長子組
初めまして!
初投稿…、初小説です!
一応知人に教えてもらいながら書いたので変なところはない…はずです! 夜桜さんちに最近ハマりました。
一気に読んだので解釈違いがあるかもです。すみません🙇
ネタバレありです
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真っ暗な廊下にぽうっとオレンジの光が浮かぶ。その直後、ギシ…ギシ…という木の軋む音のような足音。
これは、ホラー小説ですか?
と思ったそこのあなた。いいえ、違います。
これは、夜桜家の長子二人のお話です。
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夜桜二刃は、夜中にぱっちりと目を開けた。
今日は深夜に任務があるのだ。
素早く、どこかのプリンセスが着ていそうな可愛らしいパジャマから、全身真っ白のロリィタ服に着替え、髪をセットしてから、ベッドを降りる。
すると、床のひんやりとした温度が、足に直接伝わってきた。 靴を履き忘れのだ。
慌てて靴を履いていると、突如ドアがノックされた。
「○☆÷々〆#21+々→56#5〆^_^‼︎‼︎⁇ッッ」
声にならない悲鳴をあげて手当たり次第に物をぶん投げる。 ものすごい音を立ててドアが破壊され、そこにいた人物が降参というように両手を上げた。
「いやぁ、どうしたんだ二刃。
何かあったか〜?」
夜桜凶一郎。二刃のたった一人のとても憎たらしい兄だ。今日も今日とてヘラヘラとした余裕そうな笑みを浮かべている。
「はぁ…はぁ…あんたが急にノックしたからだろ‼︎💢」
「二刃はノックしなくたって怒るくせに〜」
ぷぷっと笑った顔がまた憎たらしい。
しかし言っていることは正しいため二刃は黙った。
「お?もしかして、腕が短すぎて靴に手が届かないのか〜? 兄ちゃんがやってあげようか〜?グフっ」
二刃の蹴りが脇腹に命中した。静かになっているうちに靴紐を結ぶ。凶一郎が目覚める時には既に家の外に出ていた。
任務はすぐに終わった。
二刃と凶一郎は、そのまま家に帰ろうとしたが、二刃が呼び止めた。
「この近くに綺麗な桜の名所があるんだ。
暇だったら行かないかい?」
凶一郎は暫くぼーっとしていたが、不意に微笑んで声を上げた。
「お言葉に甘えて」
山道を暫く歩いて行くと、急に道がひらけてきて、明るい月明かりと綺麗な桜が見えてきた。その手前は崖になっていて、落ちないように鉄柵が付いている。
二人はその鉄柵に手をついてしばらく桜を眺めていた。
月に照らされて散る夜桜は、人工的にライトアップされているようにとても幻想的だ。
儚く散る夜桜。
今の自分たちにはぴったりかも知れない。
数日前の事件で、父さんが消えた。
帰ってきた六美も、傷を負っていた。
両親がいない今、自分たち長子がしっかりしなければならない。
そうでなければ、この景色の様に、夜桜は散ってしまうかも知れないのだ。
凶一郎と二刃は強い責任を感じていた。
だが、もっと責任を感じているのは凶一郎だと二刃は思った。
凶一郎は長男なのだ。
自分だって長女だが、凶一郎は年上だ。
「何か…悩んでいることでもあるのかい?」
二刃は唐突に聞いた。
凶一郎がハッとしたように二刃を振り返る。
そして、また前をじっと向いて呟いた。
「………わかるのか」
二刃は哀しそうな顔をして、
「あたしは、長女だからね」
凶一郎は、二の腕のあたりをぐっと握った。
「………怖いんだ。俺一人で、みんなを守れるのか…いや、違う。俺は六美に怪我を負わせてしまった。守れなかったッ……」
凶一郎の背中が細かく震えている。
いつも自分よりも先にいた唯一の兄。
時には馬鹿にしてきたし、時には慰めてくれた。悔しかった。
兄が支えてくれたように、自分が支えてあげたかった。頼られて欲しかった。一人で抱え込んでほしくなかった。
長女として、共に歩んでいきたかった。
二刃は凶一郎の震える右手に自分の小さな手を重ねた。凶一郎が驚いたように二刃を振り返る。
「あたしも、長女だよ、凶一郎_‼︎一人で抱え込むな……‼︎」
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「母さん!!あたし金級の試験合格しきた‼︎」
あれは8年前のある日のことだった。
大声をあげてリビングのドアを勢いよく開けたのは、長女の夜桜二刃だ。
その声に、母親である夜桜零と、父親である夜桜百、そこに居合わせた三男が振り返る。
はじめに二刃の元に行ったのは零だった。
二刃のことを抱き上げすりすりと頬擦りする。
「すごいじゃない二刃〜よくやったわね」
「でしょ〜⁇あれ?凶一郎は⁇」
「あぁ、あの子は今、任務中よ。凶一郎がどうかした?」
「別に…ただちょっと自慢してやろうかと思っただけ」
すると、零が優しく声を掛けて、微笑んだ。
「素直になればいいのに。凶一郎に会いたいんでしょう⁇」
二刃が目を大きく見開いて、すぐに逸らした。
「別に…そんなんじゃないしっ」
零がくすくす笑いながら二刃の頭を優しく撫でる。すると、弟が駆け寄ってきた。
「ねぇねぇ、なんの話してるの?」
辛三が聞いてくる。
二刃はなるべく顔を見られないようにしながら、ボソッと言う。
「別に…なんでもないよ」
その時。
「ただいまー」
噂をすれば影がさすと言う様に、凶一郎が帰ってきた。
「凶一郎!」
二刃は咄嗟に零の腕の中から抜け出し、凶一郎のもとにかけて行く。凶一郎が不思議そうに二刃を見つめた。
「二刃、どうかした?なんか急いでるみたいだけど…」
二刃はドヤ顔で自慢する。
「あんたよりも先に金級試験合格してきたよ」
「なっ!?」
凶一郎はガーンと効果音が聞こえそうな顔をして捲し立てる。
「くそ〜!絶対にすぐ追い越してやるからな!」
「さぁ、どうだかね?あたしのほうが上なんだから、そろそろ諦めた方がいいさね」
「なんだと!?9歳から今まで3cmしか身長伸びてないくせに!」
「はぁ?💢」
長子同士の喧嘩を始めようとしていると、零が止めに入る。
「こらこら…喧嘩しないの。あなたたち、前の喧嘩で家半壊させたこと反省したって言ってたけど、本当なんでしょうね?」
零の言葉に凶一郎はそっぽを向く。二刃はしっかりと零を見て話し出す。
「反省はしてるよ…ただ、こいつがムカつくのが悪いッ」
「こらっ!もう、本当にこの子達は…」
零は額に手を当ててどうしたものかと悩んでいたが、ふと思いついたように指を鳴らす。
「そうだわ!今日は二人で寝てみたら?」
「「………………は?」」
二人が声を揃えて首を傾げる様子を見て、零も、こう言うところは仲良しなのにと首を傾げる。
「二人で寝るの。今日の夜ね。話し合ってごらんなさい、あなたたちってば、私が何を言っても変わらなさそうだしね」
すると、二刃が凶一郎のほっぺに指を突き刺しながら叫ぶ。
「こいつと?寝る⁉︎母さん正気⁉︎絶対にイタズラしてくるに決まってるっ‼︎」
「失礼な‼︎二刃こそ寝相悪いんだから、寝てる時に蹴ってきてうるさいに決まってる‼︎」
二人は顔を見合わせて取っ組み合いの喧嘩を始める。
零が呆れたようにため息をついていると、百が近づいてきて、二人の喧嘩を止める。
「こら、二人とも。母さんに迷惑をかけるんじゃない。それに、これからのことを考えたら、お前たちが仲良くなることは重要なことなんだ」
二刃が首を傾げて
「なんでさ。こいつと仲良くしたっていいことなんてないよ」
すると、百が少し哀しそうな顔をして言う。
「もしも…もしもの話だ。父さんと母さんが、消えてしまったらどうする?」
二人はきょとんとして顔を見合わせた後、早口で言う。
「そ、そんなの、そんなこと起こるわけないさね!」
「そうだよ!僕たちが守るんだから!」
少し涙目になってしまった二人の頭を優しく撫でながら、百は諭すように言う。
「そうだな…でも、父さんは今、もしもの話をしているんだ」
二人は黙り込む。しばらくして、二刃が口を開く。
「もしも…母さんと父さんがいなくなったら……私と凶一郎が、夜桜家の大黒柱にならなきゃいけない」
その言葉を聞いた百は、すぐさま二刃を抱き上げて頬擦りする。
「その通りだ!さすが我が娘!」
「ぎゃあああぁぁ!!!!」
二刃が悲鳴をあげていると、凶一郎が呟いた。
「だから…僕たちが仲良くすることが大事なの?」
百が優しく微笑んで肯定する。
「その通りだ。二人とも、仲良くするんだぞ」
その日の夜。
二人は零に言われた通り、二刃の部屋のベッドに寝転がる。凶一郎がベッドの上で跳ねながらはしゃぐ。
「すごい!二刃のベッドふわふわだ!」
そう言いながら二刃を振り返る凶一郎。
しかし二刃の顔は険しい。
「二刃…?」
凶一郎が不思議そうに二刃を見つめていると、やがて二刃はベッドの中に潜った。そして小さく呟く。
「…私はもう寝るから」
しばらくすると、か細い寝息が聞こえてくる。
凶一郎も布団に潜り、寝ようとするが、なかなか眠りにつけない。しばらくして、凶一郎は二刃に声を掛ける。
「二刃、起きてる…?」
数分経っても返答はない。
寝ちゃったよね…と思いながら、凶一郎は寝返りを打つ。
「……起きてるよ」
二刃の返答に凶一郎は嬉しそうに振り返る。
二刃は、天井を見上げながら言う。
「凶一郎、私たちだけの約束を作ろう」
凶一郎は不思議そうに首を傾げる。
「…約束?」
「そう。その約束を破ったら、一発殴ってやるんだ」
二刃らしい言葉に凶一郎は笑う。
「あははっ、なんか二刃って感じ!…わかった。
じゃあさ、お互いのことを信用し合う!にしようよ!」
二刃も少し笑って
「いいね。凶一郎にしてはいい案じゃん」
二人は小指を結んで指切りげんまんをしながら顔を見合わせた。そして、声を合わせて言う。
「約束」
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月明かりに照らされながら凶一郎はふ,と笑う。
「そういえばそんなこともあったな。懐かしい」
二刃も笑いながら
「約束は守ってもらうからね。覚悟しときな」
「言われなくとも」
二人は顔を見合わせながら笑った。
月明かりに照らされた長子組の背中はとても頼もしかった。