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危険運転致死傷罪を適用する数値基準盛り込んだ改正法が成立

(更新)
事件・事故

飲酒運転や高速度での走行に危険運転致死傷罪を適用する数値基準を盛り込んだ改正自動車運転処罰法などが可決・成立しました。飲酒運転は呼気1リットルにつき0.5ミリグラム以上としていて、早ければ7月にも施行される見通しです。

改正自動車運転処罰法では、危険運転致死傷罪を適用する数値基準として、飲酒運転は体内アルコール濃度の検査で、呼気1リットルにつき0.5ミリグラム以上としています。

高速度での走行は、主に一般道路の最高速度が時速60キロ以下の道路は、その速度を50キロ以上超えた場合、主に高速道路の最高速度が時速60キロを超える道路は、その速度を60キロ以上超えた場合としています。

また、改正道路交通法では、数値基準のなかった「酒酔い運転」について危険運転と同じ体内アルコール濃度の検査で、呼気1リットルにつき0.5ミリグラム以上で適用されます。

法律は参議院で先に審議され可決されていて、25日、衆議院本会議で採決が行われた結果、全会一致で可決・成立しました。

法律は、公布から20日後に施行されると規定されていて、早ければ7月にも施行される見通しです。

改正法の内容は

改正自動車運転処罰法には、飲酒運転や高速度での走行に危険運転致死傷罪を適用する数値基準が盛り込まれています。

具体的には、飲酒運転は体内アルコール濃度の検査で、呼気1リットルにつき0.5ミリグラム以上で適用されます。

これについて政府は、一般的に目安として、体重がおよそ60キロの人がビールを大瓶2本、もしくは日本酒を2合程度飲んだ場合、30分ほどたったあとに検出される量にあたると国会で答弁しています。

また、数値基準にかかわらずアルコールの影響で正常な運転が困難な場合にも適用されます。

高速度での走行は、主に一般道路の最高速度が時速60キロ以下の道路は、その速度を50キロ以上超えた場合としています。

また、主に高速道路の最高速度が時速60キロを超える道路は、その速度を60キロ以上超えた場合としています。

例えば、最高速度が時速30キロの一般道路では80キロ以上で、最高速度が時速100キロの高速道路では160キロ以上で適用されます。

これに加え、基準に準じる速度で道路や交通の状況に応じて重大な危険を回避することが著しく困難な場合なども対象となります。

さらに、タイヤを滑らせながら走る「ドリフト走行」などで進行を制御することが困難な状態で車を走行させる行為にも適用されます。

このほか道路交通法もあわせて改正され、数値基準のなかった「酒酔い運転」について危険運転と同じ体内アルコール濃度の検査で、呼気1リットルにつき0.5ミリグラム以上で適用されます。

これまでの経緯と今後は

交通事故の罰則をめぐっては1999年に東京の東名高速道路で飲酒運転の大型トラックが乗用車に追突し3歳と1歳の幼い姉妹が亡くなった事故をきっかけに厳罰化を求める声が広がり、2001年に「危険運転致死傷罪」が新設されました。

刑の上限は懲役20年で懲役7年の過失運転致死傷罪と比べて大幅に重くなっています。

対象となるのは、飲酒運転や、制御困難な高速度での走行、信号無視などで、2020年の法改正では、あおり運転のような「妨害行為」も加わりました。

ただ、事故の遺族などからは適用要件があいまいだとして数値基準を設けるよう求める声が相次いでいて、こうしたことも背景に今回、法律が改正されました。

一方、スマートフォンなどを使用しながらの運転は、今回の改正では危険運転の対象とすることは見送られ、衆議院法務委員会では必要に応じて対象とするよう検討することなどを求める付帯決議を全会一致で可決しています。

いわゆる「ながら運転」による悪質な事故が後を絶たない中、今後、危険運転の対象とするかどうかの議論が活発になることも予想されます。

尾崎官房副長官「厳正な対処が可能に 抑止に資する」

尾崎官房副長官は記者会見で「一定の数値を基準として定めることなどにより、危険で悪質な運転による死傷事案について、実態に即したより厳正な対処が可能になるとともに抑止に資すると考えている」と述べました。

大分 194キロ事故の遺族 改正法成立に「大きな前進」

危険運転致死傷罪を適用する数値基準を盛り込んだ改正自動車運転処罰法が可決・成立したことを受け、5年前に大分市で時速194キロの車との事故によって弟を亡くした女性は「大きな前進で今後、私たちのように苦しむ遺族は少なくなると思う」と述べました。

5年前、大分市の県道で法定速度の3倍を超える時速194キロで走行していた車が右折していた小柳憲さん(当時50)の車と衝突し、小柳さんが亡くなりました。

この事故で当時19歳の被告の運転が危険運転にあたると判断した1審判決が2審で取り消され、小柳さんの姉の長文恵さんらが検察に上告を求める要望書やオンラインの署名を提出し、その後、検察が上告しています。

25日、長さんが衆議院本会議場を訪れ、危険運転致死傷罪を適用する数値基準を盛り込んだ改正自動車運転処罰法が可決・成立した様子を傍聴席で見届けたあと、記者会見に臨みました。

長さんは「ようやくこの日が来たという気持ちだ。大きな前進で、今後、私たちのように何年間も苦しむ遺族は少なくなると思う。ただ、数値を満たさなければ危険運転に問えないのではなく、悪質な事故であれば当然問えるような法律にならないと、悲しむ遺族は減らないと思う」と述べました。

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