「身の丈を過ぎた負担はしようがない」北陸新幹線延伸、ルート選定大詰めも京都市長難色
北陸新幹線敦賀(福井県)―新大阪間の延伸ルート選定が大詰めを迎えている。8ルート案を再検討している与党整備委員会はこれまでに福井、滋賀両県知事やJR西日本社長らから意見聴取。いずれも現行の「小浜京都ルート」を支持し、国土交通省も費用対効果では同ルートが優位とする試算を示した。ただ、30日に意見聴取を控える京都市長は、地元の財政負担など「5つの懸念」を挙げて難色を示す。選定期限である7月17日の今国会会期末を前に、議論は混迷を深めている。 【地図でみる】与党が再検討している北陸新幹線延伸ルート案 「身の丈を過ぎた負担はしようがない」。京都市の松井孝治市長は今月17日、記者団の取材に応じ、整備委の意見聴取への対応についてこう述べた。 松井氏が「極めて切実」とするのが建設費の財政負担だ。整備新幹線の建設費は事業費全体からJRが受益の範囲で支払う「貸し付け料」を引き、残りを国と地方が2対1の割合で負担する仕組みになっている。 自治体負担分の一部には国の交付税措置もあるが、地方財政への影響は小さくない。松井氏は「誘致もしていないのに誘致する自治体と同じような負担割合を前提とする議論はおかしい」と指摘。「受益と負担のバランスが取れないものは市民に説明がつかない」と言い切る。 延伸ルートは平成28年に当時与党だった自民、公明両党が、複数案の中から福井県小浜市と京都市を通る小浜京都に決めた。だが京都では、令和6年から地下トンネル建設による地下水への影響などに対する懸念が噴出した。 着工の見通しが立たない中、昨年7月の参院選京都選挙区では、「米原ルート」の再検討を訴えた日本維新の会候補が整備委委員長の自民、西田昌司氏に大差をつけてトップ当選。西田氏は2位当選に甘んじた。その後、公明に代わって維新が整備委に加わり、維新が提示した8ルート案を検討することになった。 もっとも、再検討後も小浜京都が有力な情勢に変わりはない。 国交省は今月19日の整備委で、整備による利益を費用で割った8案の費用対効果を示した。1を上回れば投資に見合う開業効果があるとされ、着工の判断指標となるが、東京―新大阪の全区間がつながった際の効果を一体で評価する新たな試算で、小浜京都は1.1。ほかの7案はすべて1.0となり、小浜京都が最も優位となった。 一方、延伸区間に限った試算では滋賀県の米原駅で東海道新幹線に乗り換える案の1.0が最も高く、小浜京都は0.5にとどまる。両者の差が大きいのは建設費に開きがあるためだ。将来的な物価高騰も加味すると、小浜京都でJR京都駅地下に乗り入れる場合は5兆8000億円に上るのに対し、米原乗り換えは1兆7000億円となっている。