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製品

2026.06.27 16:00

禁輸対象のイスラエル製ツール、ロシアで反体制派のiPhone解析に使われる

stock.adobe.com

ミャンマーやセルビアでも使われ、ICEとも最大規模の契約を結ぶ

セレブライトはナスダック上場企業で、2026年1〜3月期の売上高は1億2800万ドル(約192億円)を記録した。同社は人権状況が悪い政権に技術を販売しているとして広く批判されてきた。ミャンマー当局は2019年、セレブライトの機器を使用し同国にいたロイター記者の携帯電話を解析した。アムネスティ・インターナショナルは2024年、セルビア当局がセレブライトの技術を使って調査報道ジャーナリストと学生の抗議活動参加者の端末にアクセスしたと報告した。セレブライトはその後、ミャンマーとセルビアの双方で販売を停止したと説明した。

セレブライトはまた、トランプ政権下で不法移民の居住者に対する強硬な取り締まりをめぐって批判を浴びた移民・関税執行局(ICE)に対する最大の携帯電話フォレンジック(デジタル鑑識)プロバイダーでもある。2025年9月には、これまでで最大となるICE向け受注を獲得し、1110万ドル(約17億円)の契約を結んだ。

逮捕・投獄を経たピボバロフがイスラエルを批判

2021年、ピボバロフは「好ましくない」組織とされた民主化支援の非営利団体Open Russia(オープン・ロシア)を運営したとしてロシアで逮捕され、2024年まで収監された。その後、東西間の歴史的な囚人交換の一環として釈放された。ロシア当局は2021年から2023年まで彼の携帯電話を保有し、その後、弁護士に返却した。

現在ドイツで暮らすピボバロフはForbesに対し、同国技術の対外輸出を規制するイスラエル国防省が、セレブライト製品の対ロシア輸出を認め、反体制派への使用を許したことに驚いていると語った「自由のために闘う国家が、イランを支えるロシアの独裁体制を助けているのは本当に悲しい」と彼は言う。「イスラエルは、ロシアで自由のために戦う人々に圧力をかける手助けをしている」。

ピボバロフのiPhone 12がセレブライトのデータ抽出ツールに接続され、ロシア連邦保安庁の標的に

Citizen Labの研究者がピボバロフのiPhone 12を分析したところ、2021年6月にUSB経由でUFED(Universal Forensic Extraction Device)に接続されていたことが分かった。UFEDは、セレブライトの主力モバイルデータ抽出ツールである。ピボバロフはiPhone 12のパスコードをロシアの捜査当局に渡していないため、捜査当局がUFEDを使って端末に侵入した可能性が高い。

Citizen Labによれば、捜査当局はその後、ピボバロフが代表を務めたOpen Russiaの同僚など、特定の連絡先を端末から抜き出した。そして研究者によれば、こうして抜き取られた連絡先の一部が、その後FSB(ロシア連邦保安庁)の関与するサイバー監視作戦の標的となった。標的とされた人々には、オンラインアカウントを乗っ取ろうとするフィッシングのメッセージが送られたという。

次ページ > 遠隔停止機能の効果は不明、旧式機材は使われ続ける

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経営・戦略

2025.06.09 16:00

iPhoneロック解除で有名なセレブライト、「スマホ仮想化」の新興を290億円で買収

ShU studio / Shutterstock.com

ShU studio / Shutterstock.com

警察や軍のオペレーションを支援するデジタルフォレンジック(電子鑑識)大手のCellebrite(セレブライト)は6月5日、iPhoneの仮想化技術で知られるフロリダ州のスタートアップCorellium(コレリアム)を2億ドル(約288億円。1ドル=144円換算)で買収したと発表した。この大型合併により、法執行機関が押収した電子機器からデータを抽出するための、かつてないツール群が提供されることになる。

コレリアム創業者のクリス・ウェイドにとって、大きな成功

この買収は、コレリアムの創業者兼CTOのクリス・ウェイドにとって大きな成功といえる。彼はこの5年間でアップルからの著作権訴訟を和解に持ち込んだほか、2000年代半ばに関与したサイバー犯罪に関してもトランプ大統領から恩赦を受けている。ウェイドは刑務所入りを免れ、その後は米司法省のために潜入捜査に従事した。

ウェイドは今後、セレブライトの最高技術責任者(CTO)として新たなキャリアをスタートさせる。ナスダックに上場するセレブライトの時価総額は40億ドル(約5760億円)で、2024年の売上は4億ドル(約576億円)を超えている。買収額の内訳は、現金が1億5000万ドル(約216億円)、譲渡制限付き株式が2000万ドル(約28億8000万円)、さらに今後2年間の業績目標の達成に応じて支払われる3000万ドル(約43億2000万円)とされている。

「私たちは何年も前からコレリアムの製品を使ってきた」と話すホーガンは、今年初めにウェイドが会社の買い手を探していることを知ると、即座に交渉に乗り出し、最終的な受け皿になることを目指したという。

ウェイドは、毎年150万件の法執行機関の捜査で使用されるツールを開発したセレブライトに参加できることに興奮していると語った。「これは驚異的な数字だ。現実世界に与えるインパクトを想像してみてほしい。そういうものに関わりたかったんだ」と、彼はフォーブスに語った。

次ページ > ロック中のスマホやPCにアクセスできるようにする、セレブライト

編集=上田裕資

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テクノロジー

2025.12.12 11:00

アップルの「iMessage」にプーチンが手を出せない理由

ロシアのプーチン政権は米アップルのビデオ通話アプリ「FaceTime」を禁止する一方、メッセージアプリの「iMessage」は規制していないようだ=写真ゲッティ

ロシアのプーチン政権は米アップルのビデオ通話アプリ「FaceTime」を禁止する一方、メッセージアプリの「iMessage」は規制していないようだ=写真ゲッティ

ロシアは米国のテクノロジーに対する締め付けを強めている。メタのメッセージアプリ「WhatsApp(ワッツアップ)」は「法律違反や非合法活動への利用」を理由に段階的に排除されており、このほどアップルのビデオ通話アプリ「FaceTime(フェイスタイム)」も禁止された。ロシアの通信規制当局ロスコムナゾールはFaceTimeについて「国内でのテロ攻撃の組織・実行、実行犯の勧誘、ロシア国民に対する詐欺やその他の犯罪行為に利用されている」と主張している。

だが、同じくアップルのメッセージアプリ「iMessage(アイメッセージ)」は引き続き使える状態にある。画像共有アプリ「Snapchat(スナップチャット)」でさえ新たに規制対象になったというのに、アップル内製の完全に暗号化されたメッセージアプリはそれを免れたようだ。テック系ブログ「Daring Fireball」を運営するジョン・グルーバーは、ロシア当局によるFaceTimeの禁止を「ロシアの犯罪率はたちまち急落するはずだ」と皮肉りつつ、「なぜiMessageもブロックされないのか不思議だ」と言い添えている。

最もありそうな答えを「Mastodon(マストドン)」のあるユーザーが示している。どうやらアップルはiMessageをリリースした際、携帯電話キャリアの目をかいくぐる形でシステムに組み込み、キャリア自体が運営するショートメーッセージサービスを弱体化させていたらしい。iMessageはiPhone(アイフォーン)のプッシュ通知と同じプラットフォーム上で動いており、これは当時、iPhone独自の大きな売りだった。iMessageとiPhoneのプッシュ通知は切り離せず、iMessageを遮断しようとすると、iPhoneのプッシュ通知サービスで動作するほかのアプリの通知も機能しなくなるおそれがあるのだ。

機内Wi-Fiを利用しているときに、メッセージアプリ自体がネットにつながっていなくても、そのプッシュ通知は届くのも同じ理由のようだ。

暗号化メッセージには規制強化の波

今後の動向にも注意する必要がある。暗号化メッセージはロシアに限らず、各国・地域で規制案や法律案の嵐にさらされている。たとえば欧州連合(EU)は通信内容のスキャンをサービス提供者に義務づける規制案、通称「チャットコントロール」を進めており、これは懸念すべき長い動きの始まりのように見える。英国もアップルのクラウドストレージサービス「iCloud(アイクラウド)」の「高度なデータ保護」ポルノサイトの規制に続き、クラウドストレージ全般を監視したがっている。

iMessageは非常に優れたサービスだ。複数のプラットフォーム上で動作するクロスプラットフォームで、完全にエンドツーエンド暗号化(E2EE)されたその仕組みは、業界最高クラスと言ってもいいだろう。それでも、セキュリティー面で依然として大きな穴がある。iPhoneと、グーグルの基本ソフト(OS)「Android(アンドロイド)」を搭載したデバイス間で、安全にメッセージをやり取りする方法がいまだにないのだ。WhatsAppはそれを10年近く前に実現しており、もう2025年なのだから、いい加減この状況は変えるべきだ。

iMessageがロシアのウラジーミル・プーチン政権による禁止を免れた理由について、前出の説明はもっともらしいが、ロシアがアップルユーザー同士の暗号化通信を妨害する手段はほかにもある。もっとも、米国以外のほとんどの国ではiMessageはWhatsAppほど使われておらず、ほかの数多くのメッセージアプリのひとつにすぎないのが実情だ。プーチンやその検閲当局者は、そもそもiMessageのことをたいして気にしていないだけなのかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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テクノロジー

2026.01.25 10:00

米MS、FBIにWindows暗号化機能の「解除用鍵」提供──ICEやトランプ政権下での危険性を問う声

Photo by Andrew Leyden/Getty Images

Photo by Andrew Leyden/Getty Images

マイクロソフトは、Windowsのドライブ暗号化機能BitLocker(ビットロッカー)の回復キーについて年に約20件の要請を受けており、有効な裁判所命令に基づき各国政府に提供すると述べた。一方、アップルやメタなどは、そもそもそのようなプライバシー侵害が起きないようシステムを設計しているという。

FBIがマイクロソフトに捜索令状を送付、BitLockerの回復キー提供を求める

昨年初め、FBI(米連邦捜査局)はマイクロソフトに捜索令状を送達し、ノートPC3台の暗号化ドライブを解除するための回復キーの提供を求めた。それらドライブに保存されているデータを取得するためだ。グアムの連邦捜査官は、同島の新型コロナ(Covid)失業支援プログラムを扱っていた人物らが資金を盗む企ての一員だったことを立証する助けとなる証拠が、これら端末に入っているとみていた。

データはBitLockerで保護されていた。BitLockerは、多くの最新Windows PCで自動的に有効化され、コンピューターのドライブ上の全データを守るソフトウェアだ。ドライブ全体を暗号化し、回復キーを持つ者だけが復号できるようにする。

Microsoft アカウントに回復キーを保管するとパスワード忘れに対応できるが、法的令状には脆弱に

BitLocker利用者は、自分の所有する端末やUSBメモリーなどに回復キーを保存できるものの、マイクロソフトは利便性のためにMicrosoft アカウント(同社クラウド)に保存することも勧めている。そうすれば、パスワードを忘れた場合や、ログイン失敗が続いて端末がロックされた場合でもデータにアクセスできる。一方で、法執行機関による召喚状や令状の対象になりやすくなる。

グアムの件では、マイクロソフトは捜査官に回復キーを引き渡した。

有効な法的命令があれば回復キーを提供すると認めるが、多くはMicrosoft アカウントに保存せず

マイクロソフトはForbesに対し、有効な法的命令を受け取った場合、BitLockerの回復キーを提供すると認めた。広報担当のチャールズ・チェンバレインは、「回復キーによる復旧は便利ですが、望まないアクセスのリスクも伴います。ですからマイクロソフトは、お客様が……鍵をどのように管理するかを決めるのが最善だと考えています」と述べた。

同氏によれば、BitLockerの回復キーに関する要請は年に約20件あるが、多くの場合、利用者はMicrosoft アカウントに保存しておらず、マイクロソフトは支援できないという。

過去にバックドア設置を拒否した経緯はあるものの、回復キー提供の実例が初めて判明

グアムの件は、ワシントン州レドモンドに本社を置く同社が、法執行機関に回復キーを提供したことが確認された初めての事例だ。2013年には、マイクロソフトの技術者が、政府当局者からBitLockerにバックドアを仕込むよう持ちかけられたが、要請を断ったと主張していた。

次ページ > 「ICEやトランプの手下が鍵を秘密裏に入手できることは、利用者本人と家族を危険にさらす」

翻訳=酒匂寛

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