ここは周りが青く透き通った海に囲まれた島、
通称ホバギ島。
地面は黄色い砂で出来ていて、空から見ると周りは黄色い砂で覆われた地面で囲まれ、島の真ん中には緑色で大きな火山がある光景がまるでホバギであることからホバギ島と呼ばれるのだ。
ホバギを実らせるホバギの木や、キャンディを実らせるキャンディの木が無数に生えている。
砂浜には海で食糧を取る為の釣り竿や浮き輪、そしてイカダが幾つか設置されている。
砂浜から100歩歩いた所にはスピキ達の村があり、そこでスピキ達はホバギハウスを建てて暮らしていた。
島のスピキ達は通常のスピキと違い頭にはハイビスカスで出来た花冠、身体は腰蓑で覆っている。
そんな島スピキ達の鳴き声が村から聴こえてくる。
「チョワヨーチョワヨー!ホバギチョワヨー!」
「チョワヨー!チョワヨー!スピキチョワヨー!」
「キョダンサド!チョンチュドーン!」
島スピキ達は各々好きな事をしていた。
複数で首を左右に揺らしながら合唱し、島を一周している島スピキ達。
海の浅瀬でパチャパチャと音を立てては浮き輪を付けて海水浴をしている島スピキ達。
キャンディの木からキャンディを落としては食している島スピキ達。
手作りのリンボーポールで棒の下をくぐったり棒の上をジャンプする島スピキ達。
そして村から少し離れた所では島スピキ達がリング状に並び何かを囲っている。
「チョワヨーチョワヨー!ホバギチョワヨー!」
「チョワヨーチョワヨー!ホバギチョワヨー!」
「チョワヨーチョワヨー!ホバギチョワヨー!」
「チョワヨーチョワヨー!ホバギチョワヨー!」
そのリングの中では4匹の島スピキ達がそれぞれ自分のホバギにもちほっぺを擦り付けている。
スピキはもちほっペをホバギに擦り付ける事で、もちほっペに含まれるスピ基をホバギに植え付けているのだ。
ホバギに割れ目が入る。
ピキッ!ピキッ!ピキッ! バキバキバキッ!
ホバギがバラバラに割れると小さいスピキの顔が出てきた。
「アー!アー!アウアウアウアウアウアー!」
ホバギが割れておくるみスピキが産まれてきた。
そのおくるみスピキは島スピキ同様ウィンプルの代わりに花冠を被っており、腰蓑で出来たおくるみにつつまれている。
これは島スピキ達による生殖活動だ。
「「「チョワヨー!チョワヨー!ホバギチョワヨー!!」」」
そしてリング状に並んでいる島スピキ達も新たなおくるみを祝福するように首を左右に揺らし合唱を行なっている。
島スピキ達は自由に、そして楽しく島で暮らしていた。
そんな中、火山の中央に向かう一匹の島スピキがいた。
その島スピキは頭におくるみを乗せている親スピキで、どうやらおくるみに火山の中央を見せようとしているようだ。
「チョワヨ!」
親スピキは火山口へたどり着くと、頭に乗せていたおくるみを降ろし、マグマが煮え滾る火山口を見せていた。
「チョワヨーチョワヨー!」
「フワァ~!スピチバジェヨ!」
おくるみと親スピキは迫力ある火山口を覗いてはしゃいでいた。
ガラガラ…
だがおくるみがいる場所は脆くなっていて割れ目があったことに親スピキは気づいていなかった。
ガラガラガラ…ボコッ!
おくるみがいる足場が突如崩れだし、おくるみはマグマが煮え滾る火山口に落ちていく。
「ウアー!ネルヌニロッケポンニョクチョギンヨッカリアニランマリエヨ-!!」
親スピキは急いでおくるみを掴もうとしたが、真っ逆さまに落ちていくおくるみを掴むことは出来なかった。
ひゅううううう…
「アーウ!スピチバジェヨ!スピチバジェヨ!アーーー!!」
ぼちゃん…
おくるみは叫びながら火山口へ落ちた。
「ヒッ!アーー!アーー!アーアーアーーーー!!」
僅か数秒の間におくるみを失った親スピキは慟哭した。
火山口の上での暑さを気にせず慟哭していた。
その時である。
ゴゴゴゴゴゴ……
おくるみが沈んだ火山が揺れ出す。
ゴゴゴゴゴゴ…ドゴオオオオオオン!!
そして火山は噴火した。
「ウアー!?ウアー!?」
火山の近くにいた親スピキは戸惑う。
その直後火山から溢れ出したマグマが親スピキの上に落ちてくる。
ジュッ!
親スピキは一瞬でマグマに飲み込まれた。
噴火した火山からマグマがドロドロと島全体へと流れ出した。
マグマだけじゃなく巨大で燃えた無数の岩も火山口から吹き上がっては島のあらゆる場所へ落下していく。
「ウアー!ウアー!アーウ!」
「ヌンデ!ヌンデヨー!!」
「スピキヲイジメヌンデ!イジメヌンデ!」
火山が噴火しマグマは流れ落ちていく、火山の近くにいた島スピキ達は逃げ惑うがマグマに追いつかれては呑み込まれ焼け死んでいく。
「チョワヨーチョワヨー!ムルゴルレジチョワヨー!」
マグマが流れてきているが逃げようとしない島スピキ達がいた、諦めてヤケクソに笑顔で歌っている。
その島スピキ達は笑顔のまま、降ってきた巨大な岩に潰され一瞬で息絶えた。
村の島スピキ達は海の方へと逃げ込んでいった。
何匹かの島スピキはホバギハウスの屋上に避難しようとする。
「ウアー!スピキモリチャバダンギジバゼヨ!!」
「スピチヲイジメニュンデ…」
ホバギハウスの屋上にはおくるみスピキと親スピキがいた。
だがホバギハウスにマグマへの耐久性は無い。
ホバギハウスはマグマで焼けていき、
屋上にいる親子スピキにも火の手が上がっていた。
「アーーー!アーアーーー!!」
「バジェヨ!バジェヨ!ウアーーー!!」
親子スピキ共々焼けてあっという間に真っ黒いスピキと真っ黒い球体が出来上がる。
そして20匹程のおくるみ達が昼寝をしていたおくるみお世話用のホバギハウスも焼けていく。
「「「「「ウウウウウウアアアアアアアーーーー!!」」」」」
ホバギハウスの中からおくるみスピキ達の絶叫が響き渡り、瞬く間に全てのおくるみは真っ黒なダルマとなった。
生殖活動中だった島スピキはスピ基を植え付けたホバギを持って逃げようとするが、ホバギを頭に乗せた重さで逃げる途中マグマに追いつかれてしまい、
島スピキはマグマに飲まれた。
残されたホバギは流れ落ちてきたマグマの真上で浮かび上がる。
ピキッ!ピキッ!
「アーウ!」
マグマの真上で浮かんでいるホバギが割れて、おくるみスピキの顔が出てきた。
「アーウ!アーウ!アアアアアアーーーー!!」
そのおくるみは産まれて間もなくホバギと共にマグマに沈み、断末魔をあげた。
島の木が多く生えた場所で二本の燃えた木の間に斜めに折れて燃えている木がある、
まるでファイヤーリンボーダンスのようである。
「バゼヨ!」
斜めに折れて燃えている為僅かな隙間がある、数匹の島スピキはそこをくぐって海まで走り抜けようとした。
ボォッ!
だがウィンプルに微かに火が燃え移っていた。
「スピキデリセヨ!ウアウアウアウアー!!」
ウィンプルに付いて火は広がり、島スピキは炎に包まれた。
「カマッゴパッサパッササ!カマッゴパッサパッササ!」
生き残りの島スピキ達は急いでイカダを繋いでる紐をほどき、海へと押し続けていた。
そしてイカダが海面に付き、パドルで漕ぎ始めた。
「「チョワヨー!チョワヨー!ソンバコッチチョワヨー!」」
島スピキの内3匹がイカダで海に逃げ込んだ安心からか歌い始めた。
ヒュウウウウウ…
歌っている3匹の島スピキの真上から巨大な岩が迫っていた。
バゴオオオオオン!
3匹の島スピキはイカダと共に巨大な岩の下敷きとなった。
海まで伸びてくるマグマが他のイカダに接触し、イカダに火がつく。
「「「「「「ウアー!アーアーゴボボボボ…」」」」」
乗っていた5匹の島スピキは燃えるイカダごと海に沈んだ。
イカダがマグマに追いつく前にイカダに設置していた浮き輪を用意し、イカダに乗っていた4匹の島スピキは浮き輪を付けて海に飛び込んだ。
「バゼヨ!バゼヨ!」
浮き輪を付けた島スピキ達は後ろ足をバタバタさせマグマから逃げようとする。
「ア!」
その時一匹のスピキが何かに引きずり込まれ、浮き輪だけが残った。
「スピキ?」
「スピキ…?」
そしてスピキが引きずり込まれた海面から大量の黄色い液体が浮かんできた。
そして海面から背ビレのような物が浮かぶ。
その背ビレはスピキの浮き輪を次々と刺して割っていった。
「ウアー!ウアー!」
「スピキヲイジメヌンデ!」
「イジメヌンデ!イジメヌンデ!」
スピキ達はたちまちパニックとなる、
浮き輪を割られたスピキ達は必死に沈まないように海面で前足をバタバタさせている。
そして体格の大きいサメが顔を出した。
サメは腹を空かせていたのか大きな口を開けてスピキを次々と口の中に入れていく。
クチャクチャ…クチャクチャクチャ…モチモチ…モチモチ…
大きなサメの口の中で激しい咀嚼音が鳴り響いた。
イカダに乗り込んで逃げている途中、岩山に激突した衝撃でイカダごと沈んだスピキ達。
パニックとなった島スピキが暴れたせいでイカダがひっくり返り、
イカダに乗っていたスピキ達全員ひっくり返り浮かんでこなくなる。
イカダに乗っていた島スピキ達はどんどん数が減っていった。
イカダが1台残っていた。
そのイカダにはおくるみスピキと親スピキが乗っていた。
親スピキはイカダを漕ぐ為のパドルを前足で持ちイカダを漕ぎ、海の真ん中まで来ていた。
「ヒッ…ヒッ…チャバダン…チャバダン…」
親スピキはイカダを漕ぎ続け、疲労困憊だった。
そして親スピキの前足に力が無くなり、
パドルを手放してしまった。
「アッ!スピキノ…スピキノ…」
親スピキがパドルを掴もうと海の上に前足を伸ばしたその時である。
ザバッ! ガブッ! ブチッ!
「ウアーーー!スピキモリチャバダンギジバゼヨ!」
スピキの前足はサメに噛みつかれ、食いちぎられた。
どうやら先程のサメが他のスピキを探していてここまで来たようだ。
「ウアー!ウアー!ア!」
ぼちゃん!
親スピキは三本足となりバランスを崩し海に落ちてしまった。
クチャクチャ…モチモチ…
そして海面はスピキの黄色い液体に染まった。
サメはお腹がいっぱいになったのか、
何処かへと泳ぎ去っていった。
イカダの上にはおくるみが一匹残されている、
周りを見渡しても真っ青な海しかない場所でぷかぷかと浮かんでいるイカダの上でおくるみは嘆いていた。
「ヌンデ…ヌンデ…ヌンデヌンデ…」
ホバギ島は火山の噴火で吹き上がったマグマに包まれ崩壊した、
沈んだ地形と浮いている地形があり、当然生き物も植物も全滅している。
その崩壊したホバギ島はまるでスピキがスピ基を植え付け、おくるみが産まれるのと引き換えにバラバラに砕けるホバギのようであった。
残酷過ぎる…人の心とかないんか