 10A を引き、20キロメートル/時の位置で止めて、その速度曲線を描くのである。

 しかしてそれに対応する時間曲線は、(A)図の Pa' に並行に(B)において OA' を引き、速度曲線の A 点より下せる垂線との交点である A' の点で止める事によって、これを求め得られるわけである。

 従って以下同じ方法を繰り返せば、速度曲線として 10AB・・・・・・FG を、またこれに対応する時間曲線は OA'B'・・・・・・F'G' を描き得られるのである。

 かようにして一種の勾配に対して二組の速度、時間曲線が作り得られる事となり、また他の勾配に対しても、これと同様な方法で曲線を描くことができる。

 

622p344
622p345_20211220182501
622p346

2022年1月13日 (木)

機関車の構造及理論:下巻(その223)列車運転時分の計算方法:運転線図の描法(間接描法)準備描法(1)

(4)運転線図の描法(間接描法)

(イ)準備描法

 運転時間を求めるのに、距離が非常に短い場合は、直接描法のところで述べた様に、勾配および曲線等を記入した線路縦断面図によって、直接速度および時間曲線を描いて求めるのが便利であるが、距離が非常に長いときは前述の様な直接に求める方法では、すこぶる手数が掛かるから、あらかじめ第68図および第69図のごとき速度時間線図を描いておいて、その線図から写し取る様にする方が便利である。

68_20211219230301
69_20211219230301

 なお速度時間線図を描くに当たっても、その縮尺関係は前述の直接描法と同様にせねばならない。

(1)力行線図の描法

 力行運転の場合の速度時間線図を描くためには、直接描法における加速力線図を、そのまま使用するものである。

 いま第68図(A)に示せる加速力を有するものに付いて、速度時間線図を描けば、仮に8パーミル上り勾配線を発車して、10キロメートル/時の速度に達するまでを考えるに、その平均速度は5キロメートル/時であるから、(A)図の8パーミル上り勾配を示す8と、速度5キロメートル/時の加速力の点 a とを結ぶ直線 8a に並行に、第68図(B)において直線 OA を引き、速度10キロメートル/時の点で止め、これに対する時間は(A)図の横軸上5キロメートル/時の点 a' と、時間原点 P とを結ぶ直線 Pa' に並行に(B)図に OA' 線を引き、A 点より下した垂線との交点 A' に止まるときは、OA' の高さは発車より10キロメートル/時に加速せられるために要する時間であって、OA 間の水平距離はその間に走行せる距離となる。

 次に10キロメートル/時より20キロメートル/時までに、加速するための平均速度15キロメートル/時に該当する(A)図の加速力の b 点と、勾配8パーミルとを結ぶ直線 8b に並行に(B)図において直線 AB を引き、速度20キロメートル/時に止めてその速度曲線を求め、それに対応する運転時間は(A)図の P 点と、15キロメートル/時に相当する b' 点とを結ぶ直線 Pb' に並行に(B)図において A'B' 線を引き、B より下した垂線との交点 B' で止めるときは、B' の高さは発車後20キロメートル/時に達する間に要する時間にして、B 点の水平距離はその走行距離である。

 かように以下、全く同じ方法を繰り返してこれを行えば良い。すなわち

  8c に並行に PC を 且つ Pc' に並行に B'C' を引き

  8d に並行に CD を 且つ Pd' に並行に C'D' を引き

  8e に並行に DE を 且つ Pe' に並行に D'E' を引き

等に描けば、ここに速度曲線として OABCDE および、これに対応する時間曲線として OA'B'C'D'E' を描くことができるのである。

 かようにして E に達すると、列車は42キロメートル/時の均衡速度になるから、速度曲線 EF は水平線となり、従ってその時間曲線 E'F' は直線となる。

 次に列車が均衡速度以上の速度をもって、上り勾配に差し掛かるときは、その加速力は列車抵抗よりも小さくなるから、列車の速度は進行と共に漸次減少して、ついには当該勾配に対する均衡速度によって、一定速度を持続する事となる。

 従ってかかる場合の速度時間線図は、上記のものを全く反対の順序をもって、同様な方法で繰り返し行えば良いことになるのである。

 例えば本列車が、80キロメートル/時より70キロメートル/時に減速する場合を見ると、その平均速度は75キロメートル/時であるから、(A)図の 8j に並行に(B)図において 80J を引き、70キロメートル/時の点で止めてその速度曲線を描き、これに対応する時間曲線は(A)図の Pj' 線に並行に、(B)図における原点 O より OJ' 線を引き、J 点より下した垂線との交点 J' を求める。

 次に70キロメートル/時より60キロメートル/時に減速する間の、平均速度は65キロメートル/時であるから、(A)図の 8i 線に並行に(B)図へ JI 線を、速度60キロメートル/時の点まで引くことにより、その場合の速度曲線が得られる。

 これに対する時間曲線を求めるには、(A)図の Pi' 線に並行に(B)図の J'I' 線を引き、I 点より下した垂線との交点 I' で止めるのである。以下全く同様な方法を繰り返せば良いわけである。

 しかして G 点に至れば、列車は均衡速度の42キロメートル/時となるから、ここで前記の速度曲線に合致する事となる。

 かようにして一種の勾配に対し二組の速度、時間曲線、すなわち加速の場合と減速の場合との曲線が得られる事となる。その他の勾配に対しても同様な方法によって得られるわけである。

 この様にして求めた速度、時間曲線は直線の連続であるから、これを滑らかな曲線となせば良いわけである。このためには、平均速度は上記の様に粗くなく、相当細かく採れば、速度、時間曲線を曲線と成すにも非常に便利である。ことに均衡速度に接近するに従って、いっそう細かくすれば理想的なものができる。

 

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2022年1月12日 (水)

機関車の構造及理論:下巻(その222)列車運転時分の計算方法:運転線図の描法(直接図法)

(3)運転線図の描法(直接図法)

 ストラール氏の運転線図の描法は、前述の縮尺関係をもって、ある機関車が客貨車を牽引した場合の加速力線図、および線路縦断面図を、第67図(A)および(B)のごとく描き、次の描法によるものである。

67_20211219105901

 いま列車が甲停車場を出発して乙停車場に停車するものとし、これを説明するに、まず発車より10キロメートル/時に達する間を考えると、この平均速度は5キロメートル/時であるから、(A)図において5キロメートル/時に対する加速力の点 a と、原点 O とを結びつける Oa 線を引き、これと並行に(B)図において速度曲線 OA を引くのである。

 次に 0キロメートル/時から20キロメートル/時に達する間の速度曲線を描くには、その平均速度15キロメートル/時を取って Ob 線を引き、これと並行に(B)図において速度曲線 AB を、20キロメートル/時の点まで引くのである。

 同様な方法で20キロメートル/時から30キロメートル/時、および30キロメートル/時から40キロメートル/時に達するの間の平均速度は、25キロメートル/時および35キロメートル/時であるから、この速度における加速力の点 c と、O および d と O とを結んだ Oc および Od 線と平行に、(B)図において速度曲線 BC および CD を引き、それぞれ30キロメートル/時および40キロメートル/時の点で止める。

 かくして D 点においては、列車が40キロメートル/時の初速度を持って、3パーミルの上り勾配を運転する事となる。3パーミルの上り勾配における均衡速度は、(A)図によって72キロメートル/時なることがわかるから、列車は3パーミルの上り勾配では、なお加速する事ができるはずである。

 40キロメートル/時と50キロメートル/時との間の平均速度は、45キロメートル/時であるから、(A)図において 3e 線を引き、これと並行に(B)図に速度曲線 DE 線を引けば、列車は50キロメートル/時の速度に達しないうちに、3パーミルの上り勾配の終端に来る。この場合の速度は48キロメートル/時となる。

 次に列車は48キロメートル/時の初速度で、10パーミル上り勾配線を運転する事となる。しかるに10パーミル上り勾配における均衡速度は、(A)図より34キロメートル/時なることが知られるから、その後列車は漸次減速するはずである。

 48キロメートル/時から40キロメートル/時まで、減速する場合を考えると、その平均速度は44キロメートル/時であるから、(A)図の 10f 線と平行に(B)図に EF 線を引けば、10パーミル上り勾配線の終端で42キロメートル/時の速度となる。

 次に列車は平坦線を42キロメートル/時の初速度で進行するが故に、42キロメートル/時と50キロメートル/時との平均速度は、46キロメートル/時であるから、(A)図の Og 線に並行に(B)図に FG 線を引けば、速度46キロメートル/時に達すると共に、平坦線の終端、すなわち下り4パーミルの勾配の始点に達する事となる。

 よって46キロメートル/時と50キロメートル/時の平均速度は、48キロメートル/時であるから、これに対する加速力の点 h と -4とを結んだ、-4h に並行 GH 線を引き、50キロメートル/時の点にて止める。

 なお列車は加速するから、50キロメートル/時と60キロメートル/時の平均速度である、55キロメートル/時に対する加速力 i と、-4とを結ぶ -4i に並行に HI 線を描けば、56キロメートル/時にて下り4パーミルの勾配の終端、すなわち8パーミル下り勾配の始点に差し掛かる事となる。

 それ故 I 点において加減弁を閉塞すれば、列車はこの8パーミル下り勾配を加速しながら走行する事となる。

 下り8パーミル勾配の始点の速度は、56キロメートル/時であるから、これから60キロメートル/時までの間の平均速度は、58キロメートル/時となる故、-8j 線と平行に(B)図に IJ 線を引く

 次に60キロメートル/時と70キロメートル/時の平均速度である、65キロメートル/時に相当する -8k 線と平行に(B)図に JK 線を描けば、列車は8パーミル下り勾配線の終端に来て、62キロメートル/時となる。

 しかるに列車は平坦線に差し掛かるから、その後は減速する事となる。よって62キロメートル/時と60キロメートル/時の平均速度、61キロメートル/時をもって(A)図の Oℓ に並行に(B)図に KL 線を描く。

 次に60キロメートル/時と50キロメートル/時との平均速度、55キロメートル/時をもって Om に並行に(B)図に LM 線を描く。かくして力行および惰行の場合の、速度曲線が得られる事となる。

 一方、制動曲線を求めるには、後に述べる様に一定な減速度で制動するものとし、乙停車場 T を原点として描く。これが惰行の速度曲線 M と交わる時の速度、すなわちブレーキ使用当時における速度は54キロメートル/時となる。

 以上は速度曲線の描法であるが、この速度曲線に対する運転時分を求めるには、(A)図の原点より下方に採れる P 点を基として、前に描いた速度曲線にある OA,AB,BC・・・・・・JK,KL,LM 線等の各区間における平均速度をもって、これ等に相当する所要時分を求めれば良い事となる。

 よって前に求めた発車から10キロメートル/時までの、最初の速度曲線が OA であるから、その平均速度である5キロメートル/時の点 a' と結ぶ、直線 Pa' に並行に OA' 線を引き、A より下せる垂線との交点 A' 点で止めれば、OA' の高さは発車より10キロメートル/時までに、加速せられる間に要する時間で、OA の水平距離は、その間に走行する距離である。

 次に速度を10キロメートル/時から20キロメートル/時に達する、速度曲線 AB に対する時間は P と、15キロメートル/時の点 b' とを結ぶ、直線 Pb' に並行に A'B' 線を引き、B より下した垂線との交わる点 B' で止めれば、B’の高さは発車後20キロメートル/時に達する間に要する時間で、B 点の水平距離は、その走行距離となる。

 同様な方法で、20キロメートル/時から30キロメートル/時に至る、速度曲線 BC に対する時間曲線を求めるには、P と25キロメートル/時の点 C' とを結ぶ、直線 Pc' に並行に B'C' 線を引き、C から下した垂線との交点 C' で止めれば、C' の高さは発車後30キロメートル/時に達する間に要する時間で、C 点の水平距離はその間に走行せる距離となる。

 また30キロメートル/時から40キロメートル/時に至る、速度曲線 CD に対する時間曲線も、前と同様な方法で P と35キロメートル/時の点 d' とを結ぶ、直線 Pd' に並行に C'D' 線を引き、D から下した垂線のとの交点 D' で止めれば、所要の時間を求め得らえるのである。

 次に DE なる速度曲線は、40キロメートル/時から48キロメートル/時となっているから、その平均速度である44キロメートル/時の点と、P 点とを結ぶ直線 Pe' と平行に D'E' 線を引き、E から下した垂線との交点 E' で止めれば、E' の高さは発車後48キロメートル/時に達する点に要する時間で、D 点の水平距離はその間に走行せる距離である。

 以上のごとく、既に描かれた速度曲線の一定量ずつの変化の軌跡に対し、その平均速度に対する点と P 点とを結び付けて、それらの各速度曲線に対する時間曲線を描けば良いわけで、結局 OA',B',・・・・・・K',L',M' なる時間曲線を得られ、これが速度曲線 OAB・・・・・・KLM に対応するものであって、その水平距離は、すなわち走行距離となるわけである。

 以上の方法によって、運転時分を求め得られるわけであるが、この場合に力行運転から惰行運転に移る場所、すなわち絶気地点や制動開始の地点が異なったり、あるいは制動方法が異なったりすると、運転時分が異なってくるし、また発車の際の加速の程度によっても異なってくる。

 従ってこれらは列車の種類、線路勾配の程度、停車場の配線状態、地方的天候その他の条件を考慮して、適当に定めなければならないのである。

 実際に区間の運転時分を査定する場合には、理論的計算によって求めた時分により試験を行い、実際に適応せる時分を定めるものである。

 

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2022年1月11日 (火)

機関車の構造及理論:下巻(その221)列車運転時分の計算方法:加速力及び運転線図の縮尺

(2)加速力および運転線図の縮尺

 加速力線図および運転線図の尺度は速度、距離および時間曲線を描くべき用紙の大きさと、作図の程度によって決まるわけであるが、我が国有鉄道の線路縦断面図は、距離1キロメートルを20ミリとして表しているため、後に述べる間接描法では、この線路縦断面図をそのまま写し取る関係上、次の縮尺を用いることが都合が良い様である。

P336

 

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2022年1月10日 (月)

機関車の構造及理論:下巻(その220)列車運転時分の計算方法:加速力線図(2)

【 例 】

 C57形式機関車が、鋼製ボギー客車(500トン)を牽引するときの、列車重量1トン当たりの加速力、ならびに走行抵抗を各速度に付き求めよ。

【 解 】

 C57形式機関車の指示牽引力および走行抵抗は、前に示したものより求めると次のごとくなる。

P334c57

 以上例題によって求めた列車重量1トン当たりの加速力、および走行抵抗の値を図示すれば第66図のごとくである。

66_20211215090001

 この図はまた種々なる勾配線上にある場合の加速力と、速度との関係をも示すもので、曲線 ABC は力行運転の場合の列車重量1トン当たりの加速力を表し、曲線 DEF は惰行運転の場合の列車重量1トン当たりの走行抵抗、すなわち減速力を示せるものである。

 例えば列車が平坦線において、速度40キロメートル/時であれば、加速力は F₀ =8.54キログラム/トンで、これが列車を加速せしめるのに利用される力となり、またこの列車が3パーミルの上り勾配を、前と同じ速度で運転するときは、図のごとく F ₊₃ =5.54キログラム/トンの加速力を有する事となる。

 もしこの列車が4パーミルの下りを勾配を、60キロメートル/時の速度で運転するものとすれば、F ₋₄ =8.81キログラム/トンの加速力を有する事となるはずである。

 また10パーミル上り勾配線において、34キロメートル/時の速度をもって運転するときは、その加速力はゼロとなる。これは結局10パーミル上り勾配の均衡速度が、34キロメートル/時の速度であることを示しているのである。

 惰行運転の場合もこれと全く同様で、例えば80キロメートル/時の速度で平坦線を運転する場合は F'₀ = -5.8キログラム/トンの減速力となるが、8パーミルの下り勾配線では 8-5.18= F' ₋₈ =2.82キログラム/トンの加速力を有する事となる。

 

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2022年1月 9日 (日)

機関車の構造及理論:下巻(その219)列車運転時分の計算方法:加速力線図(1)

2.ストラール氏の方法

(1)加速力線図

 ストラール氏の方法は、列車重量1トン当たりの加速力と速度との関係線図から、直接に速度ならびに運転時分と距離との関係を、図式的に求めるものであるから、まず加速力線図の求め方に付いて説明する必要がある。

 今

  T =任意の速度における機関車の指示牽引力(キログラム)

  R =任意の速度における列車全体の走行抵抗(キログラム)

  Wℓ =機関車の重量(トン)

  W =牽引車両の重量(トン)

  Fo =力行運転の場合の平坦線における列車重量1トン当たりの加速力(キログラム/トン)

  F +i =力行運転の場合の上り勾配線における列車重量1トン当たりの加速力(キログラム/トン)

  F -i =力行運転の場合の下り勾配線における列車重量1トン当たりの加速力(キログラム/トン)

  Fo' =惰行運転の場合の平坦線における列車重量1トン当たりの加速力(キログラム/トン)

  F' +i =惰行運転の場合の上り勾配線における列車重量1トン当たりの加速力(キログラム/トン)

  F' -i =惰行運転の場合の下り勾配線における列車重量1トン当たりの加速力(キログラム/トン)

  Rg =勾配抵抗(曲線抵抗を含む)(キログラム/トン)

とすれば、列車重量1トン当たりの加速力は、機関車の牽引力から列車の総抵抗(勾配線の場合は勾配抵抗を含む)を差し引き、これを列車の総重量で除せば求め得られる。

 ただし勾配を千分率で表わしたときの勾配抵抗は、その数字が列車重量1トン当たりの勾配抵抗を表すから、結局平坦線の加速力を求めておけば良いわけである。

 従って加速力は次のごとく表わされる。

 (-となるは減速力を示す事となる)

P333
P333_20211212113801
P333_20211212113802
P333_20211212113803
P333_20211212113901
P333_20211212113902

 上式から、また次の関係式が得られる。すなわち

P333_20211212113903

 

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2022年1月 8日 (土)

機関車の構造及理論:下巻(その218)運転時分計算方法の種類

第2章 列車運転時分の計算方法

1.運転時分計算方法の種類

 従来運転時分を定めるには種々な方法が用いられ、そのうち最も簡単な方法は、いわゆる目分量とも言うべき方法であるが、これは計画者が自己の経験から、その区間に適当な運転時分を定める方法で、その方面に特殊な才能を持った人が得られる場合には、簡単に運転時分を定めることができるが、かような経験家を得る事は事実不可能であって、一般に適用することはできない。

 第二の方法は、その区間を適当な数区に分割し、その部分を運転する速度を、機関車の牽引重量に対する均衡速度から定めて、これを合計する方法である。

 この方法は同一勾配が比較的長く連続している場合は、均衡速度で運転する部分が長いので、その結果が実際に近い適当なものとなるが、一般の場合には相当大きな誤差を生じ、ことに途中線路に各種の速度制限を受ける場合には、計算がなかなか面倒で、その結果もあまり合理的なものではない。

 第三の方法は、実際試運転によって求める方法で、この方法は実情に最も適合しているので最良の方法ではあるが、各区間各列車に付きこれを行うことは事実上不可能なことであるから、特殊の必要ある場合の他使用することができない。

 以上の3方法はいずれも一得一失で、運転時分を査定するに最も適当な方法と言うことはできない。ことに最近のごとく高速度運転を必要とする場合においては、勢いその平均速度も高くなるので、運転時分に不適当なものがあるときは、列車は制限速度を超過する危険も伴うので、最も合理的な方法によって求めなければならない。

 この理由によって、現在もっぱら使用されている方法は、運転線図を描いて各区間の運転時分を定める方法で、この方法によれば次の利益がある。

 (1)各区間の運転時分を適当に定めることができるので、ある区間が楽で他の区間が苦しいという様な、運転時分を作る懸念のないこと。

 (2)何人でも容易に運転時分を求めることができて、人によって差異を生じない。

 (3)この方法で描いた運転線図の様に運転すれば、決して制限速度を超過することがない。

 (4)規程上許された範囲で、最短運転時分を求めることができる。

 運転線図を描く方法で、主に使用されているものは次の二種類である。

  (イ)ストラール氏の方法

  (ロ)フェルテー氏の方法

 ストラール氏の方法は、加速力線図から全然図式的に求める方法で、短時間に比較的正確にこれを求めることができる。現在使用されているのは、ほとんどこの方法である。

 フェルテー氏の方法も、やはり図式的に求めるが、この方法は運転時分の経過に対して、列車の速度を求める方法であるから、あらかじめある区間の運転時分を定め、これに適する速度を求めるには便利である。

 

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2022年1月 7日 (金)

機関車の構造及理論:下巻(その217)列車の加速および減速

第6編 運転速度

第1章 列車速度およびその変化

1.列車の加速および減速

 機関車がある重量を牽引している場合に、機関車の発揮する牽引力が全列車の抵抗よりも大きいときは、列車は加速して漸次その速度を増加するが、牽引力に比して列車抵抗が大きいときは、列車は減速してその速度が低下する。

 この場合、列車の加速および減速の程度は、牽引力と列車抵抗との差を列車の総重量で除した、列車重量1トン当たりの加速力または減速力に比例するもので、いかに牽引力と列車の抵抗との差が大きくても、この力をもって加速する列車の重量が大であれば、列車重量1トン当たりの加速力としては、さほど大きくならないから、結局加速度も高め得ない事となる。

 列車重量1トン当たりの加速力と加速度との関係は、第4編第6章の加速度抵抗を応用し、次の式をもって表わされる。

P327

 すなわち列車重量1トン当たりの加速力を知れば、容易に加速度を求めることができる。

 いまC57形式機関車が、ボギー客車重量500トンを牽引して平坦線を運転する場合の、加速力および加速度は次表の通りで、これは第65図の様に表わされる。

P328c57
65c57

 なおこれを列車重量1トン当たり加速力として図示するときは、第66図のごとくなる。

66_20211208141501

 これによると、列車が出発してから93キロメートル/時までは、列車抵抗よりも牽引力が大きいので列車は漸次加速するが、それ以上の速度においては、列車抵抗の方が牽引力よりも大きいため加速することができないから、列車は93キロメートル/時の速度に達して後は、この速度をもって等速運転を成す事となる。

 このときの速度が、すなわち平坦線における列車の均衡速度である。

 また速度が95キロメートル/時近くで、平坦線に差し掛かった場合は、機関車の牽引力よりも列車抵抗の方が大きいから、列車は漸次減速してちょうど93キロメートル/時に達すると、牽引力と列車抵抗とが釣合って、これまた列車は等速度で走る事となる。

 牽引力と列車抵抗とは、速度によって変化するもので、従って加速力および加速度も速度に応じて変化する。前表を見ると列車出発の場合の加速度は 0.282キロメートル/時/秒に過ぎないが、速度が10キロメートル/時に達すると客車の抵抗が減少するので、加速度は 0.493キロメートル/時/秒の割合となる。

 その後は速度の増加につれて牽引力は減少し、反対に客車の抵抗が大きくなるので、その差の加速力は漸次小さくなり、従って加速度も速度80キロメートル/時においては、わずかに 0.062キロメートル/時/秒となる。従ってかかる小さな加速度では、速度の増加を計ることは容易でない事がわかる。

 次に列車が勾配線を運転する場合には、平坦線の走行抵抗の他に、勾配抵抗を考慮に入れなければならない。

 勾配抵抗は前に述べた様に、全く列車重量に比例するものであるから、列車重量1トン当たりの加速力を求め、それに重量1トン当たりの勾配抵抗を加減すれば良いので、すなわち第66図の加速力は列車重量1トン当たりとして、平坦線の場合のものを求めたものであるから、上り勾配の場合は、この平坦線の加速力から勾配抵抗を減じ、また下り勾配では、勾配抵抗を加算して考えれば良いわけである。

 列車が急な下り勾配線を運転するときは、絶気しても勾配による加速力のために、列車の速度が増加して来るが、この場合の加速力は勾配による加速力と、列車抵抗との差し引きとなり、且つ勾配による加速度は、速度には全然関係ないが、列車抵抗は速度の増加に伴って増すことを知らねばならない。

 次の表はC57形式機関車が、客車500トンを牽引した場合の、列車重量1トン当たりの走行抵抗を計算せるものである。

P330c57

 いまこの列車が4.5パーミルの下り勾配線を運転すると仮定すれば、勾配抵抗による加速力は列車重量1トン当たり4.5キログラムで、この値はちょうどこの表の速度70キロメートル/時の場合の列車抵抗に等しいから、列車が勾配に差し掛かった際の速度がこれ以上の場合は列車は減速し、また70キロメートル/時よりも低い速度で勾配に達した場合は列車は加速し、最後に70キロメートル/時となり、以後等速度運転を成す事となるのである。

 

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622p335

2022年1月 6日 (木)

機関車の構造及理論:下巻(その216)牽引定数の表示方法

第8章 牽引定数の表示方法

 以上述べた様に機関車の牽引定数は、機関車の牽引力と列車の抵抗とを基礎として、理論的に算出することができるが、実際に当たっては線路の状況や機関車の状態等によって、これを定める事はなかなか面倒で、相当深い考慮が必要である。

 機関車牽引定数の表示方法に付いては、各国その表示方法が異なっているが、我が国有鉄道では既に述べた様に、本線路において牽引し得る車両列の換算両数をもって表わされている。

 次表は機関車牽引定数表示方法の例を示したものである。

P326

 

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2022年1月 5日 (水)

機関車の構造及理論:下巻(その215)牽引定数法の種類(4)

(5)換算両数法

 すでに述べたるごとく、我が国の鉄道は線路の勾配が一般に急であるため、勾配抵抗が列車抵抗の主要部分を占め、従って車両の走行抵抗に多少の差があっても、運転上大なる支障をもたらさない。

 これがため我が国有鉄道においては、実際トン数を基礎として現車数による方法をいく分加味したところの、換算両数法を現在用いているわけである。

 前にも述べたごとくこの換算両数法は、重量10トンをもって換算1両と定めているが、客貨車換算法の基礎としては、その自重に標記定員、標記荷重および蓄電池の重量を加算し、これを10トンで割ったものである。しかし食堂、展望室、喫煙室のごときは定員には加算しない。

 なお標記定員を重量に換算するには、20人をもって1トンとし、蓄電池は一組の重量を1.5トンとみなし、ボギー客車では蓄電池の有無に関せず、1両に付き1トンを加算することに定められている。

 貨車においては標記荷重に対する実際荷重、すなわち積載効率の実測値は大体70%であった(昭和14年末においては全平均80%、貸切86%、小口扱32%となっている)ので、原則として標記トン数の70%を積載した時の重量と、自重との和を10トンで割って算出している。なお石炭車、水槽車、油槽車のごとき特殊の貨車は、荷重トン数による事になっている。

 以上のごとくして計算せられたものは、取扱いの便利と精密度を一様ならしめるため、換算2両以下は2分刻みとし、2両以上は5分刻みとするを原則としている。

 なお最近は貨車自重の増加と、積載効率の向上により、全面的改正の機運にある様である。

 

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581p326

2022年1月 4日 (火)

機関車の構造及理論:下巻(その214)牽引定数法の種類(3)

【 例1 】

 D50形式機関車が重量950トンの貨車を牽引して、10パーミル上り勾配を運転せる場合の修正トン数を求めよ。

 ただし現車数は60両とする。

【 解 】

P324_20211207212701

において

P324_20211207212702

を入れ

 修正トン数

P324_20211207212801


【 例2 】

 修正トン数によるD50形式機関車の、10パーミル上り勾配における牽引定数を1250トンとせる場合の積、空貨車の連結両数を求めよ。

 ただし1両当たり重量は空貨車8トン、積貨車15トンとする。

【 解 】

P324_20211207212901

 の式中

P324_20211207212902

であるから、この値を代入して

P324_20211207213001

 一方、実際トン数 W と、現車数 n との間には一定の関係がある。現車数 n 両中、空貨車を m 両、積貨車を n-m とすれば

P324_20211207213002

 この合計が列車総実際トン数 W であるから

P324_20211207213101

 この値を前式に代入し

P324_20211207213102

 従って

P324_20211207213201

 この式を満足する現車数 n 両中に、m 両の空貨車が存在することになるわけで、この結果は次表の通りである。

P325

 

571p324_20211207212401
571p325

 

2022年1月 3日 (月)

機関車の構造及理論:下巻(その213)牽引定数法の種類(2)

(4)修正トン数による方法

 修正トン数による方法もその目的とする所は、貨車において積車と空車とでは、1トン当たりの走行抵抗が相違するので、その補正を行わんとするもので、引張棒牽引力による方法と同一であるが、日常の取扱いを多少簡易化するために案出されたものである。

 元来貨車の抵抗は、その重量にのみ比例するものでないという事は、積車と空車とにおいて1トン当たり走行抵抗の相違する事により、この間の事実を立証するもので、一般的に考えて貨車の走行抵抗は、重量に正比例する部分と、重量に無関係なる抵抗とから成り立つ。

 今

  R =貨車1両当たり走行抵抗(キログラム)

  f =貨車の重量に比例する走行抵抗(キログラム/トン)

  w =貨車1両の重量(トン)

  c =貨車の重量に関係なき走行抵抗(キログラム)

とすれば、貨車1両の走行抵抗 R トンは

P321

である。

 一列車に貨車の両数が n 両あるときは、総走行抵抗は R の n 倍であって

P321_20211205161001

で wn は貨車列の総重量であるから、これを W トンとすれば

P321_20211205161101

となり、今

P321_20211205161102

と置くとき、この Wo を修正トン数という。このトン数はちょうど貨車列の抵抗が全部重量に比例するものと仮定した場合に、同一抵抗を与える様な重量で、常に実際重量よりも大きく

P321_20211205161201

となる。

 上式によって修正トン数 Wo を求めるには、実際重量 W および連結両数 n を知る他、

P321_20211205161202

の値を知らねばならぬ。この値は特別な試運転によって求められ、一度この値を求めておけば、貨車の構造等において大なる変更の無い限り、使用することのできる数値である。

P321_20211205161301

の値を求めるには、平坦直線路において空貨車のみの列車と、また積貨車のみの列車とを運転し、両者とも同一速度で走行し、しかも両列車を牽引する機関車の引張棒牽引力が、等しくなるように貨車を牽引せしめ、この試験の結果が次表の通りであったとすれば

P322_20211205161301

 貨車1両当たり走行抵抗は、積貨車のみ編成の列車では

P322_20211205161401

の式に

P322_20211205161501

を代入し

P322_20211205161502

 総牽引重量に対する走行抵抗は

P322_20211205161601

である。

 同様に空貨車のみ編成の列車に対しては、総牽引重量に対する走行抵抗は

P322_20211205161602

である。

 これらの値は、両列車の機関車の引張棒牽引力が、相等しい様に牽引重量を定めたものであるから

P322_20211205161603

 故に


P322_20211205161701

 これによって

P322_20211205161901

の値を求めることができる。いま米国ペンシルバニア鉄道会社の提唱する値を示すと、次の通りである。

  f =0.7キログラム/トン

  c =51キログラム

 これを国有鉄道の貨車ワムに当てはめてみると、積車重量は平均18トンであるから、重量に比例する走行抵抗として

P323_20211205161901

 他に51キログラムの抵抗があるので、総走行抵抗は

P323_20211205162001

となり、1トン当たりは

P323_20211205162002

であって、国有鉄道で使用する貨車抵抗式

P323_20211205162101

より V の値を求めれば、速度は45キロメートル/時強となり、我が国の実情にも大体合致している。

 以上は平坦線における計算であるが、さらに勾配線の場合に付いても研究せねばならぬ。勾配抵抗は重量に比例するものであるから、f の値は急勾配ほど大きくなり、その大きさは重量1トン当たりの勾配抵抗だけが加わるのである。

 また c の値は、空気抵抗等を代表したもので、重量には全然関係がないので、各種の勾配を通じ一定値51キログラムである。

 次表は各種上り勾配に対する f および c の値、ならびに

P323_20211205162201

の比と求めたものである。

P323_20211205162301

 以上により修正トン数は、次の式で表わされることがわかる。


P323_20211205162302

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の値は急勾配ほど小になるから、急勾配ほど実際トン数 W と、修正トン数 Wo との差が小さくなるので、急勾配線においては、ことさら面倒を忍んでこの方法を採用する価値がなく、我が国のごとき勾配区間多き線路状態では、その必要度は少ない。

 

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2022年1月 2日 (日)

機関車の構造及理論:下巻(その212)牽引定数法の種類(1)

第7章 牽引定数法の種類

 機関車の牽引定数は、機関車の形式、支配勾配および列車速度種類による、均衡速度等によってこれを算出すれば良いが、その要点は機関車の引張棒牽引力と等しい様な抵抗を持った客貨車の重量を、牽引せしめることにあるわけである。

 しかるに車両の走行抵抗は前に述べた様に、車両の重量に比例するものではなく、空車の積車よりも1トン当たり走行抵抗が多く、また車両の構造によっても相違がある。

 牽引定数法とは、すなわちこの抵抗をいかなる形で表わすかの方法で、我が国有鉄道で採用している方法は、実際トン数に類似した方法、すなわち重量10トンをもって換算1両とする方法である。

 なお現在知られている牽引定数法を示せば、次のごとくである。

  (a) 現車数による方法

  (b) 実際トン数による方法

  (c) 引張棒牽引力による方法

  (d) 修正トン数による方法

(1)現車数による方法

 この方法は、甲形式機関車は現車60両、また乙形式機関車は現車50両と言う様に、牽引定数を定める方法である。従って車両の大きさがほぼ一定している場合には、極めて簡単ですこぶる実用的であるが、貨物列車の様に貨車の大小、または積空による走行抵抗の差が、はなはだしいものに対しては不適当である。

(2)実際トン数法

 この方法は各車両に付き、その重量を実測する方法で、比較的正確ではあるが、車両抵抗が重量に比例するものでない事と、車両の重量を一々測定することは、日常の業務として非常に面倒であるから、特殊の試験の場合等の他は使用されない。

(3)引張棒牽引力による方法

 引張棒牽引力による方法は全く理想的なもので、牽引定数を求める根本たる、機関車の引張棒牽引力に等しい抵抗を与える車両列を求める方法で、他のいずれの方法よりも勝れている。

 この方法の計算方の例として、機関車の引張棒牽引力を12000キログラムとし、1トン当たり走行抵抗を空貨車6キログラム、積貨車4キログラム、運転区間の勾配抵抗を10キログラム/トン(10パーミル上り勾配)とすれば、牽引重量は次表のごとく牽引貨車の総抵抗が、機関車引張棒牽引力、すなわち12000キログラムに等しくなれば良いのである。

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 引張棒牽引力は同じく12000キログラムでも、貨車の積空により1トン当たり走行抵抗が相違するので、牽引重量は相違し、客貨車の重量割合の減少に伴い増加することがわかる。

 

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