レバノンで命を救うため活動…日本人医師が見た“戦争の現実” 救急車に空爆が…医療従事者も標的に
停戦の合意後も戦闘が続き、多くの犠牲者が出ている中東のレバノン。医療従事者も標的となる危険な紛争地で、命を救うため活動した日本人医師を取材しました。
通り沿いに積み上げられたがれきの山。かつて人々が暮らしていた街は、静まりかえっています。
停戦合意後も、イスラエル軍が親イラン組織「ヒズボラ」を標的に攻撃を続ける、レバノン南部・ナバティエ。
住民のおよそ9割が避難したこの地域で、残された住民に医療を提供し続けるために、今年4月から活動していた日本人がいます。国境なき医師団の救急医・渡邉紗耶香さんです。
普段は静岡県にある病院で、外科医として働いています。
国境なき医師団 渡邉紗耶香さん
「いま一番ニーズがあるところで働きたいなというのがあって」
“医療支援を最も必要としている人達の力になりたい”と、今回初めて紛争の前線地域に足を踏み入れました。
渡邉紗耶香さん
「この道、毎日病院に行くときに通る道路なんですけど、毎回毎回どんどん破壊されていって」
病院からわずか数百メートル離れたところに、空爆があったことも。
渡邉紗耶香さん
「自分のいる病院そのものが攻撃されているような感覚があったので、もうだめかもしれないとその時は感じました」
さらに、衝撃を受けたというのが…。
渡邉紗耶香さん
「一番は救急隊員の。一緒に何とかひとりでも助けられるように活動していたんですけど、彼らが毎日殺されていく」
これは、ナバティエで働く救急隊員が撮影した映像です。
「早く早く!」
現場に急行した隊員らが、ケガ人を搬送しようとしていると…。
救急車にイスラエル軍の空爆が。隊員1人が死亡したということです。
今年3月以降、レバノン全体で確認された救急車への攻撃は170件以上。イスラエル軍は「ヒズボラ戦闘員を標的にした」と主張しながら、救急隊員への攻撃を繰り返しているのです。
渡邉紗耶香さん
「(運ばれてきたときには)もう助けられない状態のことが多いので、それはすごく悔しい経験でした」
10代の頃からの夢だった紛争地での医療活動。そこで“戦争の現実”に直面したといいます。
渡邉紗耶香さん
「現地にいたときは、正直次(の派遣に)行けるかわからないと思っていた。医療だけで助けられる人が本当に少ない」
その過酷な状況の中で「日々自分にできることをやり尽くした」と語る今は…。
渡邉紗耶香さん
「現地の医療スタッフに日本で学んだことを伝えられた。(紛争地での医療支援を)やっぱり続けていきたいなと」
これからも一番助けが必要とされている場所で、“自分にできる支援”を続けていくということです。