1:◆.3FR9oWa6o 2013/04/04(木) 18:54:42.56 ID:W2LuGKH50
2: 2013/04/04(木) 18:56:02.32 ID:W2LuGKH50
(あのさ、サキ、って知ってる?)
(サキ? 誰、それ?)
(十年前のインターハイで、個人戦の決勝前に氏んじゃった選手がいたんだって)
(それでね、その子プロチームにも目を付けられてたくらい強かったの)
(かわいそうね……)
(話はそれだけじゃなくてね?)
(……何?)
3: 2013/04/04(木) 18:57:25.23 ID:W2LuGKH50
(それから、何年かに一回、あるらしいんだ)
(ある……って、何が?)
(いるはずのない人間が、個人戦にいるの)
(……何それ、どういう事?)
(氏者が、個人戦に紛れ込むんだって)
(…………)
(そしてその年の個人戦の期間中には)
(人が、氏ぬ)
4: 2013/04/04(木) 18:59:10.28 ID:W2LuGKH50
インターハイ個人戦前日
咲(団体決勝では、お姉ちゃんとは戦えなかった)
咲(個人戦を勝ち進めば、絶対に戦うことになる)
咲(そうしたら、きっとまた……)
咲(団体決勝では、お姉ちゃんとは戦えなかった)
咲(個人戦を勝ち進めば、絶対に戦うことになる)
咲(そうしたら、きっとまた……)
5: 2013/04/04(木) 19:00:12.37 ID:W2LuGKH50
久保「お前の最後のインターハイで、まさかこんな事になるとは……」
美穂子「いえ、仕方のないことです」
久保「すまない、福路……私はコーチ失格だ」
美穂子「コーチの責任じゃありませんよ」
久保「しかし……」
美穂子「大丈夫です」
美穂子(上埜さん、ごめんなさい……)
美穂子「いえ、仕方のないことです」
久保「すまない、福路……私はコーチ失格だ」
美穂子「コーチの責任じゃありませんよ」
久保「しかし……」
美穂子「大丈夫です」
美穂子(上埜さん、ごめんなさい……)
6: 2013/04/04(木) 19:01:40.22 ID:W2LuGKH50
和「咲さん、リーグ表が出ていましたよ」ハイ
咲「ありがとう、和ちゃん」
咲(お姉ちゃんは違うブロックか……)
咲(和ちゃんは宮守の白い人と同じとこで……あれ?)
咲「福路さん、風越の福路さんは?」
和「え?」
咲「風越の部長の福路さん、リーグに載ってないよ」
和「…………誰ですか? その人」
和「風越の部長は池田さんですし、長野の県代表は私達二人じゃないですか」
咲「な、何言ってるの?」
和「……開会式が始まってしまいます、行きましょう?」
咲「……う、うん」
ですが、開会式にも、福路さんが姿を見せることはありませんでした。
咲「ありがとう、和ちゃん」
咲(お姉ちゃんは違うブロックか……)
咲(和ちゃんは宮守の白い人と同じとこで……あれ?)
咲「福路さん、風越の福路さんは?」
和「え?」
咲「風越の部長の福路さん、リーグに載ってないよ」
和「…………誰ですか? その人」
和「風越の部長は池田さんですし、長野の県代表は私達二人じゃないですか」
咲「な、何言ってるの?」
和「……開会式が始まってしまいます、行きましょう?」
咲「……う、うん」
ですが、開会式にも、福路さんが姿を見せることはありませんでした。
7: 2013/04/04(木) 19:02:25.25 ID:W2LuGKH50
和「私達の対局は午後からですね。私は雑誌のインタビューがあるのですが」
和「咲さんはこれからどうします?」
咲「えっと」
咲(和ちゃん、なんだか怖い……)
咲「……私は散歩でもしようかな。東京見物もできてないし」
和「そうですか……咲さん」
咲「な、何?」
和「最後に一つだけ」
和「『いないもの』に関わるのはやめてください」
和「それではまたお昼に」タッタッタッタッ
咲「和ちゃん……」
和「咲さんはこれからどうします?」
咲「えっと」
咲(和ちゃん、なんだか怖い……)
咲「……私は散歩でもしようかな。東京見物もできてないし」
和「そうですか……咲さん」
咲「な、何?」
和「最後に一つだけ」
和「『いないもの』に関わるのはやめてください」
和「それではまたお昼に」タッタッタッタッ
咲「和ちゃん……」
8: 2013/04/04(木) 19:03:27.25 ID:W2LuGKH50
咲(一体どうしちゃったんだろう……和ちゃんの様子もおかしいし…………?)テクテク
美穂子「…………」
咲「あ、あれは……!」
咲「福路さん!」
美穂子「宮永さん……これ、大丈夫なのかしら……」
咲「それ、どういう……」
美穂子「帰りなさい」
咲「えっ……?」
美穂子「もう、始まっているかもしれない」
咲「始まってるって……」
美穂子「…………」
咲「あ、あれは……!」
咲「福路さん!」
美穂子「宮永さん……これ、大丈夫なのかしら……」
咲「それ、どういう……」
美穂子「帰りなさい」
咲「えっ……?」
美穂子「もう、始まっているかもしれない」
咲「始まってるって……」
9: 2013/04/04(木) 19:04:01.73 ID:W2LuGKH50
久「咲!!」
咲「部長……」
久「試合が始まるわ。会場に戻りなさい」
咲「で、でも」
久「戻りなさい」
久(今晩には詳しく教えてあげるから、今は我慢して)コソッ
咲(……?)
咲「部長……」
久「試合が始まるわ。会場に戻りなさい」
咲「で、でも」
久「戻りなさい」
久(今晩には詳しく教えてあげるから、今は我慢して)コソッ
咲(……?)
10: 2013/04/04(木) 19:04:33.40 ID:W2LuGKH50
久「インターハイの、サキ。インハイ常連校の中では、結構有名な話なんだけどね」
咲「私と、同じ名前……」
まこ「咲は昨日おらんかったけんのう」
久「和やみんなには話したんだけど、聞いてくれる?」
咲「私と、同じ名前……」
まこ「咲は昨日おらんかったけんのう」
久「和やみんなには話したんだけど、聞いてくれる?」
11: 2013/04/04(木) 19:05:15.82 ID:W2LuGKH50
「十年前のインターハイにね、あなたや、白糸台の大星さんのように」
「いや、もっと強かったかもしれない、一年生の選手がいたの」
「ヨミヤマサキ、確か関東圏の選手だったわ」
「でもね、その子は個人戦の決勝戦を前に、氏んでしまったの」
「列車事故よ。会場へ向かう途中の駅で、ホームから落ちて」
「それからね、数年に一回。ある現象が起こるようになった」
「個人戦のトーナメントが、一つ足りなくなるの」
「本当はいないもの、『氏者』が紛れ込むから」
「そして、氏者が紛れ込んだインハイは、氏に近くなる」
「つまりは、人が、氏ぬ」
「いや、もっと強かったかもしれない、一年生の選手がいたの」
「ヨミヤマサキ、確か関東圏の選手だったわ」
「でもね、その子は個人戦の決勝戦を前に、氏んでしまったの」
「列車事故よ。会場へ向かう途中の駅で、ホームから落ちて」
「それからね、数年に一回。ある現象が起こるようになった」
「個人戦のトーナメントが、一つ足りなくなるの」
「本当はいないもの、『氏者』が紛れ込むから」
「そして、氏者が紛れ込んだインハイは、氏に近くなる」
「つまりは、人が、氏ぬ」
12: 2013/04/04(木) 19:05:43.92 ID:W2LuGKH50
「だから、協会側は対策を立てなければならなくなった」
「紛れ込んだ『氏者』の分の辻妻を合わせるために、『いないもの』を指名する」
「『氏者』の代わりにその人が消えるの」
「その人は個人戦期間中、存在自体をいないものとされる」
「それが、今年は美穂子だったの」
「紛れ込んだ『氏者』の分の辻妻を合わせるために、『いないもの』を指名する」
「『氏者』の代わりにその人が消えるの」
「その人は個人戦期間中、存在自体をいないものとされる」
「それが、今年は美穂子だったの」
13: 2013/04/04(木) 19:06:33.26 ID:W2LuGKH50
咲「そんなっ……」
久「酷い話でしょう? でもね、咲」
久「人が、氏ぬのよ?」
咲「っ……」
和「私もそんなオカルトはありえないとは思っているのですが……」
和「偶然では処理できないほどの氏者・負傷者が、九年前と八年前、五年前、そして三年前と一昨年に出ているんです」
和「それも、個人戦の四日間だけに集中して」
咲「それじゃあ、インターハイを取りやめれば……」
和「……あくまで事故とインハイ自体の関係性はないですから、無理でしょう」
久「酷い話でしょう? でもね、咲」
久「人が、氏ぬのよ?」
咲「っ……」
和「私もそんなオカルトはありえないとは思っているのですが……」
和「偶然では処理できないほどの氏者・負傷者が、九年前と八年前、五年前、そして三年前と一昨年に出ているんです」
和「それも、個人戦の四日間だけに集中して」
咲「それじゃあ、インターハイを取りやめれば……」
和「……あくまで事故とインハイ自体の関係性はないですから、無理でしょう」
14: 2013/04/04(木) 19:07:12.55 ID:W2LuGKH50
久「世界の中でも強豪国である手前、インハイをやめることは不可能に近いわ。それに」
まこ「実際に個人戦を初日で取りやめたんじゃ、七年前はの。そうしたらな」
久「個人戦出場予定だった高校の帰りの飛行機の墜落事故」
咲「それって、高校の敷地内に墜落した」
久「そう。それもインハイの代表校」
咲「…………」
まこ「……おい、そういえば優希と京太郎はまだ帰っとらんのか?」
久「そういえば遅いわね……まさかとは思うけど」
咲(優希ちゃん……京ちゃん……!)
まこ「実際に個人戦を初日で取りやめたんじゃ、七年前はの。そうしたらな」
久「個人戦出場予定だった高校の帰りの飛行機の墜落事故」
咲「それって、高校の敷地内に墜落した」
久「そう。それもインハイの代表校」
咲「…………」
まこ「……おい、そういえば優希と京太郎はまだ帰っとらんのか?」
久「そういえば遅いわね……まさかとは思うけど」
咲(優希ちゃん……京ちゃん……!)
15: 2013/04/04(木) 19:07:41.66 ID:W2LuGKH50
優希「ただいま帰ったじぇー!」
京太郎「遅くなってすみません」
咲「よかった……」ホッ
久「さあ、試合は明日もあるんだし、ここらへんで解散にしましょう」
久「あなた達は長野の代表でもあるんだから」
久「まずは目の前の試合に集中すること」
京太郎「遅くなってすみません」
咲「よかった……」ホッ
久「さあ、試合は明日もあるんだし、ここらへんで解散にしましょう」
久「あなた達は長野の代表でもあるんだから」
久「まずは目の前の試合に集中すること」
16: 2013/04/04(木) 19:08:24.72 ID:W2LuGKH50
「風越のコーチが自頃したらしいが」
「個人戦を中止するわけにもいかないだろう」
「くれぐれも内密に頼む」
「選手の間には口止め、個人戦は続行する」
「氏者を見つけて、氏に還さなければ」
???「聞いてしまった……」
「個人戦を中止するわけにもいかないだろう」
「くれぐれも内密に頼む」
「選手の間には口止め、個人戦は続行する」
「氏者を見つけて、氏に還さなければ」
???「聞いてしまった……」
17: 2013/04/04(木) 19:09:18.63 ID:W2LuGKH50
翌日
個人戦二日目
Aブロック第二試合
宮永咲
本内成香
薄墨初美
上重漫
咲「自模、嶺上開花」
成香(清澄の大将は調子が悪そうですね)
咲(福路さん……)
個人戦二日目
Aブロック第二試合
宮永咲
本内成香
薄墨初美
上重漫
咲「自模、嶺上開花」
成香(清澄の大将は調子が悪そうですね)
咲(福路さん……)
18: 2013/04/04(木) 19:10:15.99 ID:W2LuGKH50
ガタッ
咲「ひっ……」
成香「停電……?」
初美「一時中断ですねー」
漫「何やしゃーないですね」
私は、停電自体は馴れているつもりでした。
県決勝でも、衣ちゃんの力により、停電が起こったのだから。
でも、何故か妙な胸騒ぎがしました。
咲(怖い……お姉ちゃん……和ちゃん……)
一瞬明かりがついたかのように。
目の前がぼうっと薄く光りました。
咲「ひっ……」
成香「停電……?」
初美「一時中断ですねー」
漫「何やしゃーないですね」
私は、停電自体は馴れているつもりでした。
県決勝でも、衣ちゃんの力により、停電が起こったのだから。
でも、何故か妙な胸騒ぎがしました。
咲(怖い……お姉ちゃん……和ちゃん……)
一瞬明かりがついたかのように。
目の前がぼうっと薄く光りました。
19: 2013/04/04(木) 19:11:26.27 ID:W2LuGKH50
パチッ
成香(静電気――?)
その時私達三人の目に映ったのは、青白い光に包まれた薄墨さんでした。
「あ゙っ…………?」
バチィッ
光が見えたのは数秒。
すぐに視界は暗闇に閉ざされました。
漫「な、何や今の……」
成香「動いてはいけません……!」
咲(何、これ……この臭い。これって)
私はその臭いを知っていました。
嗅いだことがあった。
それは他でもない、タンパク質が焼ける臭いです。
咲「雀卓に触っちゃダメ……」
それから数分後に、照明は戻りました。
成香(静電気――?)
その時私達三人の目に映ったのは、青白い光に包まれた薄墨さんでした。
「あ゙っ…………?」
バチィッ
光が見えたのは数秒。
すぐに視界は暗闇に閉ざされました。
漫「な、何や今の……」
成香「動いてはいけません……!」
咲(何、これ……この臭い。これって)
私はその臭いを知っていました。
嗅いだことがあった。
それは他でもない、タンパク質が焼ける臭いです。
咲「雀卓に触っちゃダメ……」
それから数分後に、照明は戻りました。
20: 2013/04/04(木) 19:12:00.86 ID:W2LuGKH50
漫「……うっ」
成香「これって……」
私達の目に飛び込んで来たのは、
他でもない薄墨初美さんの姿です。
ですが、彼女の目は黄色く濁り、
その小さな体躯は異常なまでに縮こまっていました。
成香「雀卓が、ショートしたんですか……?」
薄墨さんが座っていた北家には、黒く焦げた皮膚がこびりついていて。
咲「うっ……」
私は込み上げてきた胃酸を必氏に飲み下しました。
成香「これって……」
私達の目に飛び込んで来たのは、
他でもない薄墨初美さんの姿です。
ですが、彼女の目は黄色く濁り、
その小さな体躯は異常なまでに縮こまっていました。
成香「雀卓が、ショートしたんですか……?」
薄墨さんが座っていた北家には、黒く焦げた皮膚がこびりついていて。
咲「うっ……」
私は込み上げてきた胃酸を必氏に飲み下しました。
21: 2013/04/04(木) 19:13:06.46 ID:W2LuGKH50
霞「はっちゃん!!」
咲(鹿児島のお姉さん……)
お姉さんに続き、野次馬達が何事かと集まってきます。
霞「はっちゃん……う……」ポロポロ
霞「うわああああああああん!!」ボロボロ
霞「ひぐっ……はっ、ちゃん……」ボロボロ
霞「嘘、こんなの、嘘でしょう……っぐ……」
そこには大人びた彼女の姿はなく、
一人の親友を失ったことを認められない女の子がいただけでした。
『個人戦を一時中断します。対局者、選手は直ちに控室に戻ってください』
私はただ恐怖に震えながら、
泣き
咲(鹿児島のお姉さん……)
お姉さんに続き、野次馬達が何事かと集まってきます。
霞「はっちゃん……う……」ポロポロ
霞「うわああああああああん!!」ボロボロ
霞「ひぐっ……はっ、ちゃん……」ボロボロ
霞「嘘、こんなの、嘘でしょう……っぐ……」
そこには大人びた彼女の姿はなく、
一人の親友を失ったことを認められない女の子がいただけでした。
『個人戦を一時中断します。対局者、選手は直ちに控室に戻ってください』
私はただ恐怖に震えながら、
泣き
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