医師がCT検査でくも膜下出血認識できず 患者は別病院で緊急手術

松永和彦
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 和歌山県那智勝浦町立温泉病院の医師が5月、救急搬送された男性(45)のくも膜下出血をCT検査で認識できず、男性が別の病院で緊急手術を受けたことがわかった。温泉病院に放射線科医はおらず、外部に依頼して確認できたのは翌日だった。病院は「非常に重く受け止めている」とし、院内の安全管理委員会で審議するなど検証している。

 家族や病院によると、男性は和歌山市の建築作業員で、4月下旬から那智勝浦町で住居を借りて仕事をしていた。5月6日午後2時40分ごろ、勤務中に頭痛を訴え、温泉病院に搬送された。診察した男性医師は点滴を打ち、痛み止めの薬を処方した。

 翌7日午前5時ごろ、男性は嘔吐(おうと)し、再び頭痛を訴えて病院に搬送された。同じ医師がCT検査をしたが「明らかな異常はわからない」として吐き気止めなどの薬を処方し、男性はタクシーで帰宅した。大型連休中で両日とも医師1人と看護師2人の当直態勢だったという。

 心配した家族が男性を迎えに行き、和歌山市の自宅まで連れて帰った。だが容体は改善せず、8日に市内の病院で再度CT検査を受けくも膜下出血と診断され、緊急手術を受けた。その後ICU(集中治療室)に入り、数日は意識が回復しなかった。

 温泉病院には画像診断を専門とする放射線科医がおらず、必要に応じて外部に依頼しているため、同病院がくも膜下出血の疑いを確認できたのは8日だった。家族によると、医師は「私ではよく診られなかった」と電話で謝罪したという。

 病院の担当者は診断が遅れたことに、外部に依頼するため「どうしてもCT検査から(診断までに)タイムラグがある」と釈明した。

 男性はその後意識が戻り、5月26日に退院した。親族は「同じようなことが起こらないように病院は体制を考えてほしい」と話す。

地域医療の課題

 長尾能雅・名古屋大教授(患者安全)の話 都市部に比べ地方では医療体制が限られ、常勤の放射線科医がいない病院は少なくない。画像検査をしても専門医による迅速な読影が難しく、診断が遅れるケースは以前から課題として指摘されている。限られた医療資源の中でいかに診断の精度を維持するかが重要だ。遠隔読影やAI(人工知能)などを活用し、診断を支援するといった対策も考えられる。

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この記事を書いた人
松永和彦
和歌山総局
専門・関心分野
高校野球、吹奏楽、地方行政

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