香港168人死亡の高層住宅火災から半年 人災色濃く 背景に親中派「政官業の癒着」指摘

大規模火災が発生し、黒く焼け焦げた高層住宅群=2025年11月28日、香港北部・大埔(西見由章撮影)

【台北=西見由章】香港北部・大埔の高層住宅群で168人が死亡した大規模火災から26日で半年となった。香港当局が設置した独立委員会の公聴会で、出火原因は外壁改修作業員のたばこの不始末とみられることが判明。改修工事では可燃性の資材が使われ、火災報知機や消火栓も使用できない極めてずさんな状況だった。関連業者を監督すべき行政も機能不全に陥っており、「人災」の様相が色濃く浮かぶ。

独立委の顧問弁護士は3月の公聴会で、火元となった棟の1階居室の外で吸い殻2本や焼け焦げた紙箱などが見つかったとし、吸い殻が火災原因となった可能性が最も高いと指摘した。直前に作業員がたばこを吸う様子が監視カメラに写っていたという。住民もたびたび作業員のたばこが危険だと訴えていた。

改修工事では燃えやすい発泡スチロールで窓が覆われていたことから、複数の住民が消防当局や住宅管理当局に通報したが「職権の範囲外」などとして放置された。防火基準に適合しない防護ネットが使用されていたほか、非常階段の防火窓が作業員の出入りをしやすくするため木製に変えられ、外の火煙が建物内に充満する原因となった。

また火災があった7棟の火災報知機や消火栓も数カ月にわたって解除され、火災当時は作動しなかった。

改修工事の入札にあたって受注業者の評価が高くなるよう記録が改竄(かいざん)されたことも判明。親中派政党の区議から改修工事を進めるために圧力をかけられたとの住民の証言も出た。

火災を巡っては2020年の香港国家安全維持法の施行後、議会から民主派勢力が消滅し、親中派による「政官業の癒着」が人災を招いたとの見方が出ている。香港発祥のインターネットメディア「端伝媒」は26日の論評で「火災から半年が経過したが1人の公務員も免職にならず、幹部も責任をとらず、謝罪すらない」と指摘した。

火災では生後6カ月から98歳の168人が死亡。香港で第二次大戦後、2番目に多い死者を出した火災となった。

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