世論は盛り上がるも、区民は冷めている?
こう訴える岸本氏は、生活困窮者や障害者への支援、ジェンダー平等条例の制定などを区長1期目の実績として掲げている。リベラル色の強い政策や信条について、SNS上では「ステルス共産党候補」「極左」といった批判も根強い。だが本人に受け止めを聞くと、「え、そうなんですか? いわゆるネトウヨの方からのコメントは放っておきます」とあっけらかんとした様子だった。
「メディアも含め、世間は杉並区長選を国政の代理戦争だと捉えて盛り上がっていますが、区民は冷めたものですよ。区長選の存在自体知らない人も多くて、私はむしろそのことを心配しています。私を選ばなくてもいいから、ちゃんと投票に行こうと訴えていきたい」
岸本氏の演説会場とは反対側の駅南口には、「対話の区政を支持します」と書かれたプラカードを掲げ、黒の帽子とマスクですっぽりと顔を覆った女性の姿があった。「対話の区政」とは、区民との意見交換や議論の場を数多く設けてきた、岸本氏のキャッチフレーズだ。
「岸本さんが区長になって、政治が自分の生活のすぐそばにある感じがしはじめたんです」
こう話す女性は、選挙期間中、毎日1~3時間程度の“ひとり街宣”を続けている。岸本氏が選挙活動にYouTubeなどのSNS広告を使わないと宣言したことで、「市民の私たちが立ち上がらなきゃ!」と意を決したという。
街ゆく人の反応はさまざまなようだ。
「『自分は勇気がないけど、立ってくれてありがとう』と声をかけてくれたり、暑い日にお茶を差し入れてくれたりする人もけっこういます。ときには、『お前いいかげんにしろ!』『自分が何を勧めてるか分かってんのか!』と怒鳴ってくる年配の男性もいますが、『そういう主張があるなら、どうぞあなたも道の向こう側に立ってください』と伝えると、捨てぜりふとともに去っていきますね(笑)」