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再会と邂逅4/Novel by anonymous

再会と邂逅4

8,015 character(s)16 mins

シリーズもの。いかがわしいバーに行ってみよう! 呪術世界の記憶あり日下部×記憶なし日車 ひたすら日車が大事な篤也と、日下部の気持ちを知って真面目に迷走する寛見くん。二人とも20代くらいの若いイメージです。

平行世界が舞台のシリーズで、この世界の人たちの一部は呪術世界の記憶を持っている設定です。雰囲気としては現パロに近いです。

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 体がだるい。どこも痛くはないし、悪い所もない。ただ、うまく力が入らないだけだ。睨みつけるように書類を読む。
(相談者は30代女性、赤の他人から遺産を譲られるも、遺族に敵視され、故人が生前贈与した財産の一部についてまで返還を求められている。故人は相談者に対して『自分の実の娘であるという実人生と一致しない記憶』を保持していた模様…家族は故人の生前にその事実を知らされておらず、か。面倒な案件だな)

彼の友人である日下部篤也もそうだが、次元の違う平行宇宙にあるはずの『別の自分』の記憶をなぜか持って生まれてしまった人たち。現実の家族間で記憶を共有できるパターンはほぼ無く、家族の誰か一人が『記憶』に固執してしまうと内紛になりやすい。

 この種のトラブルは基本的には話し合いで解決されることが多く、金にならないわりに時間と神経ばかり使う。しかも、この依頼人は出来れば遺産は欲しい、弁護士費用は分割払いにしてほしいなどとのたまっていると言う。「法テラスへ行けよ」と先輩はあからさまに毒づいたが、日車は自ら引き受けた。
 無料の法テラスではせいぜい2、3回の話し合いをお膳立てするのがせいぜいだろう。経済的に強い遺族がわの出方次第では無知で無力な依頼人が詐欺罪などの罪を被せられる危険もある。

無理にでも仕事に集中していると確かに頭の方はしっかりしてきた。それに伴って、次第につい数時間前まで自分が何をされていたのかも明確に認識されてくる。日車寛見はデスクに突っ伏した

「あのう……大丈夫ですか?」
朝から様子がおかしいなと思っていた若手の弁護士が昼休みに食事も取らずデスクに突っ伏している姿に、さすがに見かねたスタッフが声をかけた。
日車が顔をあげる。いつもは集中力のある若手の弁護士がどこかぼーっとしている。
「あの、お具合がよくないようですが、どうせなら仮眠室に…」
「はい、すみません」

30分くらいでも、少し休んだ方がいいかも知れない。昨日はまともに寝てないし、今日は朝から食事もしてない。空腹は感じるが、外出して食事を取るような気力はない。休もう、と、おとなしく立ち上がった瞬間、体が横に引っ張られた。大きくかしいだ日車の長身を小柄な男性職員が慌てて支える。女性事務員の悲鳴が聞こえた。
(大げさにしないでくれ…)
と思った時、がしっと腕を掴まれた。今、出先から戻ったらしい先輩弁護士が苦虫をかみつぶしたような顔で見ている。


「はいはい、過労ですね。寝不足ですねぇ。貧血も入ってるかな。医者と弁護士は楽して稼げる旨い職業だとか、勘弁してほしいよね、まったく。点滴しときますね。ちゃんと休むこと、以上」

 やはり昼食時間に呼び出されたであろうドクターはてきぱきと処置して階下の個人医院に戻っていった。大したことはないということで、肩を貸してくれた先輩も男性スタッフも引き下がり、一人残された日車はぼんやりと天井を見上げて一息つく。誰もいない、静かで狭い空間。音もなく点滴のしずくが同じ間隔で落ちていく。そして、気付いた時、時計の針はすでに定時の退勤時間を過ぎていた。いつの間にか、側に立っている事務所のボスと困り顔の男性職員。

「ああ、起きてよかったよ、日車君。心配していたところだ」
親子ほども年が違う所長の安堵の表情が痛かった。
「ほんとに…すみません…」

Comments

  • いつき@閲覧用
    April 1, 2024
  • narrプロフ必読1\1加筆。
    February 20, 2024
  • 夕音
    February 17, 2024
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