嗤う人形──人生をリセットしたい俺
私の体験談ですが、嗤う人形がしつこいというのが結論でした。今から二年前のことです。私は俺という言葉を使いたがる不良でした。俺はあの女性と関わりたい、学校の宿題が減って欲しい、という欲求を抱えていました。女性は俺をしつこいと思い、担任の教師は宿題を減らさないと言ってきました。俺は女性を憎みました。俺は担任の教師を嫌いました。人生をやめたくなったのがちょうどその頃です。俺は気分転換にと神社へ行きました。そこでお地蔵さんとあどけない人形が目に止まりました。お地蔵さんはニコッとしました。人形もニコッとしました。
俺は「お地蔵さん、なぜ生きているんですか」と訊いた。お地蔵さんは「神主が私を創ったから」と応えた。人形も「神主の運びぞ」と言いました。俺は、どうしたらうまく行きますか、と訊いた。お地蔵さんは「人生をやり直したいか」と訊いた。俺は、はい、やり直したいです、と応えた。本当にやり直したいなら……リセットボタンを紹介してあげよう、と言った。俺は「リセットボタン!?」と驚きを見せた。
お地蔵さん「リセットボタンを押せば、三年前に戻れるよう、手を打ってある」
俺「一年前ではなく?」
お地蔵さん「三年前に設定したからね、最近決めたんだよ」
俺「これを押したら三年前に戻れる?」
お地蔵さん「お前みたいなやつのためにそう決めた」
俺は、一発の賭けに出ようと思った。そう言えば三年前に遊園地に行って思い出を作ろうとしたこともある。おそらく……その辺りに戻るのだろう。
俺は、そのリセットボタンを押したい、押させてくれ、と言った。人形は、そう上手くいくと思うな、と言った。俺は腹が立った。でももう一度やり直すと決めたんだ、こんな奴に高ぶられる俺ではない、と思った。
お地蔵さん「ではこのボタンを押したまえ」
俺「人形よ、悪いけど戻すよ」
人形「戻ってもちゃんと生きていこうぞ」
俺は、ドキドキが走ったことを緊迫感と捉えた。いま、押すのが早ければ早いほどやり直すチャンスがある。リセットボタンを押さない手はないはずだ。今、この手でやり直す戦火の火蓋が切られた。……リセットぉぉぉぉ!!
俺は遊園地にいた。三年前の遊園地に違いない。本当に戻るということは、あり得るんだと驚いた。俺の隣には、俺の弟と父親がいた。不思議なことに、弟の精神は人形が操り、父親の精神はお地蔵さんが操っていた。俺「精神を操るなんて聞いてないぞ」
お地蔵さん「暇だからね」
人形「母親は最初からいないようだね」
俺「人形にも生き方があるから、赦そうとするほかはない」
お地蔵さん「あのジェットコースターに乗りたくはないかね」
俺「それも俺の生き方だ」
人形「弟はジェットコースターのチケットを三枚所持していた」
俺は、ジェットコースターのチケット三枚を係員に見せた。お地蔵さんが過去に現れたかのようだし、正直、人形もついてきて怖かった。頭で収拾がつくことで精一杯だった。家族はいないというのか。お地蔵さんは、リセットボタンを私に渡した。勇気を持ってジェットコースターに乗ろう、とだけ言った。
ガタンガタン、と音がした。大型ジェットコースターが動き始めた。不吉な予感がした。ジェットコースターが壊れる予感がした。
俺「お地蔵さん、何だか怪しいよ」
お地蔵さん「壊れた辺りでリセットボタンを押してみな」
人形「私が不吉を的中させる」
ジェットコースターはすでに動いている。円型の坂を昇る時だった。逆さまに俺は落下した。補助具が取り外され、人形は嗤った。
リセットぉぉぉぉ!!
俺は大声を出した。今度はジェットコースターが動き始めた頃に戻った。乗る前に戻りたいのか、と心の声が聞こえた気がした。
ジェットコースターは逆さまに反転した。
リセットぉぉぉぉ!!
またジェットコースターが動き始めた頃に戻った。どうなっている、壊れたのはリセットボタンもなのか?と焦った。人形はリセットボタンを仕掛けたと言った。
俺「無限ループ?」


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