六本木ヒルズに森を作るのに、“本物の鳥の声”は絶対に使いませんでした。
理由は、「本物の鳥たちを守るため」です。
六本木ヒルズの真ん中に「癒やしの森」を作りたい。 私・小久保隆が森ビルに提案し、屋外アリーナの音環境をデザインした時のことです。
森を表現するなら、普通は「本物の鳥の鳴き声(自然音)」を流そうと考えますよね。
でも私は、「絶対に本物の鳥の鳴き声は使わない」と決めました。
その理由は、「六本木に住んでいる“本物の鳥たち”に迷惑をかけないため」です。
① 屋外で鳥の声を流す危険性
鳥の鳴き声には、求愛だけでなく「縄張りの主張」や「警戒」の意味があります。 屋外でリアルな鳥の声を大音量で流すと、元々その周辺に生息している鳥たちが「見知らぬ強い鳥がやってきた!縄張りを荒らされる!」と戸惑い、生態系を崩してしまう危険性があったのです。
② 楽器で「小動物」を演じる
そこで私がとった解決策は、横笛やシンセサイザーなどの「楽器」を使って、鳥やカエル、キリギリスなどの声を音楽的に表現(モディファイ)することでした。 「タラララッ…」という横笛のフレーズをカッコウやカワセミに見立てるなど、さまざまな楽器で小動物の役割を与えていきました。
③ 27個のスピーカーで「擬似的な森」を作る
その楽器で奏でた小動物たちの音を、アリーナに配置した27個のスピーカーから360度立体的に流しました。 これにより、人間にとっては「森の生命力や癒やし」を感じられ、かつ本物の鳥たちには悪影響を与えない、 見事な「擬似的な森の音空間」が完成したのです。
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私は自分のことを、ただ自分の好きな音楽を作る「アーティスト」ではなく、環境に対する責任を持つ「音のデザイナー」だと思っています。
良い音を作って終わりではなく、それが環境や自然にどう影響するかまで考える。それが「音をデザインする」ということなのです。
次に六本木ヒルズのアリーナに行かれた際は、ぜひ都会の真ん中にある「優しい人工の森の音」に耳を澄ませてみてくださいね
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