みなさんこんにちは! 公認会計士兼税理士の山田真哉です。
2027年4月からエアコンの省エネ基準が変わります。そのため、最近、家電量販店で「お得なエアコンが製造終了!?」「全体的な価格上昇」「買い替えの検討はお早めに!」といった看板を目にします。実は、僕の作業部屋のエアコンも17年使っています。壊れてはいないものの、買い替えた方がいいのかなと調べ始めたのがきっかけで、今回の内容をお届けします。
お送りする内容は、以下の通りです。
・“大きさ”も変わる新基準
・価格が上がる理由、いくらになるのか?
・省エネ性能で元が取れるのか
・対応策、注意点
SNSの噂を検証
2027年4月から法改正によりエアコンの省エネ基準が変わることを、SNSなどでは「エアコン2027年問題」と呼ばれています。まず、SNS上での噂を検証したいと思います。
噂その1、「2027年に古いエアコンの使用や販売が禁止される」についてです。禁止はされませんが、現在の基準のエアコンが販売されにくくなるようです。なお、既存のエアコンの使用や修理は、メーカーが部品を保有している期間は修理が可能です。
噂その2、「すべてのエアコンの価格が来年2倍に跳ね上がる」については、今販売されている5〜6万円台のエアコンは姿を消し、来年からは実質12万円台〜になってしまいそうです。そういう意味では2倍になる可能性はあるようです。ただ、価格の高い中・上位機種への影響はそれほどなさそうです。
そして噂その3、「値上がりする前に今すぐ全部買い換えろ」ですが、エアコンを使う部屋の広さや使用時間によって結論は異なります。今回は、この点を重点的に解説します。
“エアコンの大きさも変わる”大変革
「エアコン2027年問題」の中身についても解説したいと思います。これまでも省エネ基準はありました。例えば、6畳用のエアコンの場合、通年エネルギー消費効率(APF※)が、5.8以上というルールです。僕の17年前のエアコンにも5.8と記載されています。それが2027年4月からの新しい省エネ基準では6.6以上になります。数字が多いほどエネルギー消費効率が良く、省エネになっています。だから、これまでのエアコンは作れなくなるので、今のうちに買った方が良いという話です。
また、省エネ基準が厳しくなると、熱交換器などが大型化し、エアコンの室内機の大きさも変わります。
さらに、これまでコンパクトサイズのエアコンであれば、省エネ基準が若干緩かったのですが、この寸法規定が撤廃されます。そのため、6畳用のような小さいエアコンも省エネ基準が厳しくなり、サイズが大きくなります。室外機も大きくなるので、現在、置いている場所によっては、新しい室外機では入らない可能性もあります。ですので、室内機も室外機も大きくなることを前提にきちんと測る必要が出てきます。設置リスクに気をつけてください。
価格が上がる理由、そして、いくらになるのか?
新しい省エネ基準採用を機に、エアコン価格は上がると言われています。その理由としては、省エネ性能を上げるため、エアコンを大型化したり、より高効率にするために、圧縮機やコンプレッサー、モーターの改良、新しい冷媒ガス規制にも対応しなければなりません。もちろん半導体不足やナフサ不足も価格に影響します。つまり今後、エアコンの価格の上昇は避けられません。
では、新基準になるとどれくらい価格が上がるのか。
価格.comで調べてみたのですが、現在の売れ筋は、6畳用で5万円〜7万円ぐらいです。しかし、新しい省エネ基準に適合しているものだけに絞り込むと、一番安いものでも8万9800円、多くは10万円超えです。2倍近い差が出ています。
ちなみに、14畳用では現行基準のものが10万円前後なところ、新基準に対応したものになると、15万円〜26万円で、価格が1.5倍から2倍ぐらいになっています。もちろん、細かい機能の差があるので一概には言えませんが、新基準により価格が上がるのは間違いないと思われます。
省エネ性能で本当に元が取れるのか?
2027年の新基準を満たしたエアコンの価格は確かに高めです。しかし、その分省エネ性能が向上し、電気代は安くなるはずなので、買い替えをした方が良いという話もあります。
たとえば、2.2kW機(主に6畳用)だと、電気代は年間で約2760円安くなります。エアコンの平均使用年数が14年なので、2760円×14年間=約4万円の削減が見込めます。
さらに4.0kW機(主に14畳用)になると、電気代は1年間で約1万2600円安くなり、14年間で約18万円の削減になります。このような試算から、新基準のエアコンの方が節電できるという論調です。
しかし、電気代が安くなるかは、エアコンの使用頻度にもよります。そこで、資源エネルギー庁の計算を調べたところ、なんと1日18時間、約10ヵ月エアコンを使っているケースでした……。
僕が今使っている、この部屋のエアコンは、会社から帰宅して寝るまでの夜、動画の編集作業でしか稼働していません。1日2〜3時間くらいです。だとすると、このケースには当てはまりません。
ということで、調べて表にしてみました。縦軸は価格で、新基準のエアコン価格が今よりもプラス2万円、5万円、10万円だった場合、横軸は使用時間で、資源エネルギー庁が使っている年5310時間(1日18時間)、年1500時間(1日5時間程度)、年500時間(1日1~2時間)で場合分けし、何年エアコンを使ったら元が取れるか(回収年数)を計算してみました。
まず、14畳の場合です。価格が2万円高いエアコンを買った場合は、年5310時間使用すれば1.66年で元が取れます。14年間で15万6000円得します。これが中程度だと元が取れるのは、5.6年かかります。そして、客間・軽使用だと16.9年ですので、17年使い続けないと元が取れません。
価格がプラス5万円の場合、長時間の使用であれば、4年で元が取れます。中程度だと一般的な使用年数である14年くらい使えば、プラマイゼロ。しかし、客間・軽使用では42年ですから、ほぼ損することになってしまいます。
価格が今よりもプラス10万円の場合、長時間の使用であれば7.9年で元が取れますが、中程度や客間用だと元が取れません。
つまり、14畳用でリビングなど長時間使う部屋に関しては、10万円ぐらい値上がりしても8年弱で回収できるので、購入しても良いと思います。一方、6畳用は、ご覧いただいたらお分かりの通り、ほぼほぼ元が取れません。仮に、価格がプラス2万円で長時間使ったとしても、7.2年使用して1万9000円の削減です。価格がプラス5万円の場合は18.1年、価格がプラス10万円だと36.2年使わないと元が取れません。ですので、6畳用に関しては新基準のものを買う必要はそこまでないというのが僕の見解です。
以上は、あくまでも単純計算ですので、その点はご了承ください。
対応策・注意点
次に対応策や注意点をお伝えします。すでに今春から、エアコンの売上が急増しています。さらに、2027年4月に向けて駆け込み需要がかなり発生すると言われています。そのため、エアコンを買いたいと思っても品切れだったり、設置するのに数週間から1ヵ月以上かかることもあると思います。エアコンが必要な方は早めに動いた方が良いでしょう。
また、エアコンの購入・買い替えにあたっては、自治体ごとに補助金制度が実施されています。例えば、「東京ゼロエミポイント」や「ぶちエコやまぐち省エネ家電等購入支援キャンペーン」では、条件を満たすことで最大8万円相当の支援を受けられる場合があります。これらの補助金は、現在の省エネ基準のエアコンを買うときにも使えます。エアコンを買う際には、ぜひお住まいの自治体で補助制度の内容や利用方法を確認してみてください。
まとめ
まとめますと、現在使っているエアコンが10年以上経過しており、狭い部屋で短時間しか使っていないのであれば、在庫があるうちに現基準のエアコンを購入するのが一つの選択肢です。一方で、広い部屋で長時間使うのであれば、新基準のエアコンの方が省エネにもなっているのでそちらを検討するのも良いと思います。こちらは急いで買う必要はありません。どちらでもない場合は悩むと思いますが、猛暑の中、エアコンが壊れたら大変です。人によっては生死に関わることなので、壊れる前に買った方が良いと思います。
というわけで、エアコンの2027年問題って、家電量販店のセールストークだと思っていたのですが、実際調べてみるとそうとも限らないことがわかりました。電気代については、今後の社会情勢などによってさらに値上がりする可能性もありますので、省エネ性能を重視した選択が有効になる場合があります。エアコンを買いに行かれる方は、この記事を参考にしていただけると非常に嬉しいです。
というわけで、2026年5月23日時点の情報でございました。
では、僕は今からこの部屋のエアコンを買い替えに行きます。ば~い、ば〜い!