ドーハの悲劇をピッチ上で経験(右はオフト監督)
選手にも「国家を歌おう」と伝える
2004年の現役引退後はサンフレッチェ広島の強化コーチを経て監督に就任。チームを6年間で3度の優勝に導いた手腕で指導者としても高く評価された。2017年には東京五輪を目指すU-20代表監督となり、翌2018年からはフル代表の監督を兼務するようになった。
監督として、代表選手にも「国歌を歌おう」と伝えている。日本サッカー協会の公式YouTubeチャンネルでは、2025年7月に東アジアE-1選手権を戦う日本代表に密着した動画を公開したが、そこでは試合前のミーティングで森保監督が「国歌を歌う、みんなOK?」と語る姿がある。森保監督は選手たちにこう伝えていた。
「(応援してくれる人たちが)日本代表のみんなを見て、自分たちも日本人の誇りと大和魂を感じてもらいながら試合に挑むということを一緒にやってもらえるように、そこから入っていけるように、勝つための準備をしていきましょう」
試合に臨むイレブン、そしてサポーターが一体となるために国歌斉唱を重視していることが読み取れる。
ただ、こうした“国を代表する誇り”への思いは、単純な国威発揚に結びつけられるものとも違うようだ。広島県サッカー協会会長、日本サッカー協会副会長などを歴任してきた野村尊敬氏は、君が代で涙する森保監督の思いをこう読み解いた。
「ドーハの悲劇を経験するなど日本代表の辛い時期を知っていることもあるでしょうが、やはり長崎で生まれ、広島で選手・指導者生活を長く続けたことに起因するものもあるのではないか。長崎と広島、世界に2つしかない原爆投下地で、人生の大半を過ごしたわけですからね。
森保君は8月6日の広島、9日の長崎での原爆の日の式典にたびたび参列しています。“平和だからこそ、自分の好きな選択、時間の使い方ができる”と表現していましたが、自分たちがサッカーをできる喜びをすごく感じており、だからこそ日本代表として日の丸を背負った試合で感極まるということなのだと思います」