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ネット上で輪姦された女性たち-名前と顔で晒される、もう一つの盗撮


 ある女性が、私に一通のDMを見せてくれました。

 差出人は、知らない名前のアカウントでした。

 メッセージはたった一言。

 「ごちそうさまでした」

 彼女はその意味を、すぐに理解しました。なぜなら、その数時間前に、別の誰かから「あなたの写真が、ある掲示板に貼られています」というDMを受け取っていたからです。

 リンクを開いた先には、彼女の名前と、出身高校の名前と、見覚えのない場所で撮られた自分の写真が、性的なコンテキストの中に並んでいました。

 「ごちそうさまでした」-食事の挨拶を、性的な行為に転用した言葉。その人物は、彼女を特定して、わざわざ「報告」しに来たのです。

 これは、今日も、どこかで起きていることです。


「〇〇高校 〇〇年卒 [名前]」という、紹介カード

このシリーズの前々回(記事⑤)で、ある匿名掲示板に実在する大学名・地域名を冠したスレッドが23件確認できたことをお伝えしました。

しかし、加害者への取材を進めるうちに、公開されている掲示板のスレッドは、流通の一部に過ぎないことがわかってきました。

スレッドが立つ前に、もっと小さな単位で、もっと個人を特定した共有が起きています。

その形式はこうです。

〇〇高校 21年(卒業) [姓名]
〇〇市 〇〇年(生まれ) [姓名]

名前と学校名と卒業年度が揃えば、SNSを検索するだけで対象人物にたどり着けます。これが、加害者の閉じたグループ内で「紹介カード」として機能しています。

公開掲示板のスレッドは、その「紹介カード」が拡散した末路です。被害は、表に出る前から、すでに何重にも進んでいます。


二つの構造-「同級生」と、「見知らぬ他人」

このスレッドが他の盗撮被害と違うのは、加害者の二つのタイプが、同じ場所で混ざっていることです。

タイプ①:内部構造-元同級生・元交際相手による「持ち寄り」

最も多いのが、被害者と同じコミュニティに属していた人物による投稿です。

同級生、部活動の先輩・後輩、卒業生、元交際相手、職場の同僚-「知り合い」だった人が、その関係性を使って画像を集め、外に持ち出します。

加害者への取材で、繰り返し出てきた言葉があります。

 「可愛い子の画像を持っていると、グループに入れてもらえる」

写真は、鑑賞のためだけにあるのではありません。特定の人物の画像を「持っている」こと自体が、閉じたコミュニティへのパスポートになっています。

仕組みはこうです。

  1. 知人・同級生・元交際相手の画像を入手する

  2. 別のチャットアプリ(LINE、Telegram、Discordなど)の非公開グループに「紹介」として持ち込む

  3. 受け取ったメンバーが「褒め合い」「感想を共有する」

  4. そのメンバーが別の画像を持ち込み、次のグループへの入場券にする

一枚の画像が、何十人、何百人の手を渡ります。

ここで崩れるのが、「鍵垢にしているから安全」という前提です。

フォローを承認している相手の中に、この交換経路の一部になっている人がいる可能性があります。同じ学校・同じ職場・同じコミュニティで完結している場合、すでに「鍵」の内側に流通経路が入り込んでいます。

タイプ②:外部構造-見知らぬストーカーによる「収集」

もう一つが、被害者と直接の接点を持たない人物による執着的な収集です。

街中・電車・通学路・SNS -加害者は対象を一度見つけると、複数の経路から執拗に画像を集めます。

取材で衝撃を受けたのは、そのプロファイルの作り込み方でした。一人の被害者について、

  • SNSから抜き出した正面の顔写真

  • 通学路や駅で後ろから撮られたシルエット

  • スカートの透け感や下着のラインがわかる距離からの盗撮

  • 階段やエスカレーターでの逆さ撮り

-こうした画像が何十枚も組み合わされ、一つの「ファイル」として保存・共有されているケースが存在します。

被害者本人は、撮られていることに気づいていません。表向きには、ただSNSに日常を投稿しているだけ。それを背景に、見知らぬ誰かが、誰にも気づかれずにファイルを作り続けている。


発覚は、多くの場合、加害者から知らされる

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被害者が「自分の画像が流通している」ことを知るきっかけは、ほぼ二つに集約されます。

① 匿名の通報DM
「あなたの画像が使われているスレッドがあります」-掲示板を見ていた第三者(多くは女性)が、被害者を特定して通報してくれるケース。

② 加害者本人からの直接DM
姓と顔写真だけでSNSを検索し、被害者のアカウントを特定。「ごちそうさまでした」のような婉曲表現で「報告」してくる。

二つ目のパターンは、加害者からすれば「自分のことを知っている」「いつでも見つけられる」という支配の表明です。性的暴力の延長として、被害者の日常を奪う行為です。

そしてこの二つに共通するのが-被害者が気づいたときには、すでに画像が広範囲に拡散しているという現実です。


削除しても、新しいスレッドが立つ-構造的なイタチごっこ

被害者が最初にとる行動は、「スレッドを通報して消す」ことです。

プラットフォームへの直接通報は、スレッドの削除自体には十分機能します。

しかし-

スレッドが消えると、多くの場合、数時間以内に「〇〇 Part2」「〇〇 復活弾」として、同じ内容の新しいスレッドが立ちます。

加害者が捕まっていないからです。

「コンテンツ」を消しても、画像を持っている人物は存在し続ける。その人物は、より狭い非公開チャンネルに移動し、活動を継続します。

法的手段である発信者情報開示請求にも、現実的な壁があります。プロバイダに対してIPアドレスや個人情報の開示を求める手続きですが、完了まで通常6か月から1年かかります。

加害者は、通報の気配を感じた段階でアカウントを削除します。手続きが終わる前に、痕跡が消えていることが多い-これが、立件率が極めて低い構造的な理由です。


それでも、加害者が「警戒している」唯一の存在

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取材の中で、加害者たちが警戒している存在について話した内容があります。

警察ではありません。

有志の市民アカウントによる、継続的なモニタリングと可視化でした。

これらのアカウントは、こうした掲示板を定期的に観測し、新しいスレッドを発見するとスクリーンショットにモザイクをかけて、XやThreadsで告発・拡散します。「こういうスレッドが今日も立っている」と。

加害者の一部は、このモニタリングを認識していて、**「監視されている」**という警戒感を共有しています。

逆説的ですが、現時点で加害者が最も意識している外部圧力は、法的な摘発でも、警察の捜査でもなく、市民による可視化です。

この現実は、二つのことを示しています。

一つ目:加害者は「公開されること」を恐れている。被害の可視化それ自体に、抑止の意味がある。

二つ目:法制度よりも、市民の継続的な監視の方が実効性を持っている-これは、制度的な限界の証明でもあります。


もし、自分の写真が使われていたら-最初の30分でやること

慌てて動いた結果、証拠を失うケースが多くあります。

順番を、必ず守ってください。

ステップ① スクリーンショットを「先に」撮る

発見した瞬間、まずスクショを撮ってください

記録すべきもの:

  • スレッドのURL(ブラウザのアドレスバーまで含めて)

  • スレッドタイトル・スレッド番号

  • 自分の画像が確認できる投稿(モザイクなしで)

  • 投稿日時・投稿者ID(表示されている場合)

通報や削除依頼は、スクショを撮ってから。順番を逆にすると、削除後に証拠が消えます。

ステップ② ぱっぷすに相談する

民間支援団体のぱっぷす(一般社団法人 ポルノ被害と性暴力を考える会)は、性的画像の削除支援に特化しています。

  • ウェブ上の画像削除依頼の代行

  • 海外サイトへの削除要請

  • 弁護士・警察への同行支援

  • 刑事事件化への支援

  • 無料相談(paps.jp

警察に行く前のワンクッションとして、まずぱっぷすに連絡することで、法的手続きと削除依頼を並行して進められます。これが立件率を上げる現実的な道です。

ステップ③ プラットフォームに通報する

ぱっぷすの支援を受けながら、もしくは並行して、サイト運営に直接通報します。

掲示板の通報フォーム、SNSの違反報告-どのプラットフォームにも窓口があります。「わいせつ画像の掲載」「本人の同意なき個人情報の掲載」として報告できます。

削除自体には一定の効果があります。ただし、これだけでは根本解決にならないことは、前述の通りです。

ステップ④ 警察に相談する

警察相談専用電話(#9110)、または最寄りの警察署のサイバー犯罪相談窓口に連絡します。

該当しうる罪名は、状況によって以下が想定されます:

  • 私事性的画像被害防止法(リベンジポルノ防止法)違反:同意なき性的画像の提供

  • 名誉毀損罪・侮辱罪:性的な文脈での誹謗中傷

  • 児童ポルノ禁止法違反:被害者が18歳未満の場合

  • 肖像権侵害:民事での損害賠償請求が可能

  • 撮影罪(性的姿態撮影等処罰法):盗撮による撮影の場合

「被害届」を出すかどうかは慎重に判断してOKです。捜査記録に自分の画像が含まれることに抵抗を感じる被害者は多くいます。先にぱっぷすや弁護士に相談し、見通しを立ててから決めても遅くありません。


予防——「選ばれにくくなる」ために、今日からできる4つ

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この記事は、被害に遭った後の対応を中心に書きました。でも、一番伝えたいのは予防です。

① SNSを「公開」から見直す

特定のハッシュタグを使っている場合、加害者の検索対象に入っている可能性があります。

  • 学校名・会社名をプロフィールに書かない

  • 制服・ユニフォーム姿の投稿は公開範囲を絞る

  • プロフィール写真を正面の顔写真以外にする(AIによる照合リスクを下げる)

② 卒業アルバム・行事写真の管理を意識する

卒業アルバムのデジタルデータが流出すると、実名と顔写真がセットになった一覧として加害者の手に渡ります。

  • 学校・卒業生グループ内で、アルバムデータを安易に共有しない

  • 文化祭・体育祭・修学旅行の写真をクラウドにアップする際、共有範囲を確認する

③ 信頼関係の中での画像共有に、線を引く

リベンジポルノの加害者は、ほとんどの場合、過去の交際相手・知人です。

  • 親密な相手にも、性的な画像・動画は送らない(「絶対消すから」は守られない前提で)

  • 顔と体が同じ画像に写る写真は、特に注意する

  • 「二人だけの秘密」を求める相手には、その理由を考える

④ 通学路・学校行事での「視線」に気づく

ストーカー型の収集犯は、最初に通学路や学校の周辺で対象を観察します。

  • 同じ場所で同じ人と何度もすれ違う・距離を詰めてくる感覚があれば、信用する

  • 学校・職場に相談する。「気のせいかもしれない」を理由に黙らない


おわりに

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実名と学校名のついたスレッドは、私が取材で見てきた「もう一つの盗撮」の、一つの側面に過ぎません。

匿名掲示板の世界では、風呂、電車、家庭内、職場、Airbnb、ハッキングされたIPカメラ——あらゆる場所のスレッドが、今この瞬間も更新され続けています。それぞれに固有の構造と、固有の手口と、固有の被害があります。

そして、加害者の手口は、年々巧妙になっています。業者になりすます、知人を装う、AIで偽の身分を作る——一般の人がまったく予期しない経路から、被害は始まります。

このアカウントでは、まだお伝えしていないスレッドの実態と、加害者がよく使う巧妙な手口を、これからも一つずつ取り上げていきます。

完全に防ぐことは、できません。
でも、「選ばれにくくなる」ことは、できる。
被害に気づいたときに、最初の30分で動ける——その差が、結果を変えます。

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あなたの大切な人に、ぜひシェアしてもらえると嬉しいです。

次回も、まだ知られていない手口と現実に踏み込んでいきます。


相談・通報窓口

  • ぱっぷす(paps.jp:性的画像削除支援・無料相談・同行支援

  • 性犯罪被害相談電話:#8103

  • 性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センター:#8891(24時間対応・無料)

  • 警察相談専用電話:#9110:性犯罪以外の不審な状況にも対応

  • インターネット・ホットラインセンター(IHC)internethotline.jp):違法・有害情報の通報窓口(児童ポルノ・わいせつ情報など)


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盗撮加害者200人以上に直接取材してきた防犯アドバイザー 自分も友人も被害経験があり、女性を守るために取材を開始 警察でも対処しきれない状況だからこそ個人の意識が最も重要です 盗撮犯罪の事例・手口、それらを未然に防ぐ最新の方法について発信しています
ネット上で輪姦された女性たち-名前と顔で晒される、もう一つの盗撮|えり
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