ペンライトデモへの所感
まず本当に、根本的なところから疑問を呈させて頂きたいのだが
「ペンライトを持って国会を取り囲む」って、何なんだ。
なんだそのアイドルのドーム公演と政治闘争の最悪なマリアージュは。
彼らは一体、国会議事堂をなんだと思っているのだろうか。
巨大なセンターステージか? 総理大臣がポップアップで下から飛び出してきて、「アリーナ〜〜!!」とでも叫ぶとでも思っているのか。
「私たちの平和への祈りを光に込めて!」じゃないんだよ。
お前らが握りしめているその12色カラーチェンジ式のキンブレで、一体どうやって迫り来るミサイルを撃ち落とすつもりだ。
推しのメンバーカラーに光らせて激しくヲタ芸を打てば防衛費が削減される魔法でも発動するのか?
全員のペンライトの光が赤色に統一されたら、高市総理が「くっ…! 民衆の光が眩しすぎる…!」とか言いながら消滅する確定演出でも用意されているとでも言うのか。
そして、彼らの主張の中で最も私の頭を抱えさせるのが、この思考回路である。
「高市総理が辞めれば、戦争が防げる! 平和になる!」
高市早苗どんだけ絶大な権力持ってるんだよ。
彼らの脳内設定によれば、高市総理はもはや「地球上のすべての軍事衝突を指先一つで操る、闇の絶対君主」か何かである。
彼女が総理の座から降りた瞬間に、中東の紛争も、超大国同士の冷戦も、すべてがパッと解決して世界中が手をつないでマイムマイムを踊り出すとでも思っているのだろうか。
高市総理は日本のリーダーだと思っていたのだが、私の知らない間にそんなデウスエクスマキナみたいな存在になっていたのか。
世界情勢において強さがインフレしてない?
私が描いている筋骨隆々の男たちが宝探しをする合間に罵り合いながら愛憎セックスをする二次創作同人誌ですら、もう少しリアリティラインに気を使ってプロットを練っている。
さらに彼らは、外交というものを完全に「乙女ゲームの選択肢」か何かだと勘違いしているフシがある。
なぜならこんな主張をしているからだ。
「アメリカの言いなりにならず、日本はイランと個別交渉をして平和外交をするべき!」
するわけねーだろ。死にてえのか。
「選択肢A:イランと個別交渉する」を選べば、好感度のパラメーターが上がってトゥルーエンドに行けると思っているのか?
国際社会というのは推しカプのいちゃいちゃ同棲生活とは違う。
日本がアメリカや国際社会の制裁網をガン無視して、「やっほーイランくん! 個別で仲良くしよ!」などと単独行動に出たらどうなるか。
翌日には同盟国から経済制裁のタコ殴りに遭い、国家のライフラインを止められて、日本沈没ルート一直線のバッドエンド確定である。
そもそも、イランという国を一つの意志を持った攻略対象だと思っているのが大間違いだ。
あそこは政府と革命防衛隊という、頭が二つあるダブル主人公状態なのだ。
しかもこの二つ、全く連携が取れていないどころか、やってることが正反対だったりする。
外務省の人間がニコニコしながら「日本さん、仲良くしましょう」と握手をしているその裏で、革命防衛隊が「よし、あの船ぶっ飛ばそうぜ」とドローンを飛ばしているのが日常茶飯事の世界だ。
窓口で予約を取ったのに、裏口から入ってきた別の奴に殴られる。
こんな解釈違いが物理的な暴力として飛んでくる相手と、どうやって個別交渉で平和を築けというんだ。
外交はイベントの壁サーに並ぶ時の「誰がどこに並んで、誰が差し入れを渡すか」という同人ゴロの立ち回りより遥かに複雑で命懸けなのだ。
そして、極めつけはこれだ。
彼らは国会前でペンライトを振り回しながら「民主主義を守れ!」「独裁政権を倒せ!」と声高に叫んでいるわけだが……
ていうか、高市総理、この間の選挙で勝ったばかりだろ。
意味がわからない。民主主義の極みである「国政選挙」というルールに則って、国民の多数決によって選ばれたトップに対して「独裁者だ! 辞めろ!」と叫ぶのは、もはや「民主主義」そのものを否定しているのと同じではないのか。
それは例えるなら私がアンケートで一番人気だった攻めと受けのカップリング本を出したのに、「私の推しカプじゃない! お前は同人界の独裁者だ!」とキレ散らかしてくるクレーマーと同じである。
そちらが求めているのは「民主主義」ではない。「私のお気持ちに100%寄り添ってくれる、私にとって都合のいい政治」という名の、別の独裁主義だ。
ペンライトを振る暇があるなら、次の選挙に向けて地道に布教活動でもすればいいのに、と思う。
それが本当の民主主義のルールだ。
国会前でサイリウムを焚いて「連帯」した気になっている彼らの姿は、私から見れば、ルールも読まずに卓について「俺のサイコロは常に6が出るはずだ!」とゴネている迷惑なプレイヤーにしか見えない。
ペンライトを振って「高市はやめろ!」と叫んでいるその瞬間も、高市総理は「お花畑な妄想」で国が滅びないように、必死でリアルの外交という「泥沼のチェス」を打っている。
ああダメだこんなことを考えていたら貴重な原稿の時間がどんどん削られていく。
私は彼らのように、国会前で光る棒を振って現実逃避をする趣味はない。
私が振るのは、液晶ペンタブレットの上を走るスタイラスペンだけだ。
彼らが幻の平和な世界を夢見てデモをしている間、私は現実の厳しい締切と戦いながら、確かなドスケベをこの世に生み出さなければならないのだから。


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