まった場所にあった書庫で。
勉学や執務の合間を縫ってはよく一人で車庫に篭り書物を読み耽っている有様だった。
勉学や執務の合間を縫ってはよく一人で車庫に篭り書物を読み耽っている有様だった。
109: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:31:48.52 ID:HdAV1VQi0
智美なんかは官吏の試験の時にはそれこそ山のように書物を読んだけれど。
それが過ぎ去ってしまえば、余り手にする事も無い。
仕事柄、資料を纏めるときなんかは書物を手に取るが…咲はどうやら読むこと自体がとても好きなようだった。
そんな事をつらつらと考えていたら、目の前を通り過ぎようとした先生に気付き智美は慌てて拝礼する。
そんな自分を見て目を細めて笑う老人は、軽く相槌を打ってから智美が開けたままだった扉より出て行く。
どうやら予定通り、今日の授業は終わったようだ。
振り向き、まだ室内に残っていた咲へと智美は明るい声を掛ける。
智美「今日はどうでしたか、主上?」
咲「頭がいっぱいです。…先生と話してると本当に、覚える事がたくさんあるんだなって」
咲「私は今まで、すごい狭い世界で生きてきたんだなって思ってしまいます」
智美「申し訳ありません。無理をさせているとは思いますがこれも御身と、この国のためなのだとお思い下さい」
智美「主上が御座におられるようになってから…朝廷は元より国府の中も俄かに慌しくなって参りました」
咲「はい」
智美「どうか、しっかりとしたご自身の知識を持ってから。朝廷、そしてこの国を、民を覧になって下さい」
智美「一方的な意見だけを聞き頷くのではなく、起きる物事の本質を見誤らぬよう。…ここでは誰が敵で、誰が味方なのかを」
咲「……端から見ればとても華美であるのに、怖い所なんですね。ここは」
智美「主上が立たれるまで仮王朝を正す事ができなかったのは、一重に私を含め、諸官らの不徳の致すところです」
智美が言い切ると、その先を遮るように咲は首を左右に振る。
それが過ぎ去ってしまえば、余り手にする事も無い。
仕事柄、資料を纏めるときなんかは書物を手に取るが…咲はどうやら読むこと自体がとても好きなようだった。
そんな事をつらつらと考えていたら、目の前を通り過ぎようとした先生に気付き智美は慌てて拝礼する。
そんな自分を見て目を細めて笑う老人は、軽く相槌を打ってから智美が開けたままだった扉より出て行く。
どうやら予定通り、今日の授業は終わったようだ。
振り向き、まだ室内に残っていた咲へと智美は明るい声を掛ける。
智美「今日はどうでしたか、主上?」
咲「頭がいっぱいです。…先生と話してると本当に、覚える事がたくさんあるんだなって」
咲「私は今まで、すごい狭い世界で生きてきたんだなって思ってしまいます」
智美「申し訳ありません。無理をさせているとは思いますがこれも御身と、この国のためなのだとお思い下さい」
智美「主上が御座におられるようになってから…朝廷は元より国府の中も俄かに慌しくなって参りました」
咲「はい」
智美「どうか、しっかりとしたご自身の知識を持ってから。朝廷、そしてこの国を、民を覧になって下さい」
智美「一方的な意見だけを聞き頷くのではなく、起きる物事の本質を見誤らぬよう。…ここでは誰が敵で、誰が味方なのかを」
咲「……端から見ればとても華美であるのに、怖い所なんですね。ここは」
智美「主上が立たれるまで仮王朝を正す事ができなかったのは、一重に私を含め、諸官らの不徳の致すところです」
智美が言い切ると、その先を遮るように咲は首を左右に振る。
110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:37:17.99 ID:HdAV1VQi0
咲「諸官全てに咎がある訳ではないでしょう。少なくともこうして度々私を助けてくれている智美さんは味方だと思っています」
迷いの見えない声。思わず面食らった智美は暫し無言になる。
臣下として、王からのその言葉に歓喜しなかったと言えば嘘になるが。
ただ、真っ直ぐな態度、そして言葉に一抹の不安も覚えた。
できれば、この清らかさを智美とて守りたいと思うが……
先程咲が言っていた通り、王がいるこの場所は華美に見えるが怖い所なのだ。
王が御座に立った事でもはや朝廷内でも表面には見えぬ駆け引きは始まっている。
智美「…言い切ってもよろしいので?先程言ったはずです、一方的な意見だけを聞くのでは物事の本質を見誤られる」
脅しのような文句になってしまったけれど。
それに対して、咲はしっかりとした口調で言葉を返してくる。
咲「王としてではなく、人として。目の前に立つ人間が真摯に心を持って受け答えしてくれているかどうかは分かるつもりです」
咲「私は商家の下働きも長かったですし…人の裏の顔というものを盗み見てきましたから」
智美「……ご苦労なさっておいでだったか」
咲「細々とでも生きていくためですね。顔色を窺っていれば、どうにか嵐を避ける事もできましたから。でも…」
咲「私が今この場に立っているという事は。かつての私のような人間を一人でも減らす事ができるということですよね?」
智美「………」
咲「そのためにこうして本を読み、師に師事を仰いでいるのだと。最近になって、ようやく分かってきました」
初めて彼女を見たときに感じた儚さを払拭するかのような態度だと思った。
まだ、途中ではあるけれど。期待してもいいのではないだろうか。この真摯な王に。
だってこの国は……彼女が、咲が立つまでにもう随分と苦しみ抜いた。
一握りが富を得る狂った構造をずっと続けてきたが、
それを許さなかった天が、彼女をこの国へと授けたという事なのだろう。
迷いの見えない声。思わず面食らった智美は暫し無言になる。
臣下として、王からのその言葉に歓喜しなかったと言えば嘘になるが。
ただ、真っ直ぐな態度、そして言葉に一抹の不安も覚えた。
できれば、この清らかさを智美とて守りたいと思うが……
先程咲が言っていた通り、王がいるこの場所は華美に見えるが怖い所なのだ。
王が御座に立った事でもはや朝廷内でも表面には見えぬ駆け引きは始まっている。
智美「…言い切ってもよろしいので?先程言ったはずです、一方的な意見だけを聞くのでは物事の本質を見誤られる」
脅しのような文句になってしまったけれど。
それに対して、咲はしっかりとした口調で言葉を返してくる。
咲「王としてではなく、人として。目の前に立つ人間が真摯に心を持って受け答えしてくれているかどうかは分かるつもりです」
咲「私は商家の下働きも長かったですし…人の裏の顔というものを盗み見てきましたから」
智美「……ご苦労なさっておいでだったか」
咲「細々とでも生きていくためですね。顔色を窺っていれば、どうにか嵐を避ける事もできましたから。でも…」
咲「私が今この場に立っているという事は。かつての私のような人間を一人でも減らす事ができるということですよね?」
智美「………」
咲「そのためにこうして本を読み、師に師事を仰いでいるのだと。最近になって、ようやく分かってきました」
初めて彼女を見たときに感じた儚さを払拭するかのような態度だと思った。
まだ、途中ではあるけれど。期待してもいいのではないだろうか。この真摯な王に。
だってこの国は……彼女が、咲が立つまでにもう随分と苦しみ抜いた。
一握りが富を得る狂った構造をずっと続けてきたが、
それを許さなかった天が、彼女をこの国へと授けたという事なのだろう。
111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:42:19.78 ID:HdAV1VQi0
だから、根負けしたように智美は固く発していた空気を解くと苦笑を浮かべる。
智美「主上の言う通りだと思います。私は…、いえ私個人としても、貴方を助けたいとは思っているから」
それを聞いた咲は、顔を緩めると智美に向かって綻ぶように笑った。
淡い色彩ではあるけれど、それが窓より差し込む光に溶けていくようで。
ああ、いいな、と思うと同時に釣られるよう智美も笑みを深くする。
いつか、こんな暖かい気持ちに溢れた国になればいいと思う。
王だけでなく、官吏だけでなく、民の一人までもが全て……気持ちよく笑える国になればいい。
そのために、眼前に立つ王だけは守らねばなるまい。
ところで、ふと気付く。
智美「そういえば…」
咲「はい?」
この後の予定は執務になるはずだから。
部屋まで送り届けて尚且つ、仕事の手伝いをするのが智美の役目だが。
咲が纏めた荷物を智美が持った所で。ふと落とした言葉に反応するように咲が顔を向ける。
その朱色の瞳と視線が合ったのを確認すると智美は続けて言った。
智美「主上は今日、台輔にお会いになりましたか?」
何気なく尋ねた智美がそう言った瞬間、ビクリと咲の体が震えた。
そんな仕草を智美が見逃すはずも無い。
事実、先程までの咲の穏やかな雰囲気は立ち消えて、むしろ堅く身構える気配に智美は眉を潜めた。
智美「主上の言う通りだと思います。私は…、いえ私個人としても、貴方を助けたいとは思っているから」
それを聞いた咲は、顔を緩めると智美に向かって綻ぶように笑った。
淡い色彩ではあるけれど、それが窓より差し込む光に溶けていくようで。
ああ、いいな、と思うと同時に釣られるよう智美も笑みを深くする。
いつか、こんな暖かい気持ちに溢れた国になればいいと思う。
王だけでなく、官吏だけでなく、民の一人までもが全て……気持ちよく笑える国になればいい。
そのために、眼前に立つ王だけは守らねばなるまい。
ところで、ふと気付く。
智美「そういえば…」
咲「はい?」
この後の予定は執務になるはずだから。
部屋まで送り届けて尚且つ、仕事の手伝いをするのが智美の役目だが。
咲が纏めた荷物を智美が持った所で。ふと落とした言葉に反応するように咲が顔を向ける。
その朱色の瞳と視線が合ったのを確認すると智美は続けて言った。
智美「主上は今日、台輔にお会いになりましたか?」
何気なく尋ねた智美がそう言った瞬間、ビクリと咲の体が震えた。
そんな仕草を智美が見逃すはずも無い。
事実、先程までの咲の穏やかな雰囲気は立ち消えて、むしろ堅く身構える気配に智美は眉を潜めた。
112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:46:23.49 ID:HdAV1VQi0
そして、そんな自分が抱いた疑問を咲もすぐにわかったのだろう。
本当に、眼前の少女は頼りなさそうに見えて、実際は聡いのだ。人の機微にも良く気付いている。
そんな彼女がぎこちなくではあるが言葉を返してきた。
咲「え、と。朝に……様子を見に来てくれました」
智美「はあ。じゃあ、きちんと顔は出してるんですね…ならよかったです。何を話したのか、お伺いしても?」
咲「………」
なにせ、智美は実質、台輔の菫の命で咲に付いていると言っても過言では無い。
彼女らの遣り取りを知っておけば、なにかと動きやすくもなるのだ。
だから、と。智美は目の前の王より続く言葉を待っていたが。
……なにか、とても歯切れが悪い。
智美「主上?」
訝しい声で呼ぶと観念したように、咲は言葉を返してきた。
咲「あの、話という話は……何も」
智美「……何も?」
まさか、と思わず智美は言い返すが咲はそうなのだと頷く。
咲「私も口下手な方なので…本当は色々と話したいことは考えているんですが。目の前にしてしまうと、どうも…」
とても言いにくそうな咲の言葉。
いやいやいや、王だけのせいではあるまい。
王が言い出せぬのであれば、その半身である麒麟が気遣えばいいのだ。
けれど、それすらもなかった様子を智美は悟る。智美は再び天を仰ぎたくなった。
本当に、眼前の少女は頼りなさそうに見えて、実際は聡いのだ。人の機微にも良く気付いている。
そんな彼女がぎこちなくではあるが言葉を返してきた。
咲「え、と。朝に……様子を見に来てくれました」
智美「はあ。じゃあ、きちんと顔は出してるんですね…ならよかったです。何を話したのか、お伺いしても?」
咲「………」
なにせ、智美は実質、台輔の菫の命で咲に付いていると言っても過言では無い。
彼女らの遣り取りを知っておけば、なにかと動きやすくもなるのだ。
だから、と。智美は目の前の王より続く言葉を待っていたが。
……なにか、とても歯切れが悪い。
智美「主上?」
訝しい声で呼ぶと観念したように、咲は言葉を返してきた。
咲「あの、話という話は……何も」
智美「……何も?」
まさか、と思わず智美は言い返すが咲はそうなのだと頷く。
咲「私も口下手な方なので…本当は色々と話したいことは考えているんですが。目の前にしてしまうと、どうも…」
とても言いにくそうな咲の言葉。
いやいやいや、王だけのせいではあるまい。
王が言い出せぬのであれば、その半身である麒麟が気遣えばいいのだ。
けれど、それすらもなかった様子を智美は悟る。智美は再び天を仰ぎたくなった。
113: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:51:32.85 ID:HdAV1VQi0
なんてことだ、やっぱり菫の不器用さだけが誤解されて伝わってしまっている。
初期の頃の対応の差なのだ。
無意識であれ身構えられてしまっている事に、きっと一番堪えているのはあの麒麟の少女だろうに。
呆れて、吐き出しそうな息をぐっと飲み込み……口元を緩めると、智美は問う。
智美「あの。主上は…台輔が苦手ですか?」
すると、びっくりしたように咲は目を見開いた。
例えるならば、そんな事を言われるのを予想してなかったみたいに。
だから、お、と智美は意外に思う。
事実、咲は首を左右に振って言葉を返してくる。
咲「苦手とかそんなんじゃないです。まだ浅い付き合いですが彼女の真面目な所とか、自分自身に厳しい所は尊敬しています」
咲「けど今の私では、彼女と釣り合わない気がして…毅然とした彼女を目の前にすると、どうしても気後れしてしまうんです」
智美「………」
咲「だから、頑張ります。智美さんが言ってくれたように。きちんと勉強して、色んな事を見て、聞いて……」
咲「彼女が、菫さんが認めてくれるような王を、目指しますから」
智美「主上」
ああ、やばい。
智美は素直な咲の言葉を聞きながら。
今はきっと自分の執務室にいて不貞腐れているだろう麒麟の少女を怒鳴りつけてやりたい気分に駆られた。
だって今、咲の素直な気持ちを聞かねばならなかったのは智美ではない。
なによりもその悩みを聞き、支えなければいけないのは…王の半身である麒麟でなければいけなかったはずだ。
なんでここにいないんだ菫ちん!と。素を曝け出して智美は心中にて菫を罵る。
初期の頃の対応の差なのだ。
無意識であれ身構えられてしまっている事に、きっと一番堪えているのはあの麒麟の少女だろうに。
呆れて、吐き出しそうな息をぐっと飲み込み……口元を緩めると、智美は問う。
智美「あの。主上は…台輔が苦手ですか?」
すると、びっくりしたように咲は目を見開いた。
例えるならば、そんな事を言われるのを予想してなかったみたいに。
だから、お、と智美は意外に思う。
事実、咲は首を左右に振って言葉を返してくる。
咲「苦手とかそんなんじゃないです。まだ浅い付き合いですが彼女の真面目な所とか、自分自身に厳しい所は尊敬しています」
咲「けど今の私では、彼女と釣り合わない気がして…毅然とした彼女を目の前にすると、どうしても気後れしてしまうんです」
智美「………」
咲「だから、頑張ります。智美さんが言ってくれたように。きちんと勉強して、色んな事を見て、聞いて……」
咲「彼女が、菫さんが認めてくれるような王を、目指しますから」
智美「主上」
ああ、やばい。
智美は素直な咲の言葉を聞きながら。
今はきっと自分の執務室にいて不貞腐れているだろう麒麟の少女を怒鳴りつけてやりたい気分に駆られた。
だって今、咲の素直な気持ちを聞かねばならなかったのは智美ではない。
なによりもその悩みを聞き、支えなければいけないのは…王の半身である麒麟でなければいけなかったはずだ。
なんでここにいないんだ菫ちん!と。素を曝け出して智美は心中にて菫を罵る。
114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/11(金) 01:58:33.17 ID:HdAV1VQi0
彼女らの間に入る智美は、互いの躊躇が勘違いだと咲の言葉を聞いて気付けたが。
知らぬ菫なんかは、咲に嫌われていると思っている。
だから朝に咲の様子を見にいっても深く踏み込めないし、声を掛ける事もできない。
躊躇して勝手に落ち込んで、その空気を無意識であれ咲も感じ取り気後れしている。
なんて悪循環。
不器用な半身同士なのかと、智美なんかは思ってしまうが。
ため息は幸せが逃げていく…落としたいのを懸命に堪えて、まずは彼女らの誤解を解く事から始めねばと思った。
そうでなくとも頼りないと見られがちな咲を侮り、奸臣は媚を売り繋がりを持とうと躍起になっている。
王と麒麟がぎこちない関係などと知られたら奴らの付け入る隙を与えるかもしれない。
本当に、やるべき事はたくさんあった。
咲「智美さん?」
名を呼ばれ、ハッと現実に気付く。
顔を向けると、不思議そうに自分を見返している咲の姿があって。
反射的に明るい笑顔を浮かべると「何でもないです」と智美は言葉を返した。
まずは、今日の予定を終わらせよう……咲と今日の分の執務を終えたら、
酒を持って菫の所に突撃して、説教してやる。
そう心に誓いながら、智美は荷物を持つと「行きましょう、主上」と声を掛けたのだった。
■ ■ ■
知らぬ菫なんかは、咲に嫌われていると思っている。
だから朝に咲の様子を見にいっても深く踏み込めないし、声を掛ける事もできない。
躊躇して勝手に落ち込んで、その空気を無意識であれ咲も感じ取り気後れしている。
なんて悪循環。
不器用な半身同士なのかと、智美なんかは思ってしまうが。
ため息は幸せが逃げていく…落としたいのを懸命に堪えて、まずは彼女らの誤解を解く事から始めねばと思った。
そうでなくとも頼りないと見られがちな咲を侮り、奸臣は媚を売り繋がりを持とうと躍起になっている。
王と麒麟がぎこちない関係などと知られたら奴らの付け入る隙を与えるかもしれない。
本当に、やるべき事はたくさんあった。
咲「智美さん?」
名を呼ばれ、ハッと現実に気付く。
顔を向けると、不思議そうに自分を見返している咲の姿があって。
反射的に明るい笑顔を浮かべると「何でもないです」と智美は言葉を返した。
まずは、今日の予定を終わらせよう……咲と今日の分の執務を終えたら、
酒を持って菫の所に突撃して、説教してやる。
そう心に誓いながら、智美は荷物を持つと「行きましょう、主上」と声を掛けたのだった。
■ ■ ■
126: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2014/07/18(金) 00:06:56.00 ID:l402pkcK0
智美「十分に、身辺にはお気を付け下さい」
そう智美に言われた言葉を咲とてよく覚えている。
智美「端からは華美に見える宮中は、今や恐ろしい所なのです」
そう言った彼女の言葉を最近、咲も痛感している。
ましてやこの身は学も無く、見た目も弱々しく他者の目に映るのだろう。
朝議にて玉座に座った時に、安堵と侮りを持って下段より数多の官吏の目に見上げられたのをよく覚えている。
今まで臆病に生きてきた自分だったから、様々な感情が含んだ視線に晒されて無様にも足元は震えていた。
それでもそん
そう智美に言われた言葉を咲とてよく覚えている。
智美「端からは華美に見える宮中は、今や恐ろしい所なのです」
そう言った彼女の言葉を最近、咲も痛感している。
ましてやこの身は学も無く、見た目も弱々しく他者の目に映るのだろう。
朝議にて玉座に座った時に、安堵と侮りを持って下段より数多の官吏の目に見上げられたのをよく覚えている。
今まで臆病に生きてきた自分だったから、様々な感情が含んだ視線に晒されて無様にも足元は震えていた。
それでもそん
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