中学受験の夏「最難関校に受かった子は…」 専門家が明かす過ごし方

聞き手・波絵理子

 中学受験を控えた「小6の夏休み」をどう過ごしたらいいのでしょうか。我が子の成績が伸び悩んだとき、保護者がするべきことは。夏に伸びる子の特徴やストレス解消のバランスとは――。尽きない疑問を、中学受験指導サピックスの教育事業本部長・広野雅明さんに聞きました。

まなviva!(学び場)

幼い子どもから、人生のベテランまで。日々の暮らしの中に、学びは満ちています。「学ぶ」をとりまく最新事情を伝えます。

 大手塾では4・5年生で国語、算数、理科の中学受験で出題される分野の学習をほぼ終えます。6年生の夏期講習前までにさらに全分野の復習が一巡します。社会科は6年生の前期に公民分野も終了し、ほとんどの単元の学習が終わります。夏休みには、4教科の基礎を確認した上で、苦手な教科の弱点補強や、徐々にテスト形式の演習を始めて、秋口から本格化する志望校対策の準備をしましょう。

 この時期の家庭学習は、塾のある日は授業で学習した内容の復習を中心に、朝と帰宅後に合わせて数時間。塾のない日は苦手分野の学習や今年各学校で出題された「入試問題集」に取り組みます。

 夏休みに求められる保護者の役割は、塾や公共交通機関の冷房対策を含めた体調管理、水分補給、消化に気を配った食事の管理です。学習計画の立案と教材整理のサポートも必要でしょう。

 今は共働きのご家庭がほとんどです。出勤前にメモを渡したり、塾の前に電話などで話したりと、みなさん工夫されています。ちゃんとやっているか不安があるかもしれませんが、お子さんを信じることが大事です。

 あるいは、そうしたご家庭では、オンライン自習室や個別指導教室などの利用を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。サピックスで紹介しているオンライン自習室では、机の前にスマホを置くと、他の子の自習の様子が画面に映り、刺激になります。後ほど学習風景の映像が保護者に届くのでお子さんの学習の様子もわかります。

各教科「夏に伸びる子」の特徴は

 「夏に伸びる子」の特徴は、算数であれば今までは頭の中だけで考えて、筆算だけで解いていた子が、途中経過の式や図を書きながら解く習慣がつくようになることです。経過を残すことでミスが減りますし、書き出して調べてみたり、図をかいたりすることで解き方を思いつくことがあります。

 国語では、設問や線が引かれた前後しか読まないで問題を解いていた子が、まずは段落分けして文章を精読し、作者の意図を読み取る力がつくと読解力が上がります。理科・社会では一通り知識が定着し、その知識と知識につながりが生じると資料集などにも興味を持つようになります。

 わが子が伸び悩んでいると感じたときは、塾の先生に「うちの子はどんな様子でしたか」と聞いてみてください。私たちはお子さんの様子をよく見ているので「夏期講習中こんな感じで頑張っていましたから、今回のテストで悪かったとしても、ちゃんと実力はついていますよ」などとお伝えすることができます。それを聞けば子どもも頑張れますよね。

実力ついても失敗はある

 それでも頑張れない場合は、先生に「子どもを励まして」と頼むことも効果的。うまく第三者を利用することもときには大切です。

 実際、夏休みはしっかり学習している子とそうでない子の差がつく時期です。ただしどんなに実力がついても、秋口の実力テストや模擬試験で失敗してしまう子は毎年います。

 そんなときは一緒に間違い直しをしてみると、計算ミスや問題の読み間違いなどですぐに理解できることが多いです。お子さんには「実力はついているのだから次回は頑張ろう」と前向きになれるような声掛けをお願いします。悪い点数こそ一番の薬になりますので、保護者もポジティブシンキングになるようお願いします。

隠れてゲーム、寝不足のパターンが最悪

 お盆期間などの塾のない日は、1日、半日でも気分転換の時間を設けることが大切です。昨年は大阪・関西万博へ出かけた子が結構いました。入試に関係のないリフレッシュでもいいんです。ストレスをためないようにすることも大事です。

 林間学校などの学校行事も参加させるほうが良いです。3日くらい講習を休んでも、戻ってきたら集中力を高めてやってくれますよ。

 ストレス解消になるなら、ゲームは完全禁止よりも、リビングなど目が届く場所で「1時間だけ」などと時間制限を設けてみてはどうでしょうか。自室で隠れてYouTubeなどを見て、それで寝不足になるパターンが最悪。目の前で堂々と使わせたほうがいいです。

小さな「頑張り」、見逃さないで

 保護者は、子どもの小さな変化を見逃さず、伸びたところを見つけてあげてください。これまでより5分長く勉強できた、計算間違いが減ったといったことも進歩です。小さな兆しとなって現れる「頑張り」を認めてあげる。そういうことが非常に大事だと思っています。

 最後に伸びるのは塾で頑張れる子です。最難関校に受かった子に聞いてみると、意外にも夏休み中は家でほとんど勉強していない子も一定数いるんですよ。授業のなかで集中して消化できるように臨んでいただくのが一番いいと思います。

広野雅明さんプロフィール

 ひろの・まさあき サピックス小学部で、創業期から算数を指導。算数科教科責任者、教務部長、広報企画部長などを歴任。現在は教育事業本部の本部長として、入試情報、広報、新規事業の諸部門を統括。

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