(SS注意)力持ち

  • 1二次元好きの匿名さん26/06/29(月) 09:30:40

    「んん……っ」

     唇から漏れる小さな声とともに、微睡みから浮かび上がり始めた。
     どうやら、居眠りをしていたらしい。
     未だ頭の中がぼんやりとしていて、思考が上手く働かない。
     ゆっくりと記憶を呼び覚まして行く中、私はある違和感に気づいた。

    「えっ?」

     腕が、動かせない。
     両方の手首を抑えつけられていて、動かすことが出来なかった。
     身体は仰向けになっていて、上からは何かが覆いかぶさっているような気配。

    「……!」

     恐怖心が心臓を叩き、意識が急速に覚醒していく。
     反射的に目が見開き────そこで私は信じられない光景を目にすることになった。

    「…………トレーナー、さん?」

     心優しくて聡明で、私達のことを第一に考えてくれる、私のトレーナーさん。
     そんな彼が、まるで私を押し倒しているかのように覆いかぶさり、腕を押さえつけていた。

     ────あり得ない。

     あのトレーナーさんが、こんなことをするはずがない。
     きっと何か理由や事情があって、誤解されるような状況に陥ってしまっただけ。
     即座に判断した私は、一度心を落ち着かせて彼の様子を窺う。

  • 2二次元好きの匿名さん26/06/29(月) 09:31:51

    「……ッ」

     血走った目、爛々と輝く瞳、荒ぶる呼吸、汗ばんだ肌。
     血管の浮き上がった逞しい太い腕が、私の腕をしっかりと拘束している。
     それはまるで、お腹を空かせた獣のよう。
     私を狙っているのだという意思が、言葉なくとも伝わってきてしまう。
     穏やかな彼も、男の人なんだと自覚させられてしまう。
     それに気づいた瞬間、トクンと心臓が高鳴った。

    「……えっ?」

     自身の身体の反応に、思わず困惑してしまう。
     今の鼓動は、明らかに最初のものとは性質が異なるものだった。
     これではまるで────私がこの状況を、歓迎しているみたい。

    「だ、だめです、こういうのは、まだ、いけません……っ!」

     慌てて、拒むような反応をする。
     しかしそれは、自分に言い聞かせているようにしか聞こえなかった。
     そもそも、彼我の力の差は歴然。
     いくら不利な体勢とはいえ、トレーナーさんの腕力では私を押さえ続けられない。
     つまり、今の私は、本気で抜け出そうとしていないということ。

  • 3二次元好きの匿名さん26/06/29(月) 09:32:56

    「だめ……だめ……です……」

     言葉が徐々に小さくなっていく。
     全身が弛緩していき、彼の欲望を受け入れるように柔らかに蕩けていく。
     トクントクンと期待の早鐘が響き、抵抗の意思が萎んでいく。
     それを好奇と見たのか、彼の表情が微かに歪んで、ゆっくりと近づいて来た。

    「…………っ」

     濡れた唇が、熱っぽい吐息が、濃厚な匂いが、迫って来る。
     気づけば私は、自らを差し出すように唇を尖らせていて────。

  • 4二次元好きの匿名さん26/06/29(月) 09:34:03

    「…………えっ?」
    「あっ、目が覚めた?」

     目を開けた瞬間、そこは見知らぬ道だった。
     脚は地面についていなくて、感じるのは心地良い揺れと浮き上がるような感覚。
     そして、暖かな温もりと爽やかで落ち着いた匂いで。

    「なっ、あっ、トッ、トレーナーさん!? こっ、これは……!?」
    「もう少しゆっくり寝かせてあげたかったけど、閉園時間もあったから」

     記憶が蘇っていく。
     週末、私はトレーナーさんとともにとある小さなテーマパークへと出掛けていた。
     そこのフラワーガーデンが丁寧に手入れをされていて凄いと話題になっていたから。
     実際、様々な種類の花々が彩りよく華やかに育っていて、とても素晴らしい光景だった。
     その日は人も少なく、私達はゆっくりとした時間を過ごしていて、私はそのまま寝てしまったのだろう。

     そして────トレーナーさんは眠る私をおんぶして、ここまで歩いてくれた。

     全てが繋がった瞬間、私は頬は一気に燃え上がって声に鳴らない悲鳴を上げてしまう。

    「~~~~~~っっ!」
    「気にしなくていいよ、俺も少し居眠りしてたしね」

     微笑みを浮かべながら、私を慮ってくれるトレーナーさん。
     しかし、彼は知らない。
     私はその背中に揺られながら、どんな夢を見ていたのかを。
     いかに、はしたなくていやらしい妄想に浸っていたのかということを。
     様々な感情が駆け巡って、顔の熱は全く冷めそうにもなかった。

  • 5二次元好きの匿名さん26/06/29(月) 09:35:17

    「…………あっ、もう降ろそうか?」

     ふと思い出したように、トレーナーさんは問いかけた。
     きっと、私がおんぶされていることを恥ずかしがっている、と思っているのだろう。
     実際のとこと、それも恥ずかしくはあるけれど。

    「………………もう少し、このままでいさせてください」

     ────今はそれ以上に、色んな意味でトレーナーさんの顔を見られそうになかった。
     私の厚かましいお願いに対して、彼は嫌な顔一つせず頷いてくれる。
     しばらく時間が過ぎ、いくらか気持ちが落ち着いた来た頃、一つの懸念が浮かび上がって来た。

    「あの、重くは、ないでしょうか?」
    「むしろブーケはこんな軽かったんだ、って思っているくらいだよ」

     これでも鍛えてるからね、と冗談めかして言うトレーナーさん。
     確かに、無理をしている様子はなさそうだった。
     がっちりととした首筋、広くて大きな背中、私を支える太い腕。
     間近で見る彼の身体は、私が想像している以上に逞しくて立派で、素敵だった。

    「……力持ち、なんですね」

     ぽすんと、トレーナーさんの背中に顔を埋める。
     このドキドキが伝わってしまわないか、不安と期待を心の中で混ぜ合わせながら。

  • 6二次元好きの匿名さん26/06/29(月) 09:36:27
  • 7二次元好きの匿名さん26/06/29(月) 09:41:02

    新たな癖の扉が開かれる!これがウマ娘の望み!ウマ娘の夢!ウマ娘の業!

  • 8二次元好きの匿名さん26/06/29(月) 09:43:19

    エチチチチチチチッッッ(エッチコンロを点火する音)

  • 9二次元好きの匿名さん26/06/29(月) 09:46:36

    内なるラフレシアが暴走してる…しかも淫 夢(原義)を見ることもできる!そんなウマ娘を軽率におんぶするだなんてまったくトレーナーというのは御しがたいな!

  • 10二次元好きの匿名さん26/06/29(月) 09:53:00

    力持ち、なんですね
    夢の内容を改めて思考してそうで良すぎる

  • 11二次元好きの匿名さん26/06/29(月) 09:54:25

    健全(?)な女子中学生だね(ニッコリ)

  • 12二次元好きの匿名さん26/06/29(月) 09:57:52

    トレーナーの匂いに包まれてたから発情したんやろなあ…(ニチャア)

  • 13二次元好きの匿名さん26/06/29(月) 09:58:59

    左耳には用心せい…

  • 14二次元好きの匿名さん26/06/29(月) 10:05:56

    これは…寮に帰ってから冷静にいられるんですかねぇ…

  • 15二次元好きの匿名さん26/06/29(月) 10:18:35

    恐ろしく早い執筆ォ…俺じゃなきゃ見逃しちゃうね

  • 16二次元好きの匿名さん26/06/29(月) 11:05:25

    ブーケちゃんみたいなこの「まだいけません」っていいよね。大好き

  • 17二次元好きの匿名さん26/06/29(月) 19:22:39

    ちょっとお母さんになりたがってそう

  • 18126/06/30(火) 00:59:02

    >>7

    闇が深すぎる

    >>8

    >>9

    因果は巡る

    >>10

    次回は解像度が上がってそう

    >>11

    大健全

    >>12

    つまりトレーナーが悪い

    >>13

    ウマ娘があの目をしたら

    >>14

    悶々としてそう

    >>15

    思い立ったが吉日ということで

    >>16

    個人的お気に入りポイントです

    >>17

    ブーケちゃんは私の母になってくれるかもしれないウマ娘

  • 19二次元好きの匿名さん26/06/30(火) 01:01:00

    植物化ブーケといい業の深い夢を見るブーケ概念ほんとすき

スレッドは6/30 11:01頃に落ちます

オススメ

レス投稿

1.アンカーはレス番号をクリックで自動入力できます。
2.誹謗中傷・暴言・煽り・スレッドと無関係な投稿は削除・規制対象です。
 他サイト・特定個人への中傷・暴言は禁止です。
※規約違反は各レスの『報告』からお知らせください。削除依頼は『お問い合わせ』からお願いします。
3.二次創作画像は、作者本人でない場合は必ずURLで貼ってください。サムネとリンク先が表示されます。
4.巻き添え規制を受けている方や荒らしを反省した方はお問い合わせから連絡をください。