ポテチの袋に絵を描くと責められる話
ふと通知欄を開いて、思わず目を疑った。
ただの一介のオタクが己の性癖と平穏な日常を守るための切実なぼやきを書き殴っただけの文章に、予想をはるかに超えるたくさんのいいねがついていて正直とても驚いている。
共感してくれた方、そして長い文章の数々を最後まで見てくれた皆さんに、まずは心からのありがとうを伝えたい。本当にありがとう。
しかし私の文章に共感してもらえたと言うことは皆さん大なり小なり私が挙げたような一部の人々に辟易し、疲れているということで、それ自体は喜ばしいことではないのだが、沢山の人に見て共感もらえたと言うのはやはり嬉しかった。
そんな嬉しさで鼻歌を歌いながら眺めていたタイムラインで、今日はちょっとした平和なトレンドを見かけた。
昨今の情勢の影響で白黒になったポテチのパッケージ。しかしそこは、常にキャンバスを求めてやまない絵描きたちである。
彼らは白黒のパッケージを逆手に取り、余白にマジックで思い思いのイラストを描いて遊ぶというオタク特有の楽しげな文化を生み出していたのだ。
「可愛い!」「自分も今度やってみよう!」
引用欄にはそんな声が溢れ、みんなで和気藹々と楽しむ、いかにも平穏でオタクらしいほのぼのとした日常の光景が広がっていた。
しかし、その穏やかな流れの中に突如としてあまりにも異質な引用がいくつか現れたのだ。
総合すると、概ねこのような主張である。
悪の政府のせいでポテチのパッケージが白黒になったのに、政府に怒らず、こうやって愚かな国民が勝手に楽しんでくれるから、為政者はほくそ笑んでいるだろう。
どうした急に。
皆で和気藹々とポテチの袋に絵を描いてキャッキャしているだけのほのぼの日常イベントに、急に新キャラ・ほくそ笑む為政者を実装しないでほしい。
ジャンルも世界観も違いすぎるし、誰もそんな追加DLCはダウンロードしていない。
こういう手合いの人々は、一体私たちがどんな顔をして、どんな行動をとれば満足してくれるのか、私にはかなり本気でわからない。
彼らとグッドコミュニケーションを取るためには、スーパーの菓子コーナーに足を踏み入れた瞬間、白黒になったポテチのパッケージを見るなり青筋を立ててブチ切れて奇声を上げながら陳列棚を粉々に破壊でもすればいいのだろうか。
それともパッケージを胸に抱きしめてハラハラと涙ぐみ、スーパーから全速力で飛び出して、国会議事堂の方向を憎々しげに睨みつければ合格をもらえるのだろうか。
普通にクレーマーを超えたモンスターである。
平時の雰囲気を壊して今は異常時なのだと政府にアピールしろと言うけれど、彼らの要求するそのパフォーマンスは社会生活を営む上で明らかにラインを越えた異常行動だ。
そんなことを現実でやったら為政者がどうこう以前に、普通に警察や警備員が飛んでくる。
それとも、物理的な行動を求められていないと言うのなら、白黒のポテチを目にした瞬間に条件反射で即座にスマートフォンを掴んでSNSを開き、目を血走らせながら現職の総理大臣への罵詈雑言をタイムラインに書き殴ることこそが、彼らの言う良識ある大人として求められる振る舞いなのだろうか。
最悪版のパブロフの犬?
白黒のパッケージという刺激(ベルの音)に対して、政治への怒りという涎を垂らす訓練でも受けろと言うのだろうか。ずっと思っていたがディストピアの才能がありすぎる。
そもそも、彼らは絵描きという生き物の生態を根本的に何も分かっていない。
絵描きというのはそこに何かが描けそうな余白があったら、理屈抜きで無意識にペンを握ってしまう生き物なのだ。
それは政治的な意図や政府への抗議なんて理由からではない。訓練なんてものもされていない。
ただの病的な習性だ。
ノートの隅。チラシの裏。教科書の偉人の顔。そして白黒になったポテチの袋。
そこに空白があれば、私たちはただ「そこに描けるものがあるから」という純粋な衝動だけで可愛いイラストや自分の好きなドスケベを描き込んでしまう。
それなのにそんな無害で習性に抗えない生き物に向かって「お前は現状を理解していない」「ヘラヘラと戦争に加担するな」と、政治の棍棒を予想できない角度で振り下ろしてこないで欲しい。
彼らは全人類が自分たちと同じように、24時間365日高市総理への怒りに脳を支配され、社会の危機に怯え続けるべきだという強固な思想の中に生きている。
でもその思想のレンズを少しだけ外して、現実を見渡してみてほしい。
世界は彼らが思うほど一枚岩ではないし、彼らの作るディストピア二次創作のプロット通りには動いていない。
ポテチの袋に可愛い絵を描く人はただの可愛いものが好きな人だ。
スーパーで陳列棚を倒さず平然と買い物をしている人はただ今日のご飯のおかずを考えている人だ。
そして私は、ただただ自分の愛する推しカプの三角筋を美しく仕上げることに命を懸けている、ただのドスケベオタクだ。
全員が同じ怒りを共有し同じ方向を向いて叫ばなければならない世界なんて、それこそ彼らが最も嫌う「独裁国家」そのものではないか。
彼らにとっての正しい振る舞い……常に政治に怒り狂っている状態は、私たちにとっての社会的な死や精神の摩耗と隣り合わせだ。
どれだけ寄り添おうと試みても、彼らの用意した極端な政治のテーブルに乗らない限り頭空っぽのカモと罵られるのだから、彼らとグッドコミュニケーションを取る方法なんて、この世には存在しない。完全に無理筋なのだ。
だから私は、彼らのご機嫌を取るための「正解の顔」を探さない。
私の口は、彼らが求める政治的なメッセージを発さない。
私の顔は今日もはち切れんばかりに躍動する男たちの筋肉、皮膚の下を流れる熱く猛る血潮、そして世界で一番ラグジュアリーなドスケベ愛憎劇に向き、私の口はただ脱稿の喜びを発する。
彼らがどれほど怒りの幻想に囚われ、絵を描けそうな楽しそうな余白に絵を描くという行為を、愚民の行うことだ、と断じて叩き潰そうと暴走しようとも、私は私のペンを絶対に手放しはしないのだ。


『白黒のポテチの袋を見て涙を流し国会議事堂の方を睨む』、参りました。私も描きたくなってるのでポテチ買いに行ってきます(バカボンパパしか描けないや💦) 細かいことですが、白黒というより銀黒、ってところが絶妙にステキだと思います(モノクロのイラストが映える🎶異論は認めます\(//∇//)\
彼らは政治を嫌っているのではない。 自分が気持ちよくなれない政治だけを嫌っている。 正義のヒーローのキャラを被って中国人を叩くスレを立てまくる。 アイドルっぽい女キャラを被って女を叩きまくる。 でも誰かによるとそれは「政治じゃない」だそうだ 移民叩きも政治じゃない。 表現の自由戦…
デモで活動家たちはポテチの袋で葬式ごっこしてキャッキャしてたくせに、誰も傷つけないクリエイターらしい楽しみ方を不謹慎だと批判する。本当に嫌いすぎる。結局、反政府、反髙市のための叩き棒を取られて悔しいだけなんだろうな。
https://note.com/ila_agent/n/n3ebdc2c0cc5e