夜遊び盛りの忠吾が家を抜け出し、遭遇したまさかの事態とはー<鬼平犯科帳ウオーク⑤>清水門から谷中霊園まで

2023年7月5日 06時00分 会員限定記事
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同心・木村忠吾が盗賊団に遭遇する地点を歩き、忠吾になりきる松本さん

江戸を主舞台にした作家・池波正太郎さんの人気作「鬼平犯科帳」。物語に出てくる東京都内のルートを実際に歩き、名作の雰囲気を体感するウオーキングコース紹介の5回目は、憎めないキャラで読者に愛される同心、木村忠吾が登場する作品「谷中・いろは茶屋」から。夜の店のお気に入りの女の子に会いたくてたまらず、夜中に自分の部屋をこっそり抜け出したところ、まさかの事態に遭遇する忠吾。そんな彼をいじってあげる心持ちで、東京のそぞろ歩きを満喫してください。(文・松本英亜ひでつぐ、編集・中山高志)=6回目は6日朝に公開します。

(東京新聞Webは、「鬼平」ゆかりの地計700カ所以上を踏破した松本英亜さんに、自らの体験も踏まえてルートを設定した「鬼平ウオーク」コースを紹介する記事を寄稿していただきます。)

ウオーキングコースをグーグルマップに落とし込んでみました。スマートフォンでぜひご覧になり、実際に歩いてみてください(スタート地点を緑色のハートマークにしています。地図右上の□のようなマークをクリックすれば、拡大地図が表示されます)。

◆「谷中・いろは茶屋」のあらすじと登場人物(文春文庫2巻2話)

江戸の特別捜査機関・火付盗賊改方ひつけとうぞくあらためかたの同心・木村忠吾は独身ひとりみの24歳だ。市中見廻りの担当区域は上野、谷中である。
忠吾は見廻り中、谷中の遊所(岡場所)「いろは茶屋」にある「菱屋」という店に上がり、お松という娼婦に出会う。すっかり夢中になって通い詰め、わずかな蓄えを使い果たす羽目になる。
それでも懲りずに通い続ける忠吾だが、担当替えで市中見廻りから内勤の事務方へ異動となってしまう。もう自由に外出ができない。じりじりする忠吾。
ある夜、お松恋しさに役宅内の長屋を抜け出し、谷中へ向かった。善光寺坂を上って一乗寺の角を曲がったところで、黒装束の盗賊団と遭遇する。
1791(寛政3)年のことである。
今回は、忠吾が火付盗賊改方の役宅を抜け出し、谷中の「いろは茶屋」へと向かうコースを歩いてみた。

◆原作の舞台を歩く 忠吾になりきって

①清水門外の火付盗賊改方の役宅と「北側の堀川沿いの通路」

清水門

九段下駅(東京メトロ半蔵門線・都営新宿線)の4番か6番出口を出て、九段下の交差点から内堀通りを南へ行く。間もなく、右手に清水門、左手に千代田区役所が見えてくる。忠吾の住む長屋がある火付盗賊改方役宅は、この区役所の辺りとなる。

千代田区役所

今回は、区役所の裏側を流れる日本橋川に架かる宝田橋南詰(区役所の西北角に当たる)をスタート地点とする。
日本橋川南岸の細い道が、原作の「役宅北側の堀川沿いの通路」で、かつてこの辺りの川は、「飯田堀」と言われた。

右手が日本橋川と宝田橋。この道が、物語でいう「堀川沿いの通路」に当たる

忠吾はこの「堀川沿いの通路」を左へ(西へ)行き飯田町へ出た。私たちも、首都高速の高架下を流れる日本橋川を右手に歩き出してみよう。

②古書店街を通り抜け、外堀通りを北へ

原作では、飯田町に出た忠吾が「汗みずくとなって外神田から湯島まで抜け」と記しているが、具体的なルートは書かれていない。
そこで私たちは、日本橋川に架かる俎橋を渡って「靖国通り」を東へ行く。古書店街やスポーツ用品店街を眺めながらしばらく歩き、淡路町の交差点を左折して「外堀通り」を北へ進む。昌平橋を渡って外神田へ出る。
ちょっと後ろめたい気持ちを抱きつつも、お松に会いたい一心にかられ、夜の江戸の道を汗まみれになって歩く忠吾。想像すると、ちょっと笑えてきますね。
「昌平橋通り」を北へ行き、神田明神下の信号を渡り、妻恋坂の信号で「蔵前橋通り」を越える。しばらく歩くと湯島一帯に差し掛かる。天神下の信号で「春日通り」を越えて直進する。

③不忍池をちょっと眺め、根津へ

6月中旬の不忍池。まだハスの花は咲いていない。向こうに見えるのは弁天堂

さらに「昌平橋通り」を北へ行き、池之端1丁目の信号で「不忍通り」を渡って不忍池へ突き当たる。この辺で休憩してもよい。7月になると不忍池の花が見頃を迎える。ピンクの花を散りばめた緑の蓮の葉に、朱塗りの弁天堂が浮かぶ光景は見事なものである。
右手に不忍池を見ながら、「不忍通り」を北へ進む。「不忍池の西側を根津に出る」と原作にあるのはこの辺りとなる。

④忠吾が通い慣れた善光寺坂を上る

善光寺坂を上る松本さん。足取りは軽い

根津1丁目の信号を右折して「言問通り」を北東へ行く。忠吾が「通いなれた」善光寺坂はこの道で、ゆるい上り坂になっている。
忠吾は、坂を上り切った辺りにある一乗寺の角を左折し...

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