2007年3月6日付の産経新聞に掲載した連載「わたしの失敗」のアーカイブ記事です。肩書、年齢、名称などは掲載当時のまま。
娑婆にでたら相当羽振りいい
まだ若き検事だったころの話。詐欺で捕まった20歳過ぎの女性の案件が回ってきた。初犯で、しかも美人だったからか(?)、何とか起訴猶予にしてやりたいと思い、上司に相談した。「だったら示談をとれ」ということになって、牛島は東奔西走する。母親を説得して金を出させたり、被害者に次々と電話して告訴を取り下げてもらったりして、和解工作を進めていった。
最後の仕上げは、検察庁の上司に提出する「不起訴裁定書」である。全身全霊を込めて書き上げて提出したところ、大声で怒鳴られた。
「なんだこのセンチメンタルな少女小説は! 書き直せ!」
牛島の「小説」が話題になった、これは最初の出来事だったのかもしれない。