日本政府の立ち位置とそのリスク
高市政権は、アメリカとの関係を重視し、イランを非難する態度を取り続けている。南アジアや東南アジアの諸国のみならず、韓国までもがイランと交渉してホルムズ海峡の交通を認めてもらっているにもかかわらず、頑なに「抜け駆けするわけにはいかない」という態度を貫いている。
こうしたアメリカ一辺倒の外交姿勢の背景に、そもそも情勢分析がアメリカの視点に依拠したものに偏ってしまっている実情があると指摘することは、的外れではないだろう。もともと外務省では「対米派」と呼ばれる北米局を中心とするアメリカとのつながりが深い派閥が、大きな勢力を持っている。官邸に「国家安全保障局」が生まれて、その局長ポストが外務省出身者のポストとして固定されるようになってからは、さらに官邸からも「対米派」の影響力が発せられて日本の外交政策を決定していくようになった。現在の国家安全保障局長は、元北米局長の市川恵一氏である。
高市政権の姿勢は、アメリカがイランに完全勝利をおさめ、軍事的な強制力でイランを駆逐して、ホルムズ海峡の交通もアメリカ主導で確保される、という事態に至れば、成果が見通せるようなものだろう。
しかし、日米同盟が重要なのでアメリカを気遣わなければならない、という意見は聞こえてきても、アメリカの完全勝利という見通しに、独自の精緻な分析が行われてきている形跡までは見られない。せいぜい直接的・間接的に、親イスラエルのアメリカのシンクタンクの言説が参照されるくらいだ。上述のように、それは、しばしば政治的・イデオロギー的に非常に偏った視点によって作られているものでしかない。
そもそも果たして、この事情が持つリスクが、日本国内で、適切に意識化されているだろうか。盲目的に親イスラエルのアメリカの言説だけを信じて突き進むならば、やがて大きなリスクが膨らんでしまっていることに気づくことになる恐れは、小さくない。