機関車工学:下巻(その385)火室の修繕:焔 管
【 焔 管(Tube) 】
「チューブ」は「チューブ・プレート」に取付けらるる部分においてしばしば蒸気漏洩の煩あるものにして、機関庫においては常に「エキスパンダー」をもって管口を拡大し、もって気密を保たしむるを要すべし。然れどもその方法よろしきを得ざれば「チューブ・プレート」を害し、且つ管口を損傷することあり。且つ過度に「フェルール」を打込みてその損害を大ならしむることあり。また火室に近き部分は火熱のため焼損し易きをもって、「チューブ」の損傷は多く火室側に起り、煙室側においてはほとんど見ざる現象なり。また火室側における「チューブ」の焼損は通常1フィートないし2フィートばかりとす。
「チューブ」を抜き取るには、火室側における縁端反曲しある部分を切り去り両端を絞り、火室側より手鎚をもって軽打するを要す。また火室側に「フェルール」を有するものにありては、長き鉄棒を煙室側より挿入し鉄鎚をもってこれを打ち抜くを要す。鉄棒の先きはクサビをもって拡大し得るよう装置しありて、火室側よりこれを打ち込み「フェルール」に適応せしむ。
抜き取りたる「チューブ」は相当の方法をもって「スケール」を剥離し、両端における絞りたる部分及び焼損せる部分を切り去り、健全なる部分を互ひに継ぎ合はすを要す。真鍮「チューブ」は真鍮鑞をもって継ぎ、鋼「チューブ」は特種の器械をもって鍛接することを得べし。
真鍮「チューブ」を鑞付するには、その両端約1インチ半を削り拡げ、または削り減じて内外に相抱合せしめ、これを縦または横に置き炭火にて熱し真鍮鑞をその継目に鎔し込むものとす。この方法は熟練なる技術を要するものにして専門の職工をして作業せしむるの外、器械的作業によること困難なり。この作業において最も注意を要するは鑞をして抱合せる継目に充分循環せしむるにあり。往々継目の折損することあるは鑞の填充不充分なるに帰因するもの多し。また過度の熱度を加へて「チューブ」を脆弱ならしめ、往々継目の付近より折損することあり。
「チューブ」の継目を削り拡げ、または削り減すには簡単なる専門の器械を用ふるを便利とす。最初いく分かその縁端を押し拡げまたは絞りて、しかる後削り取るを必要とす。否らざれば継目をして充分なる厚さを保たしむる事あたわざるのみならず、鑞を鎔し込む事あたわざるべし。
鑞付を終りたるときは継目の外部を金剛砥をもって平滑に磨滅し、その外径を一様に保持せしむべし。この作業を了りたる後は内部に水圧を加へて漏洩の有無を検すべし。圧力は汽缶圧力の2倍たるを要す。
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