« 機関車の構造及理論:上巻(その36)鉄金属:製 銑 | トップページ | 機関車の構造及理論:上巻(その38)鉄金属:錬 鉄 »

2019年1月10日 (木)

機関車の構造及理論:上巻(その37)鉄金属:銑鉄の種類および性質

4.銑鉄の種類および性質

 鼠銑鉄はその質が柔らかで多少の靱性(じんせい)を有し、且つ高温度より凝結の際膨張する性質を有するので鋳物とするに適し鋳鉄とも呼ばれる。白銑鉄はその質硬く非常にもろいものであるから加工または打撃を加える事ができず、鋳物に適せずもっぱら製鋼の原料として使用される。

 かくのごとく銑鉄中に二様の区別を生ずるのは、銑鉄中に含有される炭素の状態によるもので、この炭素が黒煙の形で含まれている時は鼠銑鉄となる。化合炭素の形で含有される時は白銑鉄となるものである。何故これらの区別を生ずるかと言うに、高温から凝固する際冷却の遅速ならびに原料の配合によるもので、高温度においては炭素は全て鉄中に溶け込んでいるので、これを急激に冷却する時は炭素は黒鉛となって分離する暇なく白銑鉄となるもので、この性質は鋳物を作る際に最も注意を要すべき点で、同一金属を使用しても、大なる鋳物と小なる鋳物とでは製品の性質が異なる。

 原素の配合割合についてはケイ素の含有量多き時は炭素が化合炭素になる事を妨害するので、炭素の大部分は黒鉛の形で含まれる事になるので鼠銑鉄となる。また銑鉄中のリンは溶解湯の冷却を遅くするので前述の理由により黒鉛状として炭素を含有せしめ鼠銑鉄となる。

 鋳鉄は鋳物として所要の形状を作るのに最も便利であるが、もろいものであるから急に力を加えたりする所には不適当である。もしこれに靭性を与える事が出来ればはなはだ好都合な訳で、可鍛鋳鉄はこの目的のために生れ出たものである。すなわち機械工場の小道具類、車両部分品等で小型のものは鋼で鍛造する事は煩わしさに堪えず、普通の鋳物では脆弱で役に立たない。この鋳物は鼠銑鉄よりも白銑鉄の方が適し、まずこの製品を酸化粉(ヘマタイトあるいはハンマースケール)で包んで鉄製の容器内に収めて蓋をなし850~950℃の高温度で数日間熱すれば炭化鉄(Fe₃C)が分解して遊離炭素と鉄とになり、さらに進んで遊離炭素が酸化除去せられ、ほとんど鉄のみよりなる部分ができる。この結果硬くもろかった白銑鋳物が強さと粘さを共有する可鍛性の鋳物に変わる。

 また、ロール、車輪等のごとくその表面の硬度が大で摩擦に対する抵抗も大きく、しかも全体として相当の強さを要するものに対しては冷剛鋳物(Chilled casting)とするのが良い。すなわち鋳型に金物を使用するときは、鋳物の表面は急冷されるため、表面5~40ミリ位が白銑の組織となり、内部は普通の鋳物のごとき組織を成している。かくのごとき鋳物を冷剛(チルド)鋳物と言っている。しかして冷剛鋳物を作るには鋳鉄の成分、溶解温度および鋳造温度、鋳型の厚さおよびその温度等を適当ならしむる事が必要である。

 

214p71_20260609092001
214p72

« 機関車の構造及理論:上巻(その36)鉄金属:製 銑 | トップページ | 機関車の構造及理論:上巻(その38)鉄金属:錬 鉄 »

機関車の構造及理論」カテゴリの記事

2026年6月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

最近のコメント

252019