深刻化する悪質ホスト問題 人身売買にも #エキスパートトピ
女性客に多額の借金(売掛金)を負わせ、返済のため売春に追い込む悪質ホストクラブを規制する改正風営法が、2025年6月の施行から1年を迎えた。同法は売掛金を盾にした威迫や恋愛感情を利用する「色恋営業」、性風俗への斡旋などを禁じ、罰則も大幅に強化された。だが歌舞伎町での適用逮捕は1件にとどまり、路上売春で捕まる女性の約4割が動機を「ホスト代」と話すなど被害は続く。むしろ規制をかいくぐり、借金は闇金やブローカーに引き継がれ、女性を海外売春へ送り出す動きすら広がり深刻化しているようだ。
ココがポイント
1月以降に路上で売春の客待ちをしたとして逮捕された女性30人余りのうち、4割近くが動機に「ホスト代を稼ぐため」と話した
出典:毎日新聞 2026/6/29(月)
期日までに返せなかったら、海外に送られる…中略…ホストは女性とホテルに行った際に行為を動画に撮り、スカウトに渡す。
出典:日刊SPA! 2026/1/3(土)
エキスパートの補足・見解
そもそも、「借金」による強制労働は、戦前の典型的な搾取行為だった。特に親が子供を働かせる約束で借金することが横行し、反社がそうした事業を取り仕切っている側面もあった。こうした人身売買の反省から、戦後の労働基準法では賃金を担保に借金(「前借金」)をさせて働かせる強制労働や、働いたお金を別の人物(親含む)に支払うことを犯罪化したのだ。
ところが、グローバルに見ると、借金させることで強制労働させるやり方が貧富の格差とともに拡大しており、「現代奴隷制(債務奴隷)」とも呼ばれる。借金を活用した人身売買はマフィアはもちろん、法的に認められた人材業者によるグレーな手法にまで広がっている。
悪質ホスト問題では、ホスト自身が借金させた女性を雇用していないため、労基法の対象ではないが、実質的に「前借金」や「強制労働」にホストが加担している。さらにそれが海外人身売買ともつながっていることになり、悪質性の高さは際立っている。
借金による不当労働はホスト被害に限らず「闇バイト」などさまざまな隷属的・犯罪的労働の温床となるため、絶対に許してはならない。